北野誠のズバリ

ふるさと納税を巡り泉佐野市が逆転勝訴!返礼品は今後どうなる?

先日、「ふるさと納税」を巡り大阪府泉佐野市が国を訴えた裁判で、最高裁判所は泉佐野市の訴えを認め、国のある決定を取り消す判決が確定しました。

この訴訟はなぜ起こされ、何が問題だったのか、そして、泉佐野市が勝訴したことにより、今後ふるさと納税はどう変わるのでしょうか。

7月4日放送『北野誠のズバリサタデー』ではこのニュースを取りあげ、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。

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泉佐野市はなぜ国を訴えたのか?

ふるさと納税とは、自分の住んでいるところとは違う自治体に寄付を行うことで、住民税などが控除され、さらに寄付のお礼に返礼品と呼ばれる商品がもらえるという制度です。

元々は名前のとおり、今住んでいるところではなく、昔お世話になった故郷に間接的に税金を収め、地域の振興に役立てるという目的で設立されたものです。

しかし、必ずしも昔住んでいたところでなくても納税が可能なため、寄付を行ってほしい自治体の間で返礼品の競争が激化。

その競争の中で国が法律を改正し、さらに泉佐野市などが過度な返礼品を渡しているとして、ふるさと納税の対象から除外したことで、泉佐野市が国を訴えたというのが事のてん末です。

泉佐野市は換金性の高いギフト券や返礼品の金額が高いとして、たびたび国から注意を受けていたのですが、その注意を聞かなかったということで、法律が改正された際に除外したとのことです。

これに対し、泉佐野市は「過去に注意されたからといって、新制度でのルールを守らないとは言っていないので、国の決定は一方的だ」と反論し、訴えたわけです。
 

最高裁でひっくり返った理由

ただ以前、高等裁判所では泉佐野市は負けているのですが、最高裁判所でひっくり返った例は珍しく、原先生いわく「99%ないと言える」そうです。

また、最高裁判所は国の意向を優先するイメージもありますが、なぜ今回の判決が出たのでしょうか。

原先生「やっぱり過去(国の注意を無視して返礼を)やったからと言って、新制度になって従わないということはないだろうと。

そこまでの立証はできてないということと、新制度になって仮に従わなかったら、そこで制裁を課すなり除外すれば良いので、事前に外す必要はないだろうというのが、最高裁判所の考え方でしょうね」

では、この最高裁判所の考え方は妥当なのでしょうか。

原先生「私は妥当かなというか、今までは国のやり方にあまり歯向かわなかったんですが、地方自治体の意見を尊重しようというところでは、良い判決ではないかと」
 

返礼率はさらに上がる?と思いきや…

ただし、最高裁判所も泉佐野市の手法を全面的に支持しているわけではないそうです。

原先生「制度としては除外はやり過ぎだけど、ふるさと納税の趣旨が(自治体側は)わかってるんだから、そこの産品を送るとか、過度な返礼品を出すべきではないとはちゃんと言ってますね」

泉佐野市の返礼品は、地元とは全く関係のない商品券や地域すら違うお肉セットなどがあり、その点でも注意をされています。

ただ自治体によっては、必ずしも地元生まれの人気商品があるわけではありません。

そこは北野も「もうちょっと(産品の地域の対象を)広げるべきではないか」と提言。

原先生は「泉佐野市もここまで注目されている以上、あまり過度な返礼はできない」と推測しました。

皮肉にもこの裁判の結果で、ふるさと納税の本来の意義にあらためて立ち返るきっかけとなったのかもしれません。
(岡本)
 
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2020年07月04日09時22分~抜粋

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