北野誠のズバリ

過去5年で1万5千人も…奨学金破産の実態

2月17日放送『北野誠のズバリサタデー』では、奨学金破産について取りあげました。

国の奨学金が返済できずに自己破産するケースが借りた本人だけではなく親族にまで広がっており、日本学生支援機構によると、過去5年間で約1万5千人が自己破産し、その約半分が親や親族が保証人だったそうです。

無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いているというのですが、最近特に問題となった原因は何でしょうか。

奨学金問題に詳しい中京大学国際教養学部の大内裕和教授に、北野誠が伺いました。

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学生の半分以上が借りている

そもそも、現在どれぐらいの学生が奨学金を利用しているのでしょうか。
大学での奨学金の利用率は90年代は2割程度でしたが、2014年は51.3%と半分以上に上がっているそうです。

大内先生によると、返せなくなった率は上がっているということはないが、利用者が増えているため、自己破産する人数が増えているとのことです。

そして卒業してから何年間返済する必要があるかというと、金額や条件にもよりますが、日本学生支援機構から借りた場合は通常は10年以上であり、長くて20年というケースもあります。

20年となると、42、3歳まで返し続けることになりますが、破産にならないまでも、返済額が大きいために結婚や出産になかなか踏み切れないというケースも増えてきているそうです。

また、卒業後就職しても全体の4割が非正規雇用に就き収入が不安定、さらに正規雇用で採用されたとしても、最近は「名ばかり正規」といった不安定な雇用形態があったり、正社員でも賃金がなかなか上がらなかったりと、終身雇用が普通だった昔と比べて、返済しづらい状況にあるそうです。

奨学金は借金と同じ

日本育英会として知られていた機関が独立行政法人の日本学生支援機構に変わった時、債権回収の方法が厳しくなったそうで、滞納4か月を超えると、債権回収の専門会社が取り立てを行うことになり、延滞金は1年あたり5%かかります。

奨学金は借金だと理解してもらうため、高校で説明することについて一定程度改善は進んでいるが、学校によって取り組み方に違いがあり、そもそも自分で生活した経験がなく、金銭感覚を理解するのは難しいとのことです。

では親子共倒れになるのを防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。

奨学金の保証には「人的保証」と「期間保証」があり、人的保証は保証人を立てることですが、期間保証は一定の保証料を支払えば連帯保証人は不要となる方法です。

大内先生は「原則的には保証料があっても、"期間保証"を選ぶ方が良いと思います」と勧めました。

大学の必要性を考える時期か

最後に大内先生は、「学費が以前よりも高くなっていることに加え、この20年で親の所得もとても下がっていて、親が授業料を支払うのが難しくなってきている。多くの学生が奨学金を利用しなければならないというのが、厳しい現状を示していると思います」とまとめました。

大学の数が多く増えていった一方で日本は少子化となったため、本当に必要な大学だけを残して淘汰すべきという意見があります。

また、授業料が20年前と比べて1.5倍以上になったケースもあり、国公立大学でも安いわけではないようです。

大学の質を考えることと、授業料を安くすることの両面から考える必要がありそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2018年02月17日09時44分~抜粋

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