話題の本の著者などにインタビューを行う「ズバリこの人に聞きたい」。
11月25日の放送では、『黙殺 報じられない無頼系独立候補"たちの戦い』(集英社)の著者、畠山理仁さんに「無頼系独立候補から見る選挙の問題点について」というテーマで、北野誠がお話を伺いました。
「無頼系独立候補」とは、政党や後ろ盾がなく国政選挙などに立候補する方のことで、マック赤坂さんなどが有名ですが、『黙殺―』では、単に人となりを紹介するだけではなく、その人たちを通して日本の選挙の問題点をあぶり出しています。
畠山さんは土曜月イチレギュラーの大川興業・大川豊総裁とかつて一緒に選挙の取材を行っており、北野も20年以上にわたり無頼系独立候補をチェックしています。
"
選挙に何度も挑戦する「無頼系独立候補」って何だ?
気になる疑問を直撃!
まず一番気になるのは、「選挙に出るのにはお金がかかるが、その出どころはどこから?」という点です。
畠山さんは、「ビジネスで財を成した方や、コツコツ節約をしてお金を貯めた方、生活保護を受けている方もお金を貯めて出る方もいて、さまざまです」と説明しました。
次に気になる点として、北野は「マック赤坂さんは、(大阪市長選や東京都知事選など)ガチで通るつもりやったんですかね?」と直球の質問をぶつけたところ、畠山さんは、「毎回真剣なのは間違いないが、本人も(当選は)難しいと承知の上で立候補している」と答えました。
失礼ながら、ほぼ勝つ見込みがないにもかかわらず選挙に出馬するのは、政見放送などの宣伝目的と思われがちですが、供託金300万円を払い、真剣に選挙に臨んでいるようです。
また、無頼系独立候補だと分かる特徴の一つに、選挙のチラシが手書きということがあります。
北野は、「選挙公報で手書きのチラシを見ただけで胸騒ぎがする。パソコンが使えないのか、仲間はいなかったのかなどと、いろんな思いが巡る」と語ります。
活字だと信用があるというわけではないですが、手書きという点でやや怪しさを感じてしまうかもしれません。
畠山さんによると、手書きの原因の一つとして、立候補の締め切りギリギリにお金が集まったために時間がなかったからか、広報の原稿をその場で書いた人もいたそうです。
高すぎる日本の供託金
選挙にお金がかかる原因の一つは供託金で、国政選挙は300万円、比例区だと600万円もかかってしまいます。
供託金は決められた票数が獲得できれば、落選しても返ってくるのですが、票数が少ないと没収されるために立候補を躊躇してしまいますし、そもそも個人だとそれだけのお金を集められない場合もあります。
北野は供託金が高いせいで出馬する人が少なくなったとし、「かつて供託金が100万円だった時代、政見放送はあらゆる人のパフォーマンスの場だった」と懐かしがりました。
内田裕也さんの政見放送は当時話題となりましたし、昔はものすごい数のミニ政党が乱立した時期もありました。
世界的に見ると供託金制度自体がない国が多く、イギリスやカナダ、オーストラリアでも7~9万円程度ですので、日本は極端に高く、金持ちか大きな団体がバックにある人しか立候補できないというわけです。
政策自体は悪くない?
畠山さんは無頼系独立候補の方々について取材するにつれ、「この方々のパワーはすごく、なぜこの人たちは世の中に出られないのか」といら立ちを感じると言います。
ともすれば「おかしな人」と思ってしまいがちなのですが、実は真面目に政治を考えていて、公共のために働くという意識が強いそうです。
無名な分、自分のウリが打ち立てた政策そのものであるためかアイデアは良く、他の当選した人が採用しているケースもあるそうです。
政党への信頼が揺らぎ、その人個人を見極めて投票する必要性が高まる中、「無名な人というだけで無視するのはもったいない」と畠山さんが語るとおり、一度偏見を取り払った上で、政策などでフラットに候補者を見ることが大事かもしれません。
(岡本)
関連記事