北野誠のズバリ

「新型コロナにアビガンが有効ではない」と決めつけるのはまだ早い

2020年05月26日(火)

ライフ・ヘルスケア

新型コロナウイルスによる外出自粛は経済に大きな打撃を与えるため、これ以上自粛を続けるのは難しく、私たちは今後、感染リスクを抱えながらウイルスと共存する生活を余儀なくされています。

そのためには治療薬が不可欠ですが、5月20日、新型コロナウイルス治療薬の候補として期待されている「アビガン」について、国内の臨床研究では現時点で有効性は判断できず、さらに研究を進めて検証する必要があると発表しました。

厚生労働省は5月中に治療薬として承認するため、審査手続きを大幅に短縮する方針としています。

治療薬として期待されるアビガン

5月23日放送『北野誠のズバリサタデー』では、アビガンがなぜ今は有効ではないと考えられているのか、アビガンとはどんな薬なのかについて、一般社団法人日本感染症学会の中日本地方会代表で愛知医科大学感染症科教授、三鴨廣繁先生に電話でお話を伺いました。

そもそも、アビガンとはどんな薬なのでしょうか?

三鴨先生「もともと新型インフルエンザ用に、日本ではすでに承認されている薬なんですね。ただ、一般には市販されていなくて、新型インフルエンザが流行した時に、国の判断で出すという薬で、特殊な位置づけですね」

ではなぜ今、新型コロナの治療薬として臨床試験が行われているのでしょうか?

三鴨先生「中国での臨床試験で、重症患者さんに使ったら6~7割ほど効果があったよと。どうして効いているのかはまだ明らかになっていなくて、この薬はインフルエンザでは、ウイルスのRNAの合成・複製を阻害するんですね。

そこで、同じRNAウイルスの新型コロナウイルスにも効くだろうというふうに考えられて投与したところ、効果があったと。だけどどこで効いているのか、どの作用点で効いているのかは明らかになっていないと」

すでに日本でも芸能人の方が投与し、症状が改善したと伝えられていますが、「使ってみたら効果があった。でもその理由はわからない」という現状。

三鴨先生も含め、お医者さんの間ではある程度の効果はあるという認識だそうです。
 

中間発表の意味

三鴨先生は以前、「アビガンは新型コロナウイルスの初期症状に有効」とお話しされていました。

三鴨先生「飲み薬ですから重症の患者さんよりも、初期、軽症の段階から使った方が効果があるよというイメージを持っています。今回それを確かめるのが、愛知県の藤田医科大学が中心になってやっている臨床研究です」

北野「でもこの間、アビガンは有効性が判断できずということが出てきたじゃないですか」

三鴨先生「これはもともとアビガンの有効性を判断する研究ではなく、安全性を判断する研究が主体なんですね。86人の患者さんが予定されているんですけど、現在40人程度が終了したので、中間解析を発表されたと。

安全性には問題がないよということがわかって、効いている症例もあるけれども、臨床効果についてはしっかりした発表はないと思うんですけど、ウイルス量にはそこまでは差がついていないというのが中間成績です。

ただ臨床的には効いているので、研究は粛々と続けるという発表があったんだと思います」

今回の報道で「アビガンは効かない」と誤解された方もいらっしゃるかもしれませんが、「まだ結論は出ないので、引き続き研究を進める」ということですね。

そうすると、早く臨床結果が出そうに思われますが…。

三鴨先生「ただ、アビガン単体で治療している所は少ないんですよね。アビガン+他の薬、例えば吸入ステロイドであるとか、膵炎(すいえん)のお薬であるとかを併用しているので、アビガンが実際にどこまで効くのかという評価をするのは、実は藤田医科大学の研究を待たないといけないのが現実です」
 

今後の生活はどうなる

日本ではアビガンの臨床試験が進んでいる一方で、アメリカでは、まだ初期段階の臨床試験ではあるものの、モデルナ社が開発中のワクチンにより中和抗体が確認できたと報じられました。

三鴨先生は新型コロナウイルスに関する対応について、「確実に進んでいると思っていただいて結構です」と語りました。

そして今、最も気になるのが、治療薬やワクチンができるまで、私たちはどう過ごさなければならないのかということ。

三鴨先生は緊急事態宣言の解除については、「国の判断基準は(1週間の感染報告者が)10万人に0.5人という数字でしたね。こういった数字を満たしているので、(解除は)妥当だと思いますけど、これですべてOKよとなるとよろしくないので、段階的に解除していく方向で進めれば大丈夫だと思います」とコメント。

さらに怖いのは、一部でいったん治った人が再び発症するという症状が伝えられていること。

三鴨先生「新型コロナウイルスは2週間ごとに変異を繰り返しているという論文も出てきて、変異が大きいと病原性も変わってくるので、今後注意は必要ですけど、今までみなさんが感染対策をかなり学んできたので、何とか抑え込むことができると信じています」

北野「確かに日本は諸外国と比べて死者数とかも少ないですよね」

三鴨先生「確かに検査の数は少なかったけれども、陽性者に対しては早くから治療を進めてきました。実際に出たクラスターを詳細に調べて、クラスターつぶしを本当に細やかにされたのが、効果があったんだと思います」

多くの地域で緊急事態宣言は解除になりましたが、引き続き手洗いうがいやマスク装着などの対応は必要とのことです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年05月23日09時22分~抜粋
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