北野誠のズバリ

突然やってくる「くも膜下出血」に、新型コロナウイルスと共通の予防法? 

昨日まで元気だった身近な人が突然亡くなってしまう。その原因でよく耳にするのが「くも膜下出血」という病名。
突然起こるくも膜下出血は致死率が高く、助かっても後遺症が残ることが多く、頭が激しく痛むなど、とても怖い印象があります。

4月17日放送の『北野誠のズバリ』「中高年よろず相談室」では「くも膜下出血で突然死しないために」をテーマに、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

突然襲うくも膜下出血

今回の相談者Aさんは39歳男性です。詳しい内容を見てみましょう。

「先日、大学の先輩が突然亡くなりました。死因はくも膜下出血でした。今後、私も気を付けることがあれば教えてください。
亡くなった方は、小太り体形で高血圧の薬を服用していました。タバコは吸わず、お酒も普段は飲んでいなかったと思います」
 

脳の太い血管が破れる

まず「くも膜下出血」とはどういう病気でしょう?

吉田先生「脳の血管に異常が生じて急激に重い症状が発生する病気を、全部まとめて『脳卒中』と言います。

具体的には、脳卒中には3つの病気があります。
まず、脳の血管が詰まるのが脳梗塞。
脳の細い血管が破れて出血するのが脳出血。
脳の太い血管が破れて出血するのがくも膜下出血です」

なぜ「くも膜下出血」というのですか?

吉田先生「くも膜というのは脳の外側を包んでいる膜です。くも膜と脳の間の狭い空間を這うようにして太い動脈が通っています。そこから細い動脈が次々と枝分かれして脳に入っていく構造になっています。

細い動脈が破れるのは脳の中で出血しますから脳出血。太い動脈が破れるのは脳とくも膜の間、つまりくも膜の下に出血するから、くも膜下出血と言います」

くも膜下出血は脳の太い血管が破れるから症状が重いのですね。
 

すべての病気の中で一番痛い

くも膜下出血が起こると、とても痛いと聞きますが?

吉田先生「すべての病気の中で一番痛いのでは、と言われています。医学部の教科書では『バットで殴られたような痛み』と書いてあります。
脳梗塞も脳出血も当然怖い病気ですけど、くも膜下出血は、桁違いに怖い病気です」

くも膜下出血かどうかはどこでわかりますか?

吉田先生「まずモーレツな痛みですね。脳梗塞の場合は痛みが出ないことの方が多いです。
意識を失いかけているか、失っているか、もう見た目で全然違うので、いかにもこれは危ない!とわかります」
 

予兆は頭痛

吉田先生「くも膜下出血の8割以上が動脈瘤といって、動脈が瘤のように膨らんでいる部分がもともとあってそこが破れるんです。

40歳すぎたあたりから、動脈の壁の弱いところが少しずつふくらんで小さい瘤ができます。すると血液がスムーズに流れないので、そこに余計な力が加わってだんだん大きな瘤になり、ついに破れます」

くも膜下出血の予兆はあるんですか?

吉田先生「瘤が破れる何日か前から繰り返し頭痛がする時が多いです。これを“警告頭痛”といいます。
瘤はいきなりドーンと破れることは少なく、その前に、ほんの少しだけ破れて血液がちょろちょろと漏れてくることがあり、それが痛いのです。
あと瞼が下がったり、ものがふたつに見えたりすることがあります」

頭痛がしたら、くも膜下出血の前兆ではないかと、疑うことが大事ですね。
 

破れる前に動脈瘤をふさぐ

そうなった時は何科に行くといいんでしょうか?

吉田先生「脳神経科が一番いいです。瘤がいったん破れたら、半分くらいの人がそのまま死亡し、4分の1は生命はとりとめても重い後遺症に苦しみ、社会復帰ができるのは残り4分の1に過ぎない。非常に厳しい数字です。

ただ先に破れそうな瘤を見つけたら、瘤をふさぐ手術をしたら、くも膜下出血を防ぐことができます」
 

血圧を下げること!

吉田先生「(日頃の)予防としては血圧を下げることです。新型コロナの肺炎と、くも膜下出血は血圧を下げることで両方予防できます。

高血圧だと瘤の内側から高い圧力をかけ続けることになるので、瘤が大きくなります。くも膜下出血で死亡する割合は、高血圧の人は3倍にはね上がります。

新型コロナも血圧が高いと肺炎になりやすく、また、肺炎の進行がすごく早いということがわかっています。だから血圧を下げることは大変重要です」

血圧を下げることは地味なことのようですが、くも膜下出血と新型コロナウイルスを予防できるなら、今こそ真剣に取り組みたいですね。
(みず)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2020年04月17日14時11分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報