北野誠のズバリ

処罰を受けたわいせつ教師、再び教師になれるのはなぜ?

萩生田光一文部科学相は、7月22日に開かれた衆議院文部科学委員会で、児童生徒に対するわいせつ行為が原因で教員免許が失効したとしても、3年経つと再取得が可能になるという、現行の教員免許法を改正する方針を示しました。

文科省の調査によりますと、2018年度にわいせつ行為などが原因で懲戒処分や訓告処分などを受けた公立学校の教師は282人と、過去最多を記録しました。

8月1日放送『北野誠のズバリサタデー』では、教員免許法の改正で何が変わるのか、また、そもそもなぜそのような教師が再び教師になれるのか、何が問題点だったのかについて深堀り。

現役の高校教師でありながらスクールロイヤーでもあり弁護士の神内聡(あきら)先生に、北野誠が電話でお話を伺いました。

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処分を受ける教師が年々増加

まず文科省の調査結果で驚くのが、1年間に282人も教師が処分を受けているということ。

もちろん、大半の教師は問題を起こしていないのですが、人数が過去最高となったことには、何か原因があるのでしょうか?

神内先生「1つ事情の変化があると思うのが、被害者側の方、こどもご本人とか保護者の方が、泣き寝入りせずに申告したことが増えたのではないかというのが、大きいと思うんですね」

いじめも件数も増えてきたことで「昔はいじめがなかった」といわれることがありますが、実際にはそのようなことはなく、表に出てきたことで件数が増えたのは、むしろ良い傾向とも考えられるようです。

神内先生「あと、先生方の規範意識が低下してきたわけではないとは思うんですけど、やっぱり(規範意識を)持ってない人間が一定数いるのは事実だと思うので」

割合がかなり低いとはいえ、本来はそういう人がいてはいけないため、最初からそういった人を採用しない、問題を起こした教師は二度と教壇に上がれないようにするといった対策が必要となります。
 

3年経つと懲罰はリセット?

では、現状ではどのような処分が下されているのでしょうか?

神内先生「統計的に見ると、半数以上は懲戒免職なんですね。一番厳しい処分が下されているのは事実なんですけれども、中には訓告などに留まっているのも事実です。

あと、処分を争っているケースもあって、覆るのもゼロではないですね」

懲戒免職とは、要するにクビということです。

しかし、その後再び教師に復帰し、再び事件を起こしたというニュースを聞いたことがあるのですが、これはどういうことなのでしょうか?

神内先生「抜け道みたいな形なんですけど、1つは懲戒免職や処分が下る前に自分で退職して、他の都道府県に採用されるとか、あとは採用する際にどうしても懲戒歴は自己申告で書いていく人も多いので不正確に書いてあったり、名前を変えている人がいるケースもあるんですけど。

あとは、教員免許は懲戒免職になると1回失効するんですけど、現行の法律の下だと3年後に再交付申請ができるんですね。あと、私立で採用される可能性もある。

結局、県をまたいで採用されると、個人情報を行き来するのは難しいので、なかなか履歴を調べていくのが難しいというところもあるんですね」

これは県ごとにデータベースを別々に作っているからというわけではなく、今は共有化されてきているそうなんですが、神内先生いわく、おそらく3年以前の情報が消去されていることが原因なのだそうです。

免許の再交付申請が3年なのに、3年前の情報が見られなくなるというのもおかしな話のように思えますが…。
 

法改正で問題は解決するか

では、法改正により現行の問題点は解決できるのでしょうか?

神内先生「1つは再交付申請の期間を長くするということですね。それと共にデータベースの有効期限をもっと長くするという話だと思うんですけど。

私の個人の感覚なんですけれども、規範意識のない人間だと免許を失効しようが、やってしまう人はいると思うんですね。そういった(法改正の)レベルだと防ぎようがないと思うんですね」

結局、教師として再び復帰するまでの間隔が長くなるだけで、後に再度犯罪を起こす可能性は残ります。

北野「元々そういう犯罪を起こす人は、教師に向いてないと思うんですけどね」

神内先生「教員に向いてないということがわかるので、私個人の意見としては、永久に失効した方が良く、そういったより厳格な法改正の方が、被害を出さなくするには一番効果的じゃないかと思うんけどね」

北野「わいせつ行為の認定は冤罪とかもありますから、そこは厳格に調査せなアカンとは思うんですけども、懲戒免職を受けた人でわいせつ行為とかの場合は、やっぱりその人が(教師に)復帰するっていうのは、納得できない人は多いと思いますけどね」

罪を犯した人の更生という観点から、復帰できるようにしているのかもしれませんが、それなら他の職業を選ぶべきではないかと思ってしまいます。

神内先生は最後に、わいせつ行為で懲戒免職した人が教員免許を失効しても、また再交付できるようにしている根拠が明らかになっていないことを問題点として挙げました。
(岡本)
 
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2020年08月01日09時46分~抜粋

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