北野誠のズバリ

肛門からも新型コロナウイルスに感染するの?

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

4月24日の放送では、公衆トイレを使うことが多いというリスナーAさんの「肛門から新型コロナウイルスに感染してしまうのではないか」というお悩みを取り上げました。

肛門からウイルス感染という可能性はあるのでしょうか?

心療内科本郷赤門前クリニックの院長で医学博士の吉田たかよし先生にお話を伺います。

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公衆便所の手すりについていたら?

北野誠がAさんのお悩みを読み上げます。

「僕は建設業でやむを得ず公衆便所を使うことがあります。その際に、ウンコ座りができない僕は手すりをつかんで用を足します。
そこで疑問が生まれます。その手で持ったトイレットペーパーでお尻をふいたら、粘膜でできている肛門からコロナウイルスに感染することはないのでしょうか?

尿道からウイルスが入って腎盂腎炎になるなら、ウイルスのついている手で下半身を触ってコロナウイルスに感染することはあるのでしょうか?

ズバリでしか聞きにくいけど、ちょっと心配なのでよろしくお願いします」(Aさん)

この質問に「新型コロナウイルスが肛門から感染するかどうか、現段階では明確な実験は現段階では出ていない」と吉田先生。

とはいえ、身近な生活の中での感染の危険性について考えることはとても大切なことだといいます。
 

肛門は「お尻にある唇」

ウイルスが感染しやすいかどうかは、「表面の細胞がどのような性質か」で大体決まります。

肛門の細胞を理解するためには、「お尻にある唇」だと思えばいいと吉田先生。

医学的にみると、肛門と唇は細胞と性質が極めてよく似ているんだとか。

身体の表面は丈夫な皮膚で覆われているため、新型コロナウイルスが皮膚から感染することはありません。

一方、のど、鼻、目は粘膜の細胞で覆われています。

その細胞には「ACE2受容体」というたんぱく質があり、新型コロナウイルスはそれに吸着して細胞の中に入り込み、感染するというわけです。
 

奥の方を触るのはNG

口から小腸、大腸までは粘膜。

皮膚から粘膜に移行する場所、その入口と出口が唇と肛門なので、医学的にはどちらも「移行帯(いこうたい)」という名前で呼ばれています。

「移行帯自体はウイルスに感染しやすいんですか?」と尋ねる北野に、「一般論ですが、感染しやすさは、皮膚と粘膜の中間」と吉田先生。

吉田先生「唇は皮膚よりはデリケートで乾燥に弱いものの、口の中と比べれば丈夫な感じしませんか?」
北野「しますよ、圧倒的にしますよね」

「感染についても、のど、鼻、目に比べると、ACE2受容体がはるかに少ないため、かなり感染しにくいはずではある」ものの、「絶対に感染しないか」というと、現段階では言い切れないとのこと。

特に肛門の奥に行けば行くほど、粘膜の性質が強くなるため、汚染された指で奥の方を触るのはNGということです。
 

尿道からの感染は?

「尿道から感染することも当然あるんですかね?」という北野の質問に、「絶対に感染しないとは現段階では言い切れないんですけども、可能性は低いと思う」と吉田先生。

女性は尿道から感染して膀胱炎になることが多く、特に女性アナウンサーに多いといいます。

その理由は、生放送中に尿意を我慢してしまうから。

トイレに行くことを我慢している間に病原菌が尿道をさかのぼってきてしまうため、膀胱炎を発症してしまうことが多いそうです。

これが上流まで広がったものが、Aさんの質問にもあった腎盂腎炎。

「腎盂」とは腎臓の出口という意味で、そこに感染が起こることを腎盂腎炎といいます。

ただし、この原因はウイルスではなく、圧倒的に大腸菌。

大腸菌はその名の通り、大腸にうじゃうじゃいて便と一緒に出てくるもの。

肛門と尿道の出口が近い女性は、清潔にしていてもくっついてしまうんだそう。

それに比べてウイルスは尿道の出口にくっついたとしても、大腸菌よりははるかに少ないため、感染は起こりにくいというのが普通の考え方だと吉田先生。

とはいえ、やはり現段階では断言はできないそうです。
 

注意すべきは「糞口感染」

トイレで注意した方がいいことは、「糞口感染」。

便と一緒に出てきたウイルスがトイレの中に大量に存在するため、それを触って、口や鼻や目を触って感染してしまうというものです。

これは「肛門や尿道から感染するよりも、間違いなく100倍以上はこちらの感染の方が危険」と吉田先生。

一方、この糞口感染を心配するあまり、トイレの手すりを持たないお年寄りの事故が増えています。

お通じの時は血圧が乱高下するため、体調によって急に脳貧血を起こして転んでしまうことがあるんだそう。

中高年でふらついた経験のある人は、安全のために手すりはしっかり握って、あとで丁寧に手を洗うべきとのこと。

手にウイルスがついても、手から感染することはありません。

しかし、手を洗う前に無意識で顔を触ってしまっていることが多いため、感染してしまうんだそう。
 

「顔を触るな、顔を触るな」

これを防ぐよい方法が、アメリカのウィスコンシン大学の研究で発表されました。

それは、「口でぶつぶつつぶやくと脳の機能が高まって、注意がそれることがない」ということ。

具体的には、手を洗うまでは「顔を触るな、顔を触るな」とつぶやき続けるいうことです。

「こうすると100%触らなくてすむ」と吉田先生。

口に出すのが恥ずかしい場合は、頭の中で言葉にするだけでもOK。

さらにこれをずっと続けることで、やがて普段から顔を触らなくなるというデータもでているんだそう。

「普段の感染予防にも役立ちますんで、これをぜひやっていただきたいですね」とアドバイスを送った吉田先生でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2020年04月24日14時12分~抜粋

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