北野誠のズバリ

体温が低い私。低体温症?橋本病?それとも…

『北野誠のズバリ』、健康の悩み・夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」。

2月22日の放送では、女性リスナーAさん(49歳)からの「体温が低すぎる」というお悩みを取り上げました。

心療内科・本郷赤門前クリニックの院長で、医学博士の吉田たかよし先生が、生電話でお悩みを解決していきます。

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冬山での遭難

「こどもの熱を測った後、ついでに自分の体温を測ったら、34.5度でびっくりしました。体温計がおかしいと思って再度測っても35度台で、36度ありませんでした。

『低体温症』という言葉は聞いたことがあるのですが、私はこれに該当するのでしょうか。身体の異常は感じたことはないのですが、どうしてそうなるのでしょうか。メカニズムと症状と、具体的な対策を教えてください」(Aさん)

吉田先生によると、低体温症の定義は「体温が35度を下回るもの」。

しかしこの場合の体温とは、脳や心臓といった身体の中心部分の温度を指します。

これは肛門から体温計を挿入して測る直腸の温度で、健康な人で37度。

35度を下回ると脳の働きが低下し、ぼんやりしてしまうそうです。

冬山で遭難して命を落としてしまう場合は、この低体温症が原因なんだとか。

「あの、冬山なんかでよく『寝たらダメだよ!』っていうのは。眠ってるのは低体温症なんですか?」と尋ねる北野に、「そうなんですよ!」と吉田先生。

正確には、「寝てしまう」のではなく「脳の働きが低下して、意識がなくなってくる」状態。

意識を失うことは死に直結してしまうため、無理して起きていようとするのは正しいことなんだそう。
 

脳が冷えていない根拠

脇の下で測る体温は身体の中心部分よりも少し低く出るため、「36度6分ぐらいが平均的」と吉田先生。

ただし身体の表面が冷えている人は、脳や心臓よりも大幅に低い温度が計測されてしまうそうです。

吉田先生いわく、Aさんの脳はそれほど冷えていないと思うとのこと。

「根拠はね、脳が冷えてくると。この番組にね、質問を送るというようなね、意欲がわいてこなくなるんですね」

脳が冷えていると、とてもラジオ番組におたよりを出す気にはなれないだろうというのです。

しかし、安心はできません。

Aさんが40代女性だということを考慮した場合、「橋本病」の可能性も考えられるというのです。
 

5人に1人は「橋本病」

研ナオコさんも以前罹患したという橋本病。

これは、のどぼとけの下にある甲状腺で作られている甲状腺ホルモンが、甲状腺の炎症により減ってしまう病気のこと。

甲状腺ホルモンは新陳代謝を支える働きをしているため、不足すると自動的に体温が低下してしまいます。

九州大学の橋本策(はかる)博士が発見したことから「橋本病」という名前がついており、英語名も「Hashimoto's disease」。

日本人に多い病気ですが、特に30代~40代の女性に多いといいます。
軽い症状の方も含めると、なんとこの年代の5人に1人はなってしまうんだとか。

体温の低下に加え、疲労、むくみ。
そして女性には辛いことですが、顔が老けて見えるという症状も。

血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定することで、はっきりとわかる病気であるということです。
 

がんの発病率がUP

橋本病でなかった場合、体温が低下する原因として圧倒的に多いのは、筋肉の不足。

筋肉は全く使っていなくても自動的に熱を生み出し、体温を維持してくれています。

運動不足は当然ですが、注意が必要なのは「座っている時間が長い人」。

座っている時間が長いと身体の中心部にある「体幹筋」が衰えてしまうため、体温が一気に下がってしまいます。

「この場合、がんの発病率がUPするというデータも出ている」と吉田先生。

ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生で有名になったのは、「健康でも体内には無数のがん細胞が今この瞬間にもできていているが、常に免疫細胞がやっつけてくれている」ということ。

体温が下がると免疫細胞の働きが弱まるため、がん細胞が勝ってしまうというわけです。
 

モデルが美しい理由

「体温が低い人は体温を上げなければならないとしたら、家の中でも座ってたらあかんということですよね」と尋ねる北野に、「運動嫌いの方は、低体温の方が多い」と吉田先生。

「せめて椅子から立ち上がって、室内でも廊下でもウロウロ歩いていただきたい」

その時に、姿勢を良くすると体幹筋が鍛えられるといいます。

理想的なのは、モデルの歩き方。

一流のモデルの方は外見はすごく痩せて見えるものの、実際は体幹筋が鍛えられており、体温もよい状態を維持している人が多いんだそう。

それで免疫力が高まり、皮膚の健康も維持できているため、美しく見えるというわけです。
 

大切な「朝」

この他、体温を上げる方法として大切なのは、朝の過ごし方。

体温は一日24時間のリズムを刻んでおり、朝起きた時が最も体温が低い状態。
起きてすぐに目に光をたくさん入れて、さらに朝食をよく噛んで食べることで体温が上がります。

寒いからと布団でグダグダしていると、体温が上がりにくい体質になってしまいます。

またこの場合、その日の夜に眠れなくなるということもわかってきているそうです。

「人間って先生のおっしゃる通り、リズムよく生活して、ある程度身体を動かさなダメなんですね」と納得の北野。

体温を上げる食べ物としては、ごぼう・にんじん・かぼちゃ・レンコンなどの根菜類がおすすめと吉田先生。

根菜類は芽を出して自分の子孫を育てるために、代謝を上げる成分を根っこに入れていれているといいます。

「それが人間の代謝もアップしてくれ、体温が上がるというわけですね」と結んだ吉田先生でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2019年02月22日14時12分~抜粋

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