北野誠のズバリ

「デマや中傷をリツイートすると訴えられる?」弁護士に聞いてみた

SNSの普及により、有名人やジャーナリストでなくても、誰でも世間に向けて意見を述べられるようになりました。

簡単に情報の発信者になれるというメリットの一方で、嘘の情報が簡単に広まるというデメリットもあり、災害や事件の際にはたびたび問題となっています。

わざとデマを流した張本人は論外ですが、嘘と知らずに広めた人も罰せられたりすることはあるのでしょうか?

6月17日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、オリンピア法律事務所の原武之弁護士に、あらためてSNSの問題点について伺いました。

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デマ情報を他の人に広めてしまった

今回番組で取りあげたおたよりは、次のとおりです。

「前々からツイッター上でデマ情報や特定の人に向けた誹謗中傷などを投稿する人たちが問題になっていますが、それらの悪質な投稿をリツイートした人の法的責任は、どのようになるのでしょうか。

以前から問題になっていることではありますが、最近も誹謗中傷ツイートが問題になりましたので、あらためて先生の見解を聞きたいです」(Aさん)

「リツイート」とは、誰かが発した意見、つぶやきを引用して、他の人に拡散する機能のことですが、もし元々の発言者が名誉棄損で訴えられた場合、リツイートした人も訴えられるのでしょうか。

原先生「一応新しい分野なので、まだ裁判所の判断は固まっているわけではないんですけど、リツイートだけでも名誉棄損で訴えられる可能性はあるという状態ですね」

2014年(平成26年)12月に出た判例によりますと、リツイートしたことだけでも自分自身の発言と同様とのことですが、翌年の11月には、リツイートだけではなく全体を見てどのような言動なのかを評価するという判例も出ていて、評価の仕方にバラツキがあるようです。
 

「いいね」を押しただけでもアウト?

では、なぜ裁判所の判断がまだ固まっていないのでしょうか?

原先生「リツイートしただけではなく、前後の流れとか、コメントのあり方(によって捉え方が異なる)。リツイートだけだと(元の意見に対してスタンスが)フラットなんですけど、前後によってだいぶニュアンスが違うじゃないですか。

ですから、全体を見なきゃわからないでしょという裁判官と、リツイートした時点で積極的な行為があるんだから、本人の言動と同じだと捉えるべきだという裁判官と、2つに分かれてると」

ただ、何気なく「リツイート」ボタンを押すという人も多いでしょう。

原先生「全部が全部名誉棄損となるとあまりにも多いので、積極的に悪質なものだけ処罰したいという思いが裁判所にはあるんですね」

では、「リツイート」ではなく、「いいね」を付けた場合はどうなるのでしょうか。

原先生「『いいね』はもっと(判断が)難しいでしょうね。『いいね』は人によっては、見ましたみたいな合図ですからね」

北野「LINEでいうと、了解の『りょ』みたいな感じですからね」

原先生「そこにそんな悪意はないので、積極的な言動をしたとは評価されないでしょうけど、あまりに悪質なものに『いいね』を押しまくっていると、全体としてどうなるかという議論になるとは思います」

SNSによる問題が浮かび上がる中で、今後はさらに厳しく取り締まれる可能性があります。

最後に原先生は、「特にリツイートは危ない」と語り、「リツイートしただけだからと簡単に考えますけど、自分の表現だと捉える人もいるんだと。これぐらい発信をしても大丈夫というぐらいのものでないと、リツイートしない方がいいですね」と注意喚起しました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年06月17日14時13分~抜粋

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