北野誠のズバリ

棋譜の利用も100日後に死んだワニも…お金儲けは悪いこと!?

将棋の世界で最近話題となっているのが、YouTuberと日本将棋連盟が争っているというもの。その争いはネット上にも飛び火しています。

一方で、ツイッターで話題となった4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』が、今後のメディア展開を発表したことにより、ネットで炎上騒ぎとなっています。

3月23日放送『北野誠のズバリ』では、ITジャーナリストの井上トシユキが、この2つの話題には、日本人の感情に関する共通点があると分析。

いったい、どんな共通点があるのでしょうか。

[この番組の画像一覧を見る]

棋譜は自由に使えない

事の発端は、将棋YouTuberの「すぎうら」さんが、棋譜の利用を認めてくれない日本将棋連盟に質問状を送ったというもの。

棋譜とはプロの棋士が公式戦などの対局で指した手の記録のことで、私的ではなく棋譜を利用する場合は、日本将棋連盟の許可が必要です。

すぎうらさんは自身の動画の中で将棋の解説を行っているのですが、その際に棋譜の一部を使用したいため、事前に申請を繰り返しているのですが、音沙汰がない状態なのだそう。

また、以前にある対局について棋譜を元に解説をしていたところ、その対局を主催していた新聞社から「著作権の侵害だ」とクレームがついたことがあるそうです。

すぎうらさんに協力する杉村達也弁護士によりますと、外国ではチェスの棋譜はパブリックドメイン(公共の財産)のため、誰でも使用できるのだそうです。
 

ネットで広まる「嫌儲」という感情

このニュースに関して、井上がネットのコメントを見たところ、「自由に棋譜を使わせて欲しい」という将棋ファンの意見が多いのかと思いきや、逆に「棋譜を勝手に使うのはけしからん!」という非難のコメントが圧倒的だったそうです。

非難される根拠は、「棋譜はプロが全力で勝負した記録で、そこにスポンサーの新聞社ががお金を出して、自分の新聞で独占的に棋譜を載せている。一方でYoutuberは、自分の動画を見させて、広告収入をもらう。金儲けの材料として、人がやったこと、しかもスポンサー付きの棋譜をタダ乗りするのか」というもの。

井上はこの批判は昔からあるといい、YouTubeやブログを趣味でやるのは良いけど、お金儲けに利用する人を嫌う「嫌儲(けんもう)」という感情だと解説しました。

今回の将棋の例で言えば、広告収入をゼロにするか、日本将棋連盟に棋譜の使用料を支払うべきだという考えになります。

井上は「ネットで金を儲けるのは悪ではない」と語りますが、北野は「他人のふんどしで相撲を取るという悪いイメージがあるのではないか」と推測しました。
 

用意周到すぎる?メディア戦略

この「ネットでお金を儲けるのは悪」という考えについて、つながってくるもう1つの話題が『100日後に死ぬワニ』です。

マンガ家のきくちゆうきさんが、昨年の12月12日から毎日ツイッターで4コマ漫画を投稿し、最後に「死まであとX日」とカウントダウンされるというもの。

ネットでまたたく間に話題となり、3月20日に最終回を迎えたのですが、その直後に書籍化や映画化の発表、さらにグッズ販売のイベントが翌日から開始されるなど、早すぎるメディアミックス展開が用意周到と見られたためか、ネットは大炎上。

中には「大手広告代理店が絡んでいるのではないか?」という憶測も呼び、こちらも金儲け目的だという批判を浴びることになりました。

井上は「確かに『棋譜に対価を払いますよ』とか、『広告収入をみなさんの役に立つことに使います』とか、最初に言えば良かったのかもしれない」としつつ、最後に「"ネットでお金を儲けるのは、まかりならん"という潔癖さが、世界の多くの人に発信できるインターネットの良さを失うことにもなりかねない」と指摘しました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2020年03月23日15時21分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報