北野誠のズバリ

失恋休暇に家族バースデー手当、ユニークな福利厚生は会社を救う?

中小企業を中心に人手不足が大きな社会問題になりつつあります。
この8月に人手不足が原因で倒産したのは45件で、昨年同月と比べて倍以上。
これは2013年1月に東京商工リサーチが調査を開始してから最多の数字だそうです。

そんな中、ユニークな福利厚生制度を続々と導入することで、社員のモチベーションを上げ、求人にも良い効果が出ている会社が三重県にありました。

9月15日放送『北野誠のズバリサタデー』では、「福利厚生で会社を元気にする方法」という話題で、三重県四日市市にある株式会社四日市事務機センターの代表取締役、佐野智成さんにお話を伺いました。

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失恋したら翌日はお休み!?

株式会社四日市事務機センターは創立45年、グループで36名の会社です。

ユニークな福利厚生制度に「失恋をしたら1日お休み」「家族の誕生日はノー残業デー」などいったものがありますが、その制度は「社員の家族向けのもの」「健康」「チームワーク向上」の3つの目的があり、すでに約40個の制度があるそうです。

まず目を引くのが「失恋休暇」。通常は前日までに休暇の申請をしなければならないところですが、失恋した場合は上司にLINEやメッセージで「フラれたので今日は休みます」と連絡すれば良いのだそう。

ただ、本当に失恋したかどうかの証拠として、普段から誰と付き合っているのかを知られていなければならず、年2回の面談の中で交際の報告を受けるそうですが、まだ実際にこの休暇を使った人は誰もいないそうです。

また、妻のバースデー制度では、夫が妻をねぎらうための費用として12,600円(「いいチームプロジェクト」の語呂合わせ)が支給されたり、妻の健康診断費用も会社が負担するなど、家族向けの制度も充実しています。

健康関連では他にも「脱ピロリ菌計画」という制度がありますが、これは経済産業省から2018年に健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定されたことで、「脱インフル計画」に続いて実施しようと思ったそうです。

胃がんの原因と言われるピロリ菌は5歳までに感染するので、そのリスクを回避するため、社員とその家族のピロリ菌検査は会社が負担しようと、去年11月に病院と調整して制度ができました。

導入のきっかけは?

ここで北野が気になったのが、「ありがたいと思う一方で、プライベートに関わり過ぎじゃないか」という点。

佐野さんは、「申請制度なので全員が受けるわけではなくて、自分の方からやりたいという人だけなんですよね。ただ、誕生日のお祝いをした写真などを掲示するため、嫌な人は受けないかもしれませんですね」と答えました。

さまざまな制度を導入していますが、そのきっかけは何でしょうか。

佐野さんは、「元々父が創業者だったんですが、結構(考えなどが)固かった。机は四角くなければいけないというような。でも今は丸でも机自体がなくても良いという、柔軟に対応できるようになって。
中小企業の強みは小回りがきく柔軟性で、だったら、みんなの記憶に残るような面白い名前に変えていった方が良いんじゃないかということで、制度を作っていきました」と答えました。

会社にとっての効果は?

ただ、実施には制度を作る難しさもさることながら、やはりネックになるのはコスト。かつて日本でリストラの嵐が吹き荒れた時は、真っ先に福利厚生がカットされていきました。

これについて佐野さんは、「それほどでもないんですよね。確かに以前よりも費用はアップしましたけど、四日市市や三重県などの制度を有効活用することで、ある程度抑えることができたり、病院などにもご協力いただいております」と答えました。

ユニークな制度が導入されたのは、佐野さんが会社を引き継いだ8年前から始まり、最初は「禁煙制度」から開始して、現在は40制度まで広がりました。

実際に効果があるのか尋ねたところ、佐野さんは「特に男性陣に効果があって、修理のサポートはチームワークが必要なので、効果が出たと思いますね。売上もかなり伸びて、寄与してます」と答えました。

新卒採用にも効果があるのかについては、2019年度採用分から始めたため、前年との比較はできないそうですが、新聞などにこのユニークな制度が取り上げられたことによって話題となったからか、30名を超える方と面接をしたそうで、効果は感じているそうです。

働き方改革が進む中、今後は会社選びに「働きやすさ」が重要となりそうですが、その1つのものさしとして、「福利厚生の充実」が再び脚光を浴びそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2018年09月15日09時43分~抜粋

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