北野誠のズバリ

「喫煙者は採用不可」 法律上は問題ないの?

10月6日放送『北野誠のズバリサタデー』では、「喫煙者採用不可の企業に賛否」という話題を取りあげました。

最近「喫煙者は不可」を採用の条件に掲げている企業が増えてきており、その背景には健康意識の広まりや2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙への対策強化、社会保障費抑制などの影響があると見られています。

導入企業からは「仕事の効率が上がった」との声もあがっているのだそうですが、一方で「喫煙者への差別だ」という反発もあり、議論を呼んでいます。

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喫煙者の自由を侵害との意見も

番組にはこのような意見も届いています。
「私の勤めている会社は昨年から全社禁煙。精密機器への影響が非常に大きく、喫煙者を採用しても社内で吸うことはできません。喫煙者採用不可は、条件的にはおかしいのではないかと思うことはありますが…」(Aさん)

果たして喫煙を理由に不採用とすることは、法律上問題がないのでしょうか。
オリンピア法律事務所・原武之弁護士に北野誠とITジャーナリスト・井上トシユキが話を伺いました。

そもそも、企業が職員を募集する際に、縛りをかけることは法律上許されているのでしょうか。

原先生は、「年齢や性別で区別してはいけないという法律はありますが、その他は法律で明示的に規制しているものはなく、特に違法とは言えないですね」と説明しました。

ただ、一方で「喫煙の自由を阻害している」という理由で反対する弁護士さんもいます。

これは厚生労働省のガイドラインに「労働者を採用する際は、喫煙者かどうかに関係なく公正にしましょう」と記載されているためで、喫煙者の自由を制限することが公正なのかという議論はあります。

原先生は「時代の流れとともに喫煙者の権利は制限されていますが、その反面、副流煙や器官系の病気を抱える方にとっては重大な影響を与える恐れがあるため、制限するのは当然という話になるんですね」と語りました。

今や喫煙者の方が少数派

では、すでに会社に採用されている喫煙者がいるにもかかわらず、会社のルール変更により全面禁煙にすることは問題がないのでしょうか。

原先生は、「一定の病気や疾患を抱えている方にとってみれば、タバコの煙は害がありますから、喫煙者の自由を制限しても合理性があるだろうとなりますね」と答えました。

吸う場所が制限されたり、外に出ていかなければならなかったりと、一部の喫煙者は差別に感じるでしょうが、副流煙などの害悪から守るという方が、現在は重要視されているということですね。

ここで北野は「今まで吸ってきた分の税金を返してもらいたいですけど(笑)」とぼやきましたが、原先生は「それはその時、楽しんでますから」と返しました。

また井上は「喫煙者のほうがマイノリティになって、少数者差別だという意見が出てきているのは面白いなと思うんです。
僕は昔喫煙者で、器官系の疾患でスパッと止めたんです。横で吸われても平気なんですけど、本当に(近くでタバコを吸われるのが)嫌だという人がいることに初めて気付いたんです。
喫煙者が少なくなってきたから(タバコの煙が嫌だと)言えるようになってきたけど、今度は喫煙者が "マイノリティは差別されるのか!" って言う。ここは落とし所はなかなか見つからへんなっていう」と語りました。

禁煙の流れは止まらない

弁護士の中でも「喫煙者の自由がこれまで長く認められてきたので、いきなり禁煙ではなく分煙から進めていくべき」という意見があったり、タバコも一定の財源になっているという事実から完全禁煙とする法律は作りたくないという議員の意見もあったりします。

原先生はこれらの議論について、「人権というのはいつもぶつかり合いの中で、時代と共にどこまで制限していくかという話になるので、一番端的に現れてわかりやすい状態ですけど」と語った上で、「飲食店については条例や法律で規制がかかってきていますし、この流れは止まらないと思いますね」とまとめました。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2018年10月06日09時23分~抜粋

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