北野誠のズバリ

他人の自転車を勝手に借り続けた男性が無罪!その理由を弁護士が解説

駐輪場に放置されている自転車を勝手に持ち去ったとして、占有離脱物横領の罪に問われた男性に対し、9月28日に福岡地裁は無罪(求刑は懲役10月)の判決を言い渡しました。

この男性は何度も乗っていて、長い時は12時間も無断で乗り回した後、元の場所には戻していたそうです。

一時的であれ、勝手に他人のものを使ったのになぜ、無罪となったのでしょうか。

10月7日放送『北野誠のズバリ』では、この判決が出た理由についてオリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。

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窃盗ではなく借りただけ?

そもそも、他人の自転車に何度も乗れるのか?という疑問が出てきますが、この自転車は無施錠で、盗難されたものだったそうです。

となると、盗んだものをさらに盗んだように見えますが、もちろん無罪と判断したのには理由があります。

原「こういう判決はたまにありまして、盗むといっても『不法領得の意思』が必要なんです。

要は自分のものであるかのようにふるまったり、使ったり処分したりする意志が必要なんですが、借りるというと『不法領得の意思』がないということになって、無罪になることもあります」

とはいえ、「借りた」といっても、持ち主の許可を得ていないのに、借りたとは言えないような気がするのですが…。

どの点で「盗む意思がない」と判断したのでしょうか?

原「今回は基本的に全部返してるというところと、施錠されていないので」
 

自転車ならOK?

ただ、施錠されている自転車の鍵を壊して乗り回すとなると、話は変わってくるようです。

原「それは明らかに器物損壊ですし、盗ろうとする意志がなければ壊すわけがないので。例えば鍵を1個借りていたとなると、レンタルに近くなりますよね」

最近はシェアサイクルなど、自転車を借りて走った後、いくつかの決まった場所に返すサービスがありますが、これは正当なレンタルサービスです。

ただ、今回のケースのように12時間も乗り回していたら、さすがに持ち主も気づくはずです。その点ではもともとが盗難車だったから、持ち主(盗まれたものなので、本当の持ち主ではないですが)はなくなっていても仕方ない、と思われたのかもしれません。

また原弁護士は、これが自転車だから無罪でも通用する話であって、自動車であれば事情は異なると語りました。

北野「特に自動車なんかやったら、乗り回したら当然ガソリンを消耗しますもんね」

原「そうですね。(ガソリンを)消耗しますし、事故の危険性も高まりますし、何か責任を負うにしても大きな責任になってしまうので、自動車を簡単に乗ってっていいよなんて簡単に言わないので。
自転車だと乗ってってくださいっていうこともあると思うんですよね。

そういう物に対する程度の問題があって、この場合はおそらく何か貸し借りしてもいい状況があったんだと思うんですよね」
 

置き傘を盗ったらどうなる?

原弁護士はあらためて「刑事処分は何でも処分をしていいというわけではなくて、疑いがあれば処分はしないという方向ですから、盗む意思が不安定だっということで無罪になったんだと思います」とまとめました。

ちなみに、よく店などで置かれている他人の傘、それもよくあるビニール傘を盗った場合はどうなるのでしょうか?

原「そういう時に盗った人を窃盗とするのはおかしいので、傘もどこまで管理されてるか、みんなが共有してるような状態なのかを総合的に見て、窃盗か窃盗じゃないかを判断することになりますね」

これもまた、程度問題ということになりそうです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年10月07日14時12分~抜粋

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