北野誠のズバリ

史上初!広辞苑を執筆した芸人が語る国語辞典の作り方

話題の本の著者や話題の人にインタビューを行う「ズバリこの人に聞きたい」。

3月10日の放送では、広辞苑の作り方について、『東京ポッド許可局』(TBSラジオ)などでもおなじみのサンキュータツオさんに北野誠が話を伺いました。

10年ぶりの改訂となった『広辞苑第七版』(岩波書店)が今年の1月に発売されましたが、売り上げは好調なようです。

芸人初!広辞苑を執筆

タツオさんはお笑い芸人として初めて広辞苑の執筆に携わり、サブカルチャー部門を担当されたのですが、まずは執筆依頼が来たいきさつから伺いました。

タツオさんは大学院で日本語学を専攻していた時、指導教授が国語辞典の編者で、自身も国語辞典が好きで集めていており、今も自宅に230冊ほどあるそうです。

そして、『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』(角川文庫)という国語辞典に関する本を書いていることと、マンガ・アニメにも造詣が深いことから、広辞苑の担当者から直接依頼があったそうです。

その『-国語辞典の選び方』の中では、『新明解国語辞典』(三省堂)が凄いと称賛されていますが、なぜなのでしょうか。

タツオさんは、「それまでの国語辞典は、すでに出ている国語辞典のコピペに近かったんですね。どう説明するかより、どういう言葉を入れるかがメインに作られていた時代があって、著作権もどこにあるかわからず、引用もされ放題だったんです。
『新明解国語辞典』は、引用したら一発で「これは『新明解』だ」ってわかるような説明の仕方をすることで引用させない、ちゃんと許可が要るんだよということを意識させた辞典だったんですよね」と解説しました。

ここで北野が、「『新明解-』は、"巨乳"とか"貧乳"とか載ってるんでしょう?何十年後かにこの時代にはこういう言葉があったんだよって言うためにも載せてるんですかね?」と尋ねました。

タツオさんは、「特にみなさんが一番よく手に取る小さな国語辞典は、改訂のスパンが8~10年に1回ぐらいなので、この時代はこういう言葉が使われてたよって載ってる物だと思っていただいて構わないと思います」と答えました。

古い国語辞典と読み比べてみると、面白そうですね。

言葉の採用を巡る攻防

広辞苑に話を戻すと、タツオさんの担当は約70項目ほどで、うち20項目はどの辞典にも載っていない新たな単語を執筆しました。

この新たに載せる言葉の選定に一番時間がかかり、これはいろんな国語辞典を持っているタツオさんにしかできない作業と言えます。

広辞苑は百科事典なので固有名詞や作品名が入っており、人に関しては前回の改訂以降に亡くなった方で、新たに広辞苑に入れるべき人を選びますので、対象は膨大です。ちなみに、今回は赤塚不二夫さんが載っています。

また、アニメのジャンルは毎年新しい言葉が生まれるので、こちらも対象は多くなります。

まず岩波書店に新しい言葉を提案しますが、提案する人はタツオさんを含め、いろんなジャンルの専門家が200人もいますので、ジャンルのバランスを取るため、ふるいにかけられます。

そして、採用された言葉に対して説明文を執筆・提出した後、岩波書店側で広辞苑としての文体に整えるというやり取りが行われます。

BLは採用、ツンデレは不採用のナゼ

今回、タツオさんは「ボーイズ・ラブ」を提案しましたが、これは他の国語辞典にも載っておらず、載っていたとしても「少年愛を描いたもの」という一昔前の概念だったため、「自分が携わるなら、これは入れなきゃいけない!」と思って、提案したそうです。

説明には略称の「BL」も含まれていますが、実はこれを入れるのでも結構な戦いがあったそうで、「BLという言葉を辞書で引こうとする人は、その意味がわかっていないから引くのであって、『BL』の項目も載せるべきだ」と思い、載せてもらったそうです。

なお、「ツンデレ」は不採用となったそうですが、これは意味が固まってないからではないかとタツオさんが推測しました。

この言葉が使われ出した時は、「最初はツンツンしているが、仲良くなるとデレデレする」という時間の経過が含まれていたが、今はツンツンするのと同時にデレデレするという、二面性の意味も含まれるようになってきています。

言葉が使われなくなってから採用されるという場合もあり、前の版では「死語にならないと採用しない」と明言されていたそうです。

日本を代表する国語辞典だけに、定義が定着していないものは採用しづらいのかもしれませんね。

最近の言葉を探して、どのように説明されているのかチェックしてみるのも面白そうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2018年03月10日10時26分~抜粋

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