北野誠のズバリ

ウソをつくとかゆくなる?鼻のトラブルの理由

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

11月6日の放送には「毎日、鼻の中がかゆくて困っている」と悩むAさん(55歳・男性)から相談がよせられました。

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がアドバイスを送ります。

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鼻炎とは違う「鼻前庭炎」

「睡眠中もたまに鼻をほじくるのか、朝起きると鼻血でカピカピになります。かゆくならない方法を教えてください」と切実に訴えるAさん。

Aさんの症状は、ほぼ間違いなく「鼻前庭炎(びぜんていえん)」だろうと吉田先生。

鼻前庭とは鼻の穴の入口から2センチほどの部分。
粘膜ではなく普通の皮膚で覆われている、鼻毛の生える場所です。

「鼻炎」は鼻の奥の粘膜の部分が炎症し、くしゃみや鼻水を引き起こすもので、「鼻前庭炎」とは異なります。

それでは、なぜ鼻前庭に炎症が起きるのでしょうか。
 

かゆみが引き起こす悪循環

人間は息を吸う時に、汚い雑菌が肺に入らないように鼻毛のフィルターでキャッチしています。

吉田先生いわく「鼻前庭はゴミ箱みたいなもの」。

実際、鼻くその半分は鼻から出てくるアカですが、残りの半分は鼻毛でキャッチしたゴミです。

鼻毛のフィルターで肺への侵入を阻止したものが鼻前庭に残っているため、小さい傷がそこについてしまった場合に化膿して炎症を起こしてしまうというわけです。

例えば鼻毛を抜くと毛穴の部分に小さな傷がつき、そこに黄色ブドウ球菌が入り込んで炎症を起こします。

鼻の中をかくと傷がついて化膿し、余計にかゆくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
 

火事が「飛び火」するように広がる

Aさんのように症状がひどい場合は、必ず耳鼻科を受診することが大切。

悪循環を断ち切るため、かゆみを取るステロイドを塗りって炎症を鎮め、さらに抗生物質を塗って感染を起こしている黄色ブドウ球菌などの細菌をやっつけます。

通常はこの治療法ですぐ治りますが、放置してしまうと炎症が全身に波及してしまうことも。

これは「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」、いわゆる「とびひ」です。

鼻をほじることで、爪や指に細菌がベッタリ付着します。

就寝時は無意識のうちに身体のいろいろな部分をかいてしまい、「火事が飛び火」するように赤くかぶれた部分が広がるため、「とびひ」という名前が付いたものです。
 

「ピノキオ効果」でウソがバレる?

これから冬になると空気が乾燥するため、全身の皮膚と同様に、鼻前庭もかゆくなってしまいます。

乾燥を防ぐための吉田先生のおすすめの方法は、「就寝時もマスクをする」ということ。

吐き出した空気を吸いなおすため湿度が上がり、風邪の予防にもなって一石二鳥です。

これは新型コロナの予防とは異なるので、使い古したマスクを洗濯したものでもまったく問題はないそうです。

スペイン・グラナダ大学の論文では「人はウソをつくと鼻を通っている血管が拡張して皮膚の温度があがり、ムズムズした感覚になるため、無意識のうちに鼻を触ってしまう」という実験データが出ています。

このことは、ウソをつくと鼻が伸びる「ピノキオ」に例えて「ピノキオ効果」と呼ばれています。
 

グラナダ大学よりも先に気づいた?

つまり鼻を無意識に触りながら話している人はウソをついている可能性があるのですが、「ウソの種類が限定的」と吉田先生。

例えば「100万円投資していただいたら200万円が返ってきます!」といった、詐欺のような悪意のあるウソには、このピノキオ効果は出にくいといわれています。

鼻がムズムズしやすいのは、「若い頃女の子にモテモテだったんだよね!」のような自慢話を盛るようなウソ。

吉田先生も「正直、たまにこういうのを言っちゃうこともある」んだとか。
副交感神経が優位になっているため、特に鼻がムズムズしてきて触りたくなるそうです。

「ピノキオのウソと共通してるでしょ」と吉田先生。

「ピノキオの原作者が、実体験からこの話をつくったのではないか。グラナダ大学の論文よりも遥かに先に、ピノキオの作者が気づいていたのでは?」と想像を膨らませる吉田先生でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2020年11月06日14時12分~抜粋

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