北野誠のズバリ

台風による水害で注目!八ッ場ダムは役に立ったのか?

今月12日に上陸した台風19号により、日本各地で河川の氾濫が多発し、浸水被害や多数の犠牲者を出しました.

そんな状況下で今、今月から試験貯水中だった八ッ場(やんば)ダムの効果に、あらためて注目が集まっています。

10月19日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『水害列島』(文春新書)の著者で、東京都の都市開発にも関わられた公益財団法人リバーフロント研究所理事、土屋信行さんに、八ッ場(やんば)ダムについて伺いました。

聞き手は北野誠、加藤由香アナウンサー、ITジャーナリスト・井上トシユキです。

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八ッ場ダムの効果は?

八ッ場ダムは民主党政権時代にいったん事業が中止されましたが、その後再開。
「利根川水系の氾濫を救った」「治水効果はあまり期待できない」など、その効果には賛否両論の声があがっています。

今回の水害に対し、八ッ場ダムは役立ったのでしょうか?

土屋さん「端的に言って大活躍というか、本当に頼りになったと思います。10月1日から試験運用ということで始まったばかりで、本当にタイミングが良かったと思います。ほぼ空っぽだったのが、一気に満タンになってしまいましたので、その分約1億トンが調節できました」

土屋さんはさらに詳しく、役に立った理由について解説しました。

土屋さん「実際にはダムは大変お金がかかるので、水道用の水源を貯めるには、東京都や千葉県など、受益地の地域がお金を出してます。灌漑用水、田んぼに水を入れるためには、農業組合とか農業関係の方がお金を出すと。最後に治水ということで、国土交通省(の予算で賄われる)、みんなが役割分担をしているんですね。

本格運用になると、治水用の水の量の分しか調節機能を発揮できないということになりますけど、今回はたまたま空っぽの状態だったので、全部が治水に使えたということですね」

ダムにより役割が異なる

降水量がかなり多い時、ダムでは緊急放流が行われますが、どのような時に行われるものでしょうか?

土屋さん「緊急放流の前に事前放流というのがありまして、普通に使っているダムの場合、治水の部分をあらかじめ台風が来る前にその部分だけ空っぽにしておくと。
台風が来たら治水の部分に水を貯めるんですけど、台風で貯めきってしまってダムが満タンになる場合は、降った分だけ外に出ていってしまうと。
放流というよりは、貯めきれない分オーバーフローしているということですね」

一部から「緊急放流をすると、下流の地域に被害が及ぶのではないか。なぜ事前に水を流しておかないのか!」という批判が起こる場合がありますが、当然、事前に対応はされているようです。

ダムの用途としては他にも水力発電用のものもありますが、それぞれの用途に応じて別々に貯められているのが現状。

これはそれぞれのダムで「水利権」(すいりけん)を持っているところがあるため、それぞれが権利を主張しているためと言われています。

水害の発生が増えてきている中で、今後は各所で調整の上で柔軟に対応する必要性が高まってきそうです。

台風の備えに役立つものとは?

では、一般人が水害で事前に気をつけないといけないことはあるのでしょうか。

土屋さんは、国や地方自治体が提示しているハザードマップが有効だと答えました。

土屋さん「ほぼ100%有効ですね。ハザードマップはよく当たったとか当たらないとか言われますけど、そんなバクチのようなものではなくて、地面が低いところに水が貯まりますよという、レーザープロファイラーというのできちんと測量して、深ければ赤い色を塗り、浅ければ薄い色を塗ったのが基本なんですね」

ハザードマップは、自治体のサイトで公開されている場合もありますので、まずは自分が住んでいる場所や働いている場所をチェックした方が良さそうです。

最後に土屋さんは、「必ずハザードマップどおりに水は溜まっていきますので、ぜひご覧いただいて、ご自分の家がちょっとそういう(被害に遭いそうな)場所だなと思ったら、土のうを用意するとか、家の周りに止水板を置くとか、台風が来たら高いところに避難するとか、役立ててほしいと思いますね」とアドバイスしました。
(岡本)
 
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2019年10月19日09時42分~抜粋

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