北野誠のズバリ

敷金0円の賃貸物件が増加!その原因は?

結婚や就職を機にマンションを借りるという方もいらっしゃると思いますが、物件選びの要素の1つに「敷金が安いかどうか」があります。

その敷金、最近は「0円」をうたった物件が多くなっているのですが、実はこれには理由があるそうです。

7月15日放送『北野誠のズバリ』の1コーナー「ズバリ法律相談室」では、この理由について、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。

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敷金は何のために払う?

今回紹介する相談は、次のとおりです。

「最近結婚して新居に引っ越そうと思い、物件を探していました。すると、敷金が0円の物件が目につき、以前に比べて多いなという印象を受けました。

なぜそのような物件が増えたのでしょうか。(これまで住んできたところで)敷金を払っていた身としては、少し違和感を覚えます。何か法改正などが起きたのでしょうか?」(Aさん)

賃貸の住居を借りる時に払っている敷金や礼金ですが、イマイチ何のために払っているのか、よくわからないものでした。

「敷金はある程度返ってくる、礼金は返ってこない」ぐらいの認識の方が多いとは思いますが、そもそも敷金とは本来、どのような意味で取っているものなのでしょうか?

原先生「敷金は家賃の未払いとか、原状回復の費用とか、それに充当して余れば返ってくるというもので、だいたい家賃の1、2ヶ月分慣例で(払うものだった)」
 

敷金を取らなくなった理由

礼金の方はさすがに最近なくなってきましたが、敷金が0円という物件は本当に増えてきたのでしょうか。

原先生「統計上増えてるっていうニュースは見たことがあるんですけど、おそらく民法改正に絡んで、敷金が明確化したことで変わったのかなとは思いますけど」

国土交通省の「住宅市場動向調査 経年変化比較表(民間賃貸住宅)」調査によりますと、2015年から2018年の3年間で、敷金なしの物件が10%以上増加しています。

では、今まで敷金が明確化されていなかったというのは、どういうことなのでしょうか。

原先生「今まで一応ガイドラインがあって、通常損耗といって通常劣化する日焼けとかは、あくまでも大家さんの負担ということが決められてましたし、他にも細かく決まってたんですけど、法律では何も決めてなかったんですね。

今回、120年ぶりに(民法が)改正されまして」
 
そうすると、新しい法律では、敷金はどのように規定されたのでしょうか?

原先生「素直に条文を読むと、未払い賃料だけに充当して、敷金は別途精算というふうに読めるもんですから、今までは何となく敷金で漫然と引いてたんですけど、それがしにくくなるだろうと、そういう流れになってるんですね」

これまではなんだかんだ理屈をつけて、敷金からお金を引いていました。
しかし新しい民法では、借りた側のせいで損害を与えない限りは、敷金から引くのが難しくなったため、それなら最初から敷金を取らない方が物件も売れるだろう、という考えのようですね。

先程出てきた通常損耗、つまり普通の日常生活で発生する劣化は、基本的に大家さんの負担になるとのことですが、原先生は、借りる側も注意が必要とアドバイスしました。

原先生「(テレビや冷蔵庫などにより、壁が焼けることは)通常損耗で家主が負担。

ただ、本当は賃借人も気をつけて欲しくて、少し話すだけで焼けないんですよね。

本当はお互いに配慮してほしいんですが、今まではちょっと何もかもが賃借人という流れが多かったもんで、紛争が多かったもんですから、明文化したと」

賃貸物件はあくまでも家を借りているということですので、節度を持って借りる必要がありそうです。
(岡本)
 
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2020年07月15日14時13分~抜粋

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