北野誠のズバリ

消費税アップ凍結の影で…徐々に社会保険料が上がっている

サラリーマンの方は、自分が健康保険や厚生年金を毎月いくら支払っているのか、ご存知でしょうか?
9月29日の『北野誠のズバリサタデー』では、「社会保険料の増加に関する悪影響」について取り上げました。

国立社会保障・人口問題研究所が8月、医療・年金・介護などの社会保障給付費について、2016年度の総額が116兆9,027億円、前年度比1.3%増となったと発表しました。
日本では高齢化を背景に過去最高を更新し続けていますが、その財源は税金や保険料でまかなわれています。
保険料は増加を続けているために、消費を圧迫する原因の一つとも言われており、日本の景気にも影響を及ぼす問題となっています。

今回はこの問題について、富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの早川英男先生に解説していただきました。

[この番組の画像一覧を見る]

健康保険は保険ではない!?

早川先生は「社会保険料は、もはや賃金税と化している」と主張されていますが、これはどういう意味なのでしょうか。

社会保険料とは、厚生年金や国民年金、健康保険などを指しますが、これらは他の「保険」と意味合いが異なるそうです。

例えば、火災保険や自動車保険は損害が発生した場合に支払われるもの、年金は働けなくなった年齢の時に収入を得るもの、医療保険は病気やケガの時に医療費を払ってもらうというものです。

一方で、年金が将来のために積み立てているのであれば保険と言えるのですが、実際は今の高齢者に支払う年金のために使っています。

後に自分たちが年金をもらう時期が来ると、高齢化が進み、働く人の数は少ないため、今の高齢者と同じレベルの金額は受け取れないものと思われます。

年金が積み立てではないことは、昨今の年金問題でご存知の方は多いと思いますが、実は医療保険も同じなのです。

会社に勤めている方は健康保険組合に加入されていますが、自分たちが払っている保険料は、75歳以上の方にも同じぐらい使われており、保険料の引き上げも75歳以上の方への負担が増えてきたからだそうです。

他人のために使われている時点で保険ではなくもはや税金であり、また賃金に比例して保険料が上がるために、早川先生は「賃金税」だと主張されています。

会社も年金などを負担している

では、実際に社会保険料はどれぐらい上がっているのでしょうか。

加入している健康保険組合にもよりますが、平均は過去10年で5%以上も上がっています。

一方で法人税は引き下げられているので、会社だけが得をしていると思いそうですが、ここで注意しなければならないのは、社会保険料は社員と同じ分だけ会社側も払っており、実は法人税よりも社会保険料の負担が大きいそうです。

社員側からすれば「景気が良くなり、法人税も下がっているのに、なかなか給料を上げてくれない」と言いたいところですが、会社側からすれば、「年金の支払額が上がっているので、人件費も上がっている」とも言えると、早川先生は解説しました。

個人消費がなかなか増えないのは、賃金が増えないからと言われますが、元をたどれば、企業の社会保険料負担が増えているからとも言えます。

ここで北野が、単刀直入に解決策を伺いました。

早川先生は、「消費税の引き上げが2回凍結しましたが、元々は社会保障に使うためのお金。先送りされると仕方がないから社会保険料を上げて必要な財源を賄うしかないわけです。
正面から消費税を上げると反対が多いので、こっそり社会保険料を増やすというやり方が良いのかどうか。

確かに消費という点では、社会保険料を上げても消費税率を上げてもマイナスなんですけれども、社会保険料を上げると賃金が上がりにくい、そもそも正社員の雇用を増やしたくないという話もあるんですね。
そういう社会保険料のゆがみを考えるのであれば、政府が事情をきっちり説明して、社会保険料の引き上げをお願いした方が良いと、我々は考えています」と答えました。

会社員の方は給与明細の手取りだけを見て、「給料が上がらないなあ」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、一度、保険料はどれぐらいなのか、過去の明細と比べてどれぐらい保険料が上がっているのか、あらためて意識した方が良さそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2018年09月29日09時44分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報