北野誠のズバリ

平均73歳で住宅ローン完済…定年になって返済に困ったら頼りたい制度とは?

昔は頑張って働いて定年までに返済しようというケースが多かった住宅ローンですが、今や65歳定年制や返済期間35年が当たり前となってきているからか、完済予定年齢が伸びてきているそうです。

若い時は十分返せると思っていても、昨今の経済事情や労働環境の変化などで、思わぬライフプランの変更を強いられているケースが問題となっているようです。

11月7日放送『北野誠のズバリサタデー』では、住宅ローンの高齢化問題について、NPO法人住宅ローン問題支援ネット代表で、ファイナンシャルプランナーの高橋愛子さんに電話でお話を伺いました。

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借り始めの年齢が上がった原因

日本経済新聞が10月5日に報じたところでは、住宅金融支援機構のデータを調査したところ、2020年度の利用者について、住宅ローン完済を計画する年齢が平均73歳になっていることが判明。

20年間で5歳ほど上がっているそうで、借入時の年齢や金額が上昇していることが原因とされています。

借り始める年齢が上がっている理由としては、晩婚化や高齢出産などが考えられますが、高橋さんによりますと、ほとんどの金融機関で80歳までローンを組むことができる上に、月々の返済額を抑えられるということで、金融機関が35年などの長期ものを勧める傾向にあるそうです。

そして、最初はとりあえず長期でローンを組んでおいて、余裕のある時に繰り上げ返済で完済時期を早めたり、退職金でまとめて払ったりすれば何とかなるだろうと考える人も少なくないそうですが、定年間近になって何ともならないことがわかり、高橋さんのところへ相談に来られるケースが多いようです。
 

返済に行き詰まり

完済が73歳となると、ほとんどの人が年金暮らしの状態だと思われますが、実際に返していけるものなのでしょうか。

高橋さん「住宅ローンの額にもよりますけど、厚生年金とかで結構多く年金が入ってくるという方は何とか払ってはいけると思いますが、国民年金とかそもそも年金が少ないという方は難しい。

定年後も嘱託社員やアルバイトで住宅ローンを払っている方が多いですね」

また、注意しないといけないのが、住宅ローンでボーナス払いをしているというケースで、定年後は当然ボーナスがないため、その月は貯金を切り崩して払っている方も多いそうです。

では、定年後にいくら生活を切りつめても住宅ローンが払えないとなると、どうすれば良いのでしょうか。

高橋さん「多額の住宅ローンや管理費、固定資産税などが(今後も住み続けた場合)いろいろかかりますので、売却して安い賃貸に引っ越すというのも1つの選択肢だと思います」

ただ、住宅ローンの元金が物件の価値よりも上回っている場合、つまり、家を売却しても住宅ローンの返済が終わらない場合は、家が売れないのではないか?という疑問も。

高橋さん「任意売却という方法で、金融機関と話し合って売却できる方法もあります。ただ残債、借金は残ってしまうので、分割払いとか法的整理でいったんリセットして、長い老後の住宅費を抑えるのも1つのやり方かなと思います」
 

住宅ローン返済の禁じ手とは?

では、住宅ローンの返済でやってはいけないことはあるのでしょうか?

高橋さん「払えなくなると、支払いの優先順位を間違えてしまう人が多いですね。とにかく目の前の住宅ローンを払わなきゃいけないので、カードローンとか高い金利で払っていってしまうと本末転倒で、さらに生活が苦しくなってしまう。

あと、住宅ローンを滞納するとブラックリストに載ってしまうので怖い、一方で税金は載らないからといって滞納しがちになるんですよ。

ただ、税金を滞納すると、すぐ不動産の方に差押登記というのが書かれてしまい、さらに(家が)売りづらくしまうので、とにかく払えなくなったら、早めに無料相談とか専門家に相談して、対策を取ることをお勧めします」

また、高齢の方に対しては特例があるそうです。

高橋さん「住宅支援機構では、70歳以上の方はシルバー返済特例というものがあります。毎月の返済が利息だけになって、亡くなるまで住むことができると。亡くなった後は相続人が返済するか、家を売却して返済すれば仮に残債があっても相続人には請求されないという特例があります。

ただ、収入などの審査があるので、必ず受けられるというものではないですし、特例を受けると団体信用生命保険が失効になってしまうので、注意が必要ですね」
 

リバースモーゲージとは?

また、最近宣伝されている「リバースモーゲージ」とは、家を担保にお金が借りられる制度で、利息のみの支払いで済みます。

年齢が理由で安い金利への借り換えができなかったり、残債が比較的少ないと利息が少ないので、利息だけの支払いで返済が楽になるといったケースに有効とのことです。

亡くなった後は相続人が返済するか、家を売却して返済するというのは、先程のシルバー返済制度と同じですが、もし売却益が出た場合は相続人が得ることができます。

今は家を手放さずに返済を軽くする方法がいろいろあるようですので、困った時はしかるべきところに相談するのが良いようです。
(岡本)
 
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2020年11月07日09時46分~抜粋

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