北野誠のズバリ

老眼の人が交通事故にあいやすい理由

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。
5月8日放送の放送では、老眼に悩む43歳の男性リスナーAさんからおたよりが寄せられました。

老眼はなぜ起こるのでしょうか?そして、老眼は治すことができるのでしょうか?

心療内科本郷赤門前クリニックの院長で医学博士の吉田たかよし先生にお話を伺います。

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老眼を自覚する平均的な年齢

「最近、仕事の書類がぼやけて見えるようになりました。『もしかしてこれが老眼?』と思い、ショックを受けました。ニュースでキムタクや福山雅治さんも老眼と聞きました。

そこで教えていただきたいんですが、どういうことで老眼になるのでしょうか。
なんとか治療して、近くも遠くも見える目に戻ることはできないのでしょうか」(Aさ
ん)

43歳は「老眼を自覚する平均的な年齢」と吉田先生。

目の中には「水晶体」というレンズがあり、そこでピントを合わせています。
お菓子のグミのように柔らかい水晶体は、水をたっぷり含んだたんぱく質でできています。

こどもの頃の水晶体には弾力性があり、近くを見る時にはふっくらとした丸い形になって、近くにピントを合わせています。

しかし、歳をとると水分が減り硬くなってしまうため、近くにピントが合わなくなってしまうのです。
 

「水気を足せないんですか、先生!」

ここで北野誠が「近視と遠視では、どちらが老眼になりやすいというのはあるんですか?」と、吉田先生に質問します。

近視は目の奥行きが大きくなりすぎて、遠くにピントが合いにくくなるもの。

遠視はこの逆です。

近視は近くにはピントが合いやすいので、老眼になってもある程度ぼやけずに見ることができますが、遠視は少し老眼が進んだだけでもぼやけてしまうといいます。

とはいえ、近視だからといって水晶体が硬くならないというわけではなく、むしろ硬くなるスピードは「近視の人の方が早い」というデータもあるんだとか。

実際、近視の人が近視用の眼鏡をかけると、遠くは見えるものの近くは老眼でぼやけて見えてしまうそうです。

「水気を足せないんですか、先生!」と訴えかける北野でしたが、吉田先生の答えは無情にも「元に戻すことはできないです」とのこと。
 

ゆで卵を冷やしても生卵に戻らない

水分が不足して硬くなってくるという老化現象は、なんと赤ちゃんの時からすでに始まっています。

若い頃は日常生活で老眼を自覚することはありませんが、40歳を超えると症状として現れてくるのです。

「イメージしていただきたいのは、卵」と吉田先生。

「生卵を加熱したらゆで卵になりますよね。これはたんぱく質が熱で硬くなるからなんですけど。ゆで卵を冷やしたってね、生卵に戻らないですよね、それと同じ原理です」

この吉田先生の例えに、「ああそうか。先生、説明ものすごく的確でした」と、一瞬であきらめた北野。

吉田先生いわく、今後の老眼対策として一番期待されているのは、「カメラで目の前の映像を撮影して、それを目の網膜に映画のスクリーンのように映す技術」。

この技術は遠くにも近くにもピントが合うため有力ですが、「小型化が難しい」といった問題もあるそうです。
 

原因は「紫外線」

それでは、目のレンズである水晶体が硬くなってしまう大きな要因は、一体どこにあるのでしょうか。

参考になるのは、「世界各地の老眼のなりやすさを一斉に比較した研究」と吉田先生。

このデータから、民族にかかわらず赤道に近いほど老眼になりやすく、逆に北極や南極に近づくほど老眼になりにくいという結果が判明しました。

赤道に強いほど、紫外線が強くなります。

紫外線が肌に当たると活性酸素が生じてたんぱく質が硬くなり、しみやしわになりやすくなりますが、目にも同様のことが起こるのです。

5月以降は紫外線の量が増える時期。

「この時期は、老眼を防ぐための対策も需要なので、紫外線カットの眼鏡やUVカットのコンタクトレンズがおすすめ」とのこと。

北野「日傘、やっぱりいるねんなぁ」
吉田先生「日傘も大事ですね。ちゃんと目の上の方に直射日光が当たらないようにさしていただいた方がいいですね」

肌の日焼け対策にばかり目が行きがちですが、目の日焼け対策も忘れてはならないようです。
 

老眼と交通事故

そして老眼が進んだ時に注意しなければならないことは、「交通事故に遭いやすくなってしまう」ということ。

左右の目が同じ程度に老眼になるということは少なく、距離によって見やすい方の目だけで見るクセがついてしまうため、両方の目で距離を認識する力が低下してしまうのです。

吉田先生によると、お年寄りに多いのは、「近づいてくる自動車が止まっているように感じて、そのまま道路を渡ってひかれてしまう」という事故。

カリフォルニア大学が行った実験では、こういった事故を100%防ぐことのできる簡単な方法が発見されました。

それは「道路を渡る前に、自動車を見たら2つ数える」というもの。

2秒あれば、近づいてくる自動車が目に大きく映るようになり、老眼でもわかるようになるのです。

吉田先生「1秒で判断するのは若い頃の習慣。中高年になったら捨てた方が安全ですね」
北野「はぁー気をつけよ。過信したらあかんで」

老眼を予防できる食べ物は、ほうれん草とブロッコリー。

ルテインという成分が目のレンズをコートして、たんぱく質が硬くなるのを予防してくるということです。

誰しも避けては通れない老眼と、上手に付き合っていきたいものです。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2020年05月08日14時12分~抜粋

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