北野誠のズバリ

専門家に聞く!新型コロナウイルスの気になる疑問

この土日は東京を始め、全国各地で不要不急の外出を避けるよう自粛要請が出されるなど、新型コロナウイルスの収束が見えない状況が続いています。

連日ニュースで報じられる中、私たちが最も気になるのは、対策について今はどこまでわかっていて、今後はどうすれば良いのかということ。

3月28日放送『北野誠のズバリサタデー』では、一般社団法人日本感染症学会の中日本地方会代表で、愛知医科大学感染症科教授の三鴨廣繁先生に、新型コロナウイルスの現状について直接お話を伺いました。

三鴨先生は、プロ野球とJリーグが合同で立ち上げた新型コロナウイルス対策連絡会議で、専門家チームとして参加されています。

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若い人は移りにくい?

最初の質問は「感染した後に重症化しやすい年齢などに傾向はあるのか?」ということ。

三鴨先生「基本的に重症化しやすいのは高齢者、特に80歳以上ですね。名古屋市のデータでは、70歳以上の方が極めて重症化する率が高いと言われています。

通常はだいたい6%ぐらいの方が重症化しますが、名古屋市はその3倍近くが重症化しています。これは高齢者施設での集団感染があったので、特に死亡率が高いですね」

若い人は比較的自覚症状がなく、高齢者に移してしまって亡くなる可能性が高くなるとされています。

三鴨先生「基本的には高齢者の方や、基礎疾患を複数お持ちの方は重症化しやすいんですけど、若い人が決して重症化しないわけじゃないんです。

例えば、北海道で重症化した女子学生は20代前半ですけど、おそらく精神的なストレスで免疫力が落ちていたと。疲れたとか睡眠不足だけじゃなくて、ストレスも免疫低下に関係しますから、若い人が安全というわけじゃないんです。確かに高齢者に比べると重症化する率は低いと思いますけど」
 

夏になると移りにくくなる?

次の質問は「今回の新型コロナウイルスには、何か特徴があるのか?」について。

三鴨先生「少しずつ明らかになってきて…潜伏期間が長いですよね。中央値で5.5日、だいたい6日ぐらいと言われます。インフルエンザが2日ですので、3倍ぐらい長いですよね。

潜伏期間の後半はウイルスの数が多く出てますから、人に移しやすいと。

もう1つはそもそも、このウイルスが人に移しやすいという特徴があることがわかってきたんですね。インフルエンザよりも感染力が強いということになると思います」

インフルエンザであれば、暖かい時期になると収まりますが、新型コロナウイルスも収まらないのでしょうか?

三鴨先生「たぶん暖かくなると少しは収まってくると思います。だけど、熱帯地域やイランなどでも流行していますので、必ずしも温度に関係ないという学説があるんですね。

ただ、基礎的な論文では、湿度と関係があるだろうと言われていて、今は乾燥していて飛沫も飛びやすいですけど、湿度が上がると少しずつ落ち着いていく可能性も指摘されてますね」

名古屋の夏はいつも湿度が高くて嫌がられるのですが、もし移りにくいのなら、今年は早く夏が来てほしいところですね。
 

においも味も感じないのは初期症状?

阪神タイガースの藤浪晋太郎投手に新型コロナウイルスの陽性反応が出ましたが、味覚やにおいを感じなくなったという自覚症状があったことが話題となりました。

三鴨先生などの専門家はこれまで、味覚異常や嗅覚異常については提言してこなかったのですが、実は教科書的に言えば、風邪ウイルスは味覚異常や嗅覚異常を起こしうるのだそうです。
ただ、これまでの症例報告にはあまりなかったため、注目されていませんでした。

しかしだんだんウイルスの正体がわかり、ヨーロッパを中心に味覚異常や嗅覚異常の症例が出てくるようになりました。
そんな中、藤浪選手の告白によって、世間は「発熱やだるさだけではなく、味覚を感じなくなっても危ない」ということを知ることができたわけです。

北野「味噌汁や肉の焼けたにおいがわからなくなって味も感じなくなったら、ちょっと外出を控えて休むという行動から始まるわけですね」

三鴨先生「今の時点では明らかじゃないけど、初期症状の可能性もありますから、休んでいただく、休む勇気が大事だと思います。日本人はどうしても勤勉だから、なかなか休まないですよね」
 

外出自粛には効果があるのか?

最近では東京で外出を制限されたり、先頃の3連休では大阪と兵庫間の移動について自粛要請が出ました。
こうした移動制限には効果があるのでしょうか?

三鴨先生「あると思います。実際に北海道知事が制限して感染者が減ったので、効果はあるんですよ。だけどこの間みたいに、兵庫に行くのをやめて京都に行こうとかいうのではなく、いまホントに危ない。本当にギリギリなんです!

なので、みなさんちょっと協力して少し我慢する。別に散歩するのはダメと言っているのではないですから。家にじっとしていろというのではなく、不要不急の外出を控えると」

外に出るのでも、3つの密「密閉空間、密集場所、密接場面」を作らないことが大事と言われています。

その点では、買いだめするため店に並ぶのは、密な場所や場面を作っていることになってしまいますが…。

三鴨先生「日本人は熊のように貯めたくなる。不足するかもしれないというと心配になるんですけど、物流は政府も大丈夫だと言ってますから、みなさんが買い占めなければ多分大丈夫なので、気をつけてもらいたいですね」
 

ワクチンの開発はいつ頃?

三鴨先生は、これだけ広まってきているので、「自分だけはかからない」と思わないようにして欲しいと語ります。
そこで気になるのが、「ワクチンの開発は今、どんな状況なのか?」ということです。

三鴨先生「さすがワクチン先進国のアメリカですが、すでに臨床試験が始まってますので、期待できると思います。おそらく、いわゆる規制当局も世界的な危機ですから早く認可すると思います」

もしワクチンができれば、今のインフルエンザと同じような対処法になるということなのでしょうか。

三鴨先生「1年に1回打たなきゃいけないのか、2~3年に1回でいいのか、それは今後検討しなきゃいけないけど、かなり予防には有効だと思います」

最後に北野が当面の対策として、あらためて「3つの密は避けた方が良いということですね」と念押ししました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年03月28日09時44分~抜粋

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