北野誠のズバリ

中年になってからの方向オンチは治せるのか

9月4日放送の『北野誠のズバリ』の「中高年よろず相談室」に、49歳の女性Aさんから「方向オンチ」に関する相談が寄せられました。

よく「女性は地図が読めない」と言われるのは本当でしょうか。大人になってからも「方向オンチ」は治るのでしょうか。

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生によると、「方向オンチ」を治すのにいい方法があるとか。聞き手は北野誠です。

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「方向オンチ」を治したい

まずは寄せられたご相談です。

「私、我ながらイヤになるくらいの方向オンチです。方向オンチは治らないものでしょうか」(女性49歳・Aさん)

方向オンチの人の脳はどうなっているのでしょうか?

吉田先生「脳科学の研究で詳しく研究されています。人は無意識のうちに頭の中で地図を描いて、これを使って目的地にたどりつきます。

方向オンチの方で多いのは、頭の中で地図を回転させることができないことです。歩いてて、途中で曲がったら、頭の中の地図を曲がった方向に回転させる必要があります。
これがうまくできない人が多く、このタイプは特に女性に多いです」

女性は地図が読めない?

「女性の方が道に迷いやすい」というのは本当でしょうか?

吉田先生「そういう本がベストセラ―になったことがありましたから、そう思い込んでいる人が多いですが、アメリカの大学で実験したら、男女で差はでないという結論が得られています。

ただ道に迷う原因については男女差が見つかっています。頭の中で地図を回転させるのは男性が得意。でも女性は、“ここにスーパーがあって、そこを右に曲がる”といった、要所要所の建物や風景を覚えるのが得意で、それを利用して目的地にたどりつく。
だから、最終的に道に迷う比率は男女同じです」
 

方向オンチを治す方法!

頭の中に地図を描く力というのは訓練すればできるものなのでしょう?

吉田先生「この能力はこどもの時にかなり固まっていまして、大人になってからはほとんど発達しません。特に頭の中で地図を回転させる能力は、中高年から高まるのはかなり難しいです」

それでは治せないのでしょうか?

吉田先生「これは方法が見つかっています。建物など目印になるものを記憶して、どっちに行ったらいいかを判断する能力は、中高年でも高められます。指をさして言葉ことばにすると記憶力が高まるとわかっています。

例えば、郵便局のところで右に曲がるなら、郵便局を指差して『郵便局』と言ってみる。次に右の路地を指差して『右に曲がる』と言う。
そうすると脳の中で言語中枢と地図を描く"頭頂葉"という部分が結びついて、効率よく記憶に残ります」
 

方向オンチは脳の老化?

認知症の徘徊で家に帰れなくなるのはどういう感覚なのでしょう?

吉田先生「これを分析した研究があります。お年寄りが家に帰るのを忘れると思っている方がいますが、本人は帰ろうと思っていることが多いです。
帰ろうと思っても、重度の方向オンチになってしまって帰れなくなっているという場合がすごく多いです。

これは脳の老化が原因で、方向を認識する脳の頭頂葉という部分が老化して方向オンチになるのです。
若いころから方向オンチという人はいいですが、中高年になってから方向オンチになった場合は、脳の老化が進んでいる可能性がありますので注意してください」
 

脳の老化を防ぐ

方向オンチを治すことは、脳の老化予防に役立つものでしょうか?

吉田先生「これは大変役立ちます。オリエンテーリングというスポーツがあります。知らない場所に行って地図を見ながら決められた場所をまわる競技です。これをやっていると、認知症の予防にすごく効果があると証明されています。

特別な大会にでなくても、例えばスーパーに行くのにだいたい同じ道を通っているけど、ちょっと遠回りして知らない道を通ったら、脳にとってはオリエンテーリングをやっているのと同じです。老化予防の効果は大きいです」

北野誠はウォーキングする際、よくコースを変えると言います。

吉田先生「素晴らしい。コース変えると頭の中でいろいろ新しい地図を作ったり、地図をぐるぐる回したりしますので、筋肉のトレーニングだけでなく、脳のトレーニングにもなっています」

知らない街を歩いてみるのも大事ですね。

吉田先生「大事ですね。その時に可能な範囲で太い道路だけでなくて、ちょっと路地に入ることが脳にとっては、より高いレベルの訓練になります」

ウォーキングをする時にルートを変えたり、寄り道をしてみるのは一石二鳥のようです。ぜひ取り入れたいものです。
(みず)
 
北野誠のズバリ
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2020年09月04日14時13分~抜粋

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