北野誠のズバリ

「私が太りやすいのは仕方ない?」遺伝子解析で分かった日本人の体質

12月15日放送『北野誠のズバリサタデー』では、「日本人の遺伝子から分かるルーツ・なりやすい病気」というテーマを取りあげました。

ゲストは『日本人の遺伝子 ヒトゲノム計画からエピジェネティクスまで』(角川新書)の著者で、国際医療福祉大学病院内科学教授の一石英一郎先生。

一石先生は大学院時代に研究した遺伝子栄養学をきっかけに、遺伝子と健康との関わりについて研究されていますが、そこから見えてきた日本人の遺伝子に関することをお話しいただきました。

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日本人とユダヤ人はルーツが同じ?

同番組では以前にも一石先生に温泉の効能について語っていただきました。

まずこの新書で語られているのが、「アジアの中でも日本人は珍しい遺伝子を持っている」ということ。

遺伝子情報を文字に起こすと30億字ほどあり、それを解析した結果、日本人は中国・韓国・ベトナム・シンガポールと比べて全く違う遺伝子を持っていることが分かったそうです。

遺伝子の解析方法がいくつかある中で、おじいさんからお父さん、息子と男性だけに伝わるY染色体を元にしたY染色体遺伝子解析を行った結果、ヤップ配列がユダヤ人と共通していることが分かったそうです。
また、女性の場合でも、ミトコンドリア遺伝解析では一部のユダヤ人と共通しているということが分かってきたそうです。

北野も「日本人とユダヤ人との同祖論が言われてたりしましたけど、遺伝子解析でこういうふうに言われるのは面白いですね」と語りました。

一石先生は文化人類学者や民俗学者ではなく内科医ですが、別の角度から、日本人は近隣のアジア諸国とは違うルーツを持っているということがわかったわけです。
 

糖尿病になりやすい遺伝子?

それでは、日本人の遺伝子に何か特徴はあるのでしょうか。

日本人の遺伝子解析でわかったことの1つに、太りやすい遺伝子を持っているということがあります。

その証拠として、実は世界最古の肥満カルテが日本に現存しており、平安時代末期頃に描かれた絵巻物『病草紙(やまいのそうし)』に太った女性が載っています。

また、日本では国民病と言われるほど糖尿病患者が多いというのも、遺伝子によるものとも言われています。

ただし、イギリスのキングス・カレッジの研究によると、何千種類もの遺伝子が関係しているために遺伝子だけで糖尿病になるかどうか予測するのは難しいとも言われています。

北野はここで「健康診断の時に『親戚や家族の中で糖尿病・ガン・脳卒中になられた方はいらっしゃいますか?』と聞かれますけど、遺伝が関係しているというところからあんな問診が出てきたんですかね?」と尋ねました。

一石先生は「やはり家系・家族にその病気が多いとなりやすいのではないかということが分かってきまして」と答えた後、「ただし、キングス・カレッジの研究では、10年前に遺伝子結果で糖尿病になりにくいと判定された人が『おれは糖尿病にならないだろう』とたかをくくって暴飲暴食や運動不足となった結果、現在は糖尿病がむしろ増えてしまったということもあります」と補足しました。
 

遺伝子は鍛えることができる

また、ガンになりやすいかどうかも遺伝に関係しており、例えばすい臓がんの場合、身内に1人いると約3倍、2人いると6倍、3人いると30倍以上と、なりやすい確率が跳ね上がるそうです。

元々、日本人はすい臓がんになりにくく、遺伝子自体は戦前と戦後であまり性質が変わりませんが、やはり食生活やライフスタイルの変化が大きくしているようです。

元々太りやすい遺伝子を持っている上に、最近はガンになりやすい遺伝子があるなど、現在とても病気になりやすい遺伝子を持っていることが推測される日本人ですが、一方で日本人の平均寿命や健康寿命は今も世界でトップクラスです。

一石先生は、「環境因子の中でも食事、和食などの食生活などにより遺伝子が変化する、つまり遺伝子が鍛えられて、いつまでも若くて健康的に生きられると考えられています」、さらに「住んでいる地域の食生活やその環境での生活が遺伝子と合っているのではないかとも考えられています」と説明しました。

「日本人は太りやすいからダイエットしても仕方がない」と思われた方も多いかもしれませんが、やはり環境や生活習慣も大事だということですね。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2018年12月15日10時26分~抜粋

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