北野誠のズバリ

土地の貸主が変われば契約し直し?借りた側のデメリットは

ある人から土地を借りていてその人が亡くなった場合、新たに契約を結び直す必要はあるのでしょうか?

また、もし新たな契約を結ばなければならない場合、賃料が上がるなどの不利なことは起きないのでしょうか?

『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、リスナーから届いた法律に関する疑問や相談に対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答していますが、9月9日の放送では、この貸主が変わった場合に関するお悩みを取りあげました。

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貸主が亡くなると再契約?

相談の内容は、次のとおりです。

「私は21年前に叔父名義の土地を借りて、一戸建てを建てて住んでいます。その間に叔父が他界し、叔父の長女に名義が移ったそうです。

その長女から、『新しく借地権に関する契約書を司法書士に作ってもらうことになったから』と言われました。

(新しい)契約が私にとって、(現在の契約よりも)苦しい内容になるのではないかと不安です。最初に叔父と交わした契約書は、いつまで有効なのでしょうか。長女との再契約は、必ずしなければならないのでしょうか」(Aさん)

契約内容を勝手に途中で変えられるのは困りますし、とはいえ、現在の貸主は当初の叔父ではない様子。

やはり、契約は結び直す必要はあるのでしょうか?

原先生は「いやいや、契約関係というのは基本的に相続が発生したとしても承継されるので、叔父さんからその娘さんに移動しますから、わざわざ再契約する必要はないですね」とキッパリ。
 

再契約のチェックポイント

そもそもの話、土地の名義については相続できるそうですが、本当にその長女に相続されているかどうかを確認するため、遺産分割協議書を見せてもらったり、相続人であることを確認した方が良さそうです。

現状と比べ大幅な契約変更となる場合、両者の合意がなければいけないとのことで、例えば賃料を1.5倍に上げるなどと言われたら、ハッキリと断れば良いことになります。

ただし、ここで原先生が注意点として挙げたのが、「賃料とかわかりやすいことではなくて、原状回復の仕方とか用途の制限とか期間の変更とか、ちょっとしたことを変えられることが多いんですよね」

例えば、再契約によって新たに用途の制限を設けることで、後から「これは違反です」と言ってきて、契約解除に持っていくといったことが考えられるそうです。

そのため、再契約は明け渡しがしやすいような内容になっていることが多いのだそう。

今回、急に契約書を作るという話を持ち出してきたのも、追い出したいからという可能性があります。そのため再契約にあたっては自分1人で承認せず、再契約の内容を弁護士さんなどにチェックしてもらった方が良いようです。
 

親戚間の契約で注意すること

貸主が亡くなったとしても、再契約の必要がないことは改めてわかりましたが、貸主が亡くなった場合で他に注意する点はあるのでしょうか?

原先生「一番多いのは、(契約を結ぶ双方が)親戚関係の場合、契約書は書かないでなあなあで(済んでいたことが)、その人が死んじゃえば、そんな口約束はなかったことになるので、口約束レベルのものはどこかで書面化した方がいいですね」

また、原状回復のことがもし現在決められていなければ、返す時はどのレベルにまで戻すのか、建物は残しておいても良いのか、更地にするのか、更地にするならその撤去費用は誰が出すのかなど、これを機に決めておいた方が良いとのことです。
(岡本)
 
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2020年09月09日14時12分~抜粋

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