北野誠のズバリ

足の爪が黒いのは爪水虫?それとも内臓疾患があるの?

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

6月19日の放送では、「半年前から足の爪が黒くなった」という56歳女性のおたよりを取り上げました。

「もしかして内臓疾患?何科でしょうか?」と悩むAさんに、「心療内科本郷赤門前クリニック」の院長で医学博士の吉田たかよし先生がアドバイスを送ります。

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爪の下の血の塊

「右足の薬指の爪だけが黒くなっています。気がついたのはかれこれ半年前で、痛くもかゆくもないし、もちろんぶつけたこともありません。

黒くなっているのは指の3分の1だけで、ちょっと分厚くなっています。もしかして、これは内臓疾患でしょうか?何科にかかればいいでしょうか?」(Aさん)

吉田先生によると、爪が黒くなる原因としてまず考えられるのは「爪下血腫(そうかけっしゅ)」。

これは文字通り「爪の下に血の塊ができる」症状を指します。

爪下血腫の原因として多いのは、指をドアに挟む、または指の上に重いものを落とすなど。

こういった場合、爪の下に走っている血管が破れて出血し、爪の下にたまって黒く変色してしまうのです。

ただし、中高年になるとだんだん血管がもろくなるので、例えば「靴が合わない」または「無理にジャンプをした」というだけでも出血してしまうこともあります。
 

爪の生え代わりで元通り

この吉田先生の話に、自身も靴が合わずに爪下血腫になった経験があると語る北野。

北野がフルマラソンに挑戦する時、練習で履いていた靴が小さかったせいで爪下血腫になってしまったといいます。

吉田先生によると、実は爪下血腫かどうかを見分けるのはとても簡単。

爪下血腫は爪の裏側にくっついているので、爪が伸びるのと一緒に爪の先に移動してきます。

「爪の黒い部分が移動してきたな」と思ったら、ほぼすべてがこの爪下血腫であるということ。

つまり、爪がすべて生え代わるとすっかり元通りになるということです。
 

爪水虫はかゆくない

では黒い部分が移動しなかった場合は、どういった原因が考えられるのでしょうか。

Aさんの場合は「半年前から」ということなので、爪下血腫であればすでに元通りになってるはず。

吉田先生によると、次に考えられるのは爪白癬(つめはくせん)という爪の水虫。

「黄色っぽくなったり白濁することが多いが、色素が沈着して黒っぽくなることも結構ある」そうですが、最大の特徴は「爪が分厚くなること」。

「Aさんはこの可能性が高いのでは」と分析する吉田先生。

爪の中はかゆみを感じる神経が通っていないため、爪白癬になってもかゆみを感じることはありません。

ただ放置しておくと、やがて爪全体がこの白癬菌におかされ、それが周囲の皮膚にも移っていってしまいます。

この場合はいずれかゆみが出てきてしまうそうです。
 

死亡率が圧倒的に高い「悪性黒色腫」

爪白癬も経験済みの北野、その時は塗り薬で完治したといいます。

もともと爪白癬は、1年ぐらい飲み薬を服用しないと治らないとされていました。

しかし最近は治療技術が進化し、比較的早期であれば感染部分の爪を削り、そこに塗り薬を塗るだけで治せるようになりました。

北野の場合も「割合、早期だったと思います」と吉田先生。

他に考えられる怖い病気として一番怖いのは、数は多くはないものの「悪性黒色腫(マリグナントメラノーマ)」という皮膚がんの一種。

マリグナントは「悪性」という意味。

「“マリグナント”ってちょっとオシャレな響きだけど、医学的には怖い意味。日本語でも英語でも、病名にわざわざ“悪性”とついているのは危ない感じがしますでしょ」と吉田先生。

実は悪性黒色腫の死亡率は、皮膚がんの中でも圧倒的に高いのです。

悪性黒色腫は、黒い部分が爪の縦方向に伸びて帯状になる病気ですが、横方向に白い線が伸びる場合もあります。
 

消えない爪の横線

爪の横方向に白い線が伸びる場合は、肝臓や腎臓の病気が考えられます。

これは足の爪だけでなく、手の爪に現れることもあります。

これはアメリカ人のミュルケ医師が発見したことから「ミュルケ線」と呼ばれている線で、爪の横方向に1本、もしくは2本3本と並行してあらわれるものです。

血液中の「アルブミン」というたんぱく質が、肝臓や腎臓の病気で少なくなることで爪の下の皮膚に白い線ができている状態で、この場合は爪の成長と一緒に白い線が消えることはありません。
 

毒を飲まされてできる線

また、こちらはめったにないことですが、爪の成長とともに白い線が移動していくこともあります。

こちらは「ミーズ線」。

爪自体に白い線ができるもので、カリウムのような毒を飲まされるとできる線です。

「スパイなどの秘密工作員は爪を観察する教育を受けているそうです」と吉田先生。

とはいえ、Aさんの場合これは考えづらいといえます。

爪は皮膚の一部なので、「皮膚科」の管轄。

半年も爪が黒い状態が続いているAさんに、「水虫の可能性が高いけど、その場合でも早く皮膚科にかかっていれば、早期に治すことができます。爪全体に広がると1年間の飲み薬となっちゃいますので」と、まずは皮膚科の受診が先決とアドバイスを送った吉田先生でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2020年06月19日14時12分~抜粋

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