北野誠のズバリ

思わぬ落とし穴…うっかり贈与税がかかるケースとは?

こどもにできるだけ財産を残したいと親は思うものですが、遺産には相続税がかかってしまいます。

そのため、税金がかからない範囲で生前に贈与しようという場合、確認しておいた方が良いことがあるようです。

10月26日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリマネー相談室」では、贈与税に関する質問に対し、小宇佐(こうさ)・針田FP事務所のファイナンシャルプランナー・針田真吾さんが回答しました。

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金をこどもに贈与したい

今回、番組で紹介した質問は、次のとおりです。

「これから金を買おうと思っており、少しずつこども達に贈与していきたいのですが、非課税枠で贈与という証明はできるのでしょうか。

登記のある不動産とか、通帳の現金は証拠が残るので良いのですが、このようなものはどうすれば良いのでしょうか」(Aさん)

贈与税の非課税枠というのは、簡単に言いますと、1月1日から12月31日までの1年間で贈った物の総額が110万円までなら、税金がかからないというもの。

つまり、毎年110万円以下ずつこどもに渡せば、税金はかからないということになります。

しかし、金となると日々価格は変動しますし、110万円以下ということをどのようにしたら証明できるのでしょうか?
 

名義預金って何?

贈与税は相続税の補完的なもので、贈与している間は税務署に知られにくいものです。
しかし以前の放送で、亡くなった時に相続に関して調査され、生前に多額の贈与を隠していても、結局バレてしまうという説明がありました。

ただ、金に関しては200万円を超える取引きがある場合は、事業者から税務署に届け出されるため、その時点で調査に入られる可能性もあるそうです。

そして、針田さんが金をこどもに贈与する場合に注意すべき点でまず挙げたのは、「名義預金」にならないということ。

これは、「名義だけ他人から借りている預金」という意味で、具体的には未成年のこどもが作る預金通帳などのことを指します。

こどもの時にお年玉をもらった時に「これは金額が多いから、別で通帳を作って貯金しとくわ」と親から言われて、お年玉を没収されたという経験はなかったでしょうか。
ひどい場合は、大人になって親に問い詰めても「そんなんあったっけ?」と言われて、うやむやになるケースも…。

本当に通帳を作ってもらった場合でも、実際にはこどもが自ら引き出せず、親が管理しているという通帳は、「こどもの名義を借りた親の預金」という扱いになります。
 

名義預金って何?

針田さんによれば「あげますよ」「もらいますよ」と、双方の意思疎通が成立して初めて、贈与があったと見なされるそうです。

親が毎年、110万円ずつ振り込んだ口座が、普段こどもが使っているものであれば問題はありません。
しかし、通帳やキャッシュカードを親が管理している場合、こどもの物とはみなされません。

つまり親の財産とみなされて、親が亡くなった時は普通に相続の対象となってしまいます。

そこで大事なこととして、針田さんは「贈与があったという証拠を残すことが大事」とアドバイスしました。

ネットにもひな形が出回っているそうですが、「いつ、誰が、何を、いくら贈与したか」という内容を記載して、あげた側もらった側がサインをするという形式の贈与契約書を作るのが良いそうです。
 

まとめて契約書を作るのはNG

注意すべき点があります。毎年贈与契約書を作るのは面倒だからと、「これから10年間に渡って、1年に110万円ずつ渡します」という内容で契約書を作るのはNGです。

その理由は、最初から1,100万円まとめてあげる意思がある、定期贈与をしていると見なされてしまうためで、非課税とはなりません。

そこで針田さんがおすすめするのが、あえて111万円を贈与するということ。

111万円だと、110万円の基礎控除分を引いて1万円分が贈与税の対象となり、10%にあたる1,000円の税金を払うことになります。

もらった側が贈与税を払うということは、双方で「あげた」「もらった」という意思疎通ができていると見なされます。

ちなみに贈与税は分離課税のため、所得税など他の税金と合算されるわけではありませんので、所得が高い人は10%よりも高い税率になるといったことはありません。
 

いつ時点の価格が反映される?

最初の相談に話を戻しますと、価格が変動する金の場合、何をもって110万円以下の非課税枠が適用されるのでしょうか。

針田さん「価値が日々変わりますよね。それが問題で、金の贈与の金額というのは、贈与が成立した日の価格で計算をします。ちなみに相続の時は死亡日の価格なので、価格がいくらだったかを記録に残しとかないといけませんよね。ですから、贈与契約書というのが必要だと思います」

さらに針田さんは、金を売る場合の注意点についてアドバイスしました。

針田さん「金を売って利益が出ると、譲渡所得税という税金を納めないといけない。これは売った価格から取得した価格を引いて、残ったお金から50万円を引いて、それでもお金が残ったらそれが課税対象額ということで、税金が発生します。

ただし、5年以上保有している金であれば、その価格がさらに2分の1に軽減されるという特例はあるんですね」

この5年というのは贈与された日ではなく、親がその金を買った日からだそうで、そうなると買った日を記録しておく必要があります。
 

記録しなければ大損することも

また、いくらで買ったのかを記録しておくことも大事です。

例えば、こども200万円で金を売った場合、親がその金を100万円で買っていたことが分かっている場合は、譲与所得税は200万円-100万円-50万円=50万円、さらに購入から5年以上経っていれば25万円が課税対象となります。

しかし、もし親がいくらで買ったかわからない場合は、自動的に5%が取得価格と見なされ、200万円-10万円(5%)=190万円が課税対象となってしまいます。

金を贈与される場合は、その金を買った日と金額、もらった日をきちんと記録しておくことが大事ということです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年10月26日14時11分~抜粋

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