北野誠のズバリ

AV業界は今、未来のために改革を進めています。

一週間のニュースを北野誠がぶった切り、ダークサイドな土曜日を吹き飛ばすニュースバラエティ『北野誠のズバリサタデー』。メインパーソナリティーは北野誠、アシスタントは加藤由香アナウンサー、番組ご意見番はITジャーナリストの井上トシユキです。

気になるニュースを専門家と電話をつないで掘り下げる「今週のここ掘れニュース」のコーナー。
10/14のお題は「AV5年ルールって何?」です。

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有識者じゃないと…


AV(アダルトビデオ)への出演強要が問題視されていることを受け、今年4月に発足した第三者機関「AV業界改革推進有識者委員会」が、半年間の調査を終え、報告会を実施しました。
その報告会では、出演強要を防ぐ仕組み作りとして、メーカーやプロダクションが守るべき新ルールが来年1月から実施されることが発表。改善策として、「共通契約書の使用」や「作品に5年間の使用期限を設ける」ことなどを盛り込んだということです。

お話を弁護士の角田龍平さんに伺っていきます。

まず「AV5年ルール」とは、どんなものなんでしょう?
「AVの作品使用期間を5年に設定して、5年が過ぎて、再び女優とメーカーが契約を結ばない限り、その作品が配信されなくなるというものです。今だと結構、昔の復刻版とかいっぱい出てるじゃないですか。そういうことが女優の許可なく勝手にできなくなるんです」

今なら、一度撮ってしまえば、メーカーがいつまでも再販・再利用できるということです。

北野「この、聞き慣れない『AV業界改革推進有識者委員会』。これ、僕呼ばれてないんですけど」
井上「僕も呼ばれてなかったですね。おかしいねえ」
北野「よくAVを観てるオッサンとかは呼ばれへんかったんですか?」

こんな悪ノリ質問にも角田さんは答えてくれました。

「最近、女性がムリヤリAV出演にさせられる問題が人権団体により取りざたされ、場合によっては裁判になったりなどしたため、これではダメだとAV業界が立ち上がりまして。大学の先生や弁護士が有識者としてこの委員会に入って、AV業界団体が守るべきルールを設定したと。その中の1つが5年ルールだということなんです」

やはりただのAV大好きオッサンでは務まらないようです。

AV5年ルールとは?


AVを引退して、結婚したりして普通の生活を送っているところに、復刻版やらオムニバス版やらで何度も再販されてしまうのは、当人にとって非常に困りますよね。

今やインターネット上で配信するのが普通になってますから、昔よりも人目につきやすいし、1度出ただけでも半永久的に残ってしまう、いわゆる"デジタルタトゥー"の状態にもなります。そうすると、第2の人生が円滑に歩めなくなってしまいます。
そんな状況を少しでも緩和すべく生まれた考えが、5年ルールなのです。

「人気女優の作品が観られなくなるのは残念」というAV愛好家の声もあるようですが…。

「そういう愛好家の人というのは、結構最初の段階で作品を保存すると思うんですよね。5年ルールのせいで観られなくなるような人は、そんなにファンではないと思います」と、角田さんは推測します。
なるほど、ごもっともです。

適正AVになるためには


今回、AV女優を守るルールも強化されました。それが「共通契約書」。
業界団体に所属しているメーカーは全て、同じ契約書を使わなければいけません。

これで、ちゃんと女優の出演の意志などを確認し、しかも「AV出演することがどういうことか、わかっていますか?」ということを、さらに第三者機関が意志確認するというシステムになります。

他にも、面接・契約・撮影の過程を全て録画しないといけなくなります。警察の取り調べの可視化のような話になっていますね。

これらを守ってできたAVは「適正AV」と呼ばれ、守られなければそのメーカーは業界団体から脱退させられるということです。

ちなみに、女優の意志確認をする第三者機関の代表を務めるのは、熟女ブームの火付け役となった元AV女優で、作家の川奈まり子さんです。

ただ、1回しか出ない人も含めて年間数千人がデビューしているAV業界。その中でもいわゆる「素人ナンパものAV」などは、事前の意志確認はおよそ不可能だと思われます。

その点を踏まえて角田さんが話します。

「女優の出演強要問題は、人権侵害なので当然あってはならないのですが、一方ではAVの、作品としての表現の自由にも配慮しなければならないとは思うんですよね。その意味では、今回のルールではちょっと制約がきつすぎるんじゃないかなというのが僕の印象です」

AVの未来のために


訪問販売などで、契約しても一定期間内なら解約できる「クーリングオフ」という制度があります。
これがAV業界にもあれば、ナンパものに出てはみたものの、やはり発売してほしくないと思った時に、有効になります。
こういう制度はあってもいいと話す角田さんですが、共通契約書となると、作品ごとにプレイ内容も異なるため、いろいろトラブルが起こるのでは、と懸念します。

「こんなことをやられるとは思ってなかった」となって、アドリブでの展開が望めなくなったりして、AVの表現の自由が狭まってしまい兼ねない、と。

これらのルールは、業界内で決めたことなので、法的な拘束力は持ちません。しかも、元から業界団体に属していないマニアックな作風のメーカーもあります。
実現には難しい部分があるかもしれません。

しかし、「団体を作り、『トラブルを未然に防ぐためですよ』という意志をAV業界が示したのが大きいんでしょう」と北野は言います。まずは一歩進んだということですね。今後の業界の発展のためにも、うまくいってほしいものです。

最後は「“適正AV”というネーミングはいかがなものか?」という角田さんに、同意する北野と井上。
何だか、人前で正々堂々と観ても恥ずかしくない感じがしちゃいますね。人前で観ちゃダメですけど。
(岡戸孝宏)
北野誠のズバリ
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2017年10月14日09時45分~抜粋

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