人生の終わりに向けた活動を行う、いわゆる「終活」で比較的簡単に取り組めるのが「エンディングノート」です。
数年前から話題になり、全国各地でセミナーが開催されていますが、実際に取り組んでいる人はまだまだ少数だと言われます。
そこで今回は、上手なエンディングノートの取り組み方について 一般社団法人終活カウンセラー協会の代表理事、武藤頼胡(むとう・よりこ)さんに、北野誠が話を伺いました。
実は気軽に取り組める終活。「エンディングノート」を書いてみよう
エンディングノートとは?
そもそも、「エンディングノート」とは何でしょうか。遺書と同じように思われる方も多いかもしれませんし、直訳っぽく捉えると「死ぬためのノート」と思いがちですが……。
武藤さんは実際にエンディングノートを書いていて感じることは、「人生の過去・現在・未来を具体的に書いていく物」だそうです。
例えば今まで住んだことがある住所や学歴といった人生の棚卸し的なものから、介護や終末期医療の希望、お葬式・お墓・供養の仕方などについての希望をまとめることです。
さらに武藤さんは、「一番の目的は、大切な人への思いをしっかり書くこと」と語りました。
北野は、「親にノートを渡すと嫌な顔をされる。早く死んでほしいのかと親に誤解される」と、人に勧めることの難しさを語りました。
過去を書くとやりたいことが明確に
エンディングノートは、結構年齢を経た方のためのものという印象がありますが、そうとは限りません。
武藤さんは、誕生日の1月に毎年書いているそうです。
北野は「書くことによって、本人の何かが変わる?」と尋ねましたが、武藤さんは「漠然とした未来の希望が明確になるため、やりたいことが見つかる」と答えました。
さらに北野は、「例えば定年退職後、70歳の人が書くとなった場合でも何を書いていいのか分からない人が多いが、まずは何を書けば良いか」と尋ねました。
武藤さんは、「未来の希望を考えるノートですが、まずは過去を振り返っていくと、書きやすくなる」と答えました。
過去のことを書いている時に、例えば「あの時お世話になったあの人は、今どうしているのかな」と思い起こされた場合、具体的な活動内容を考えるようになるとのことです。
また会うためには健康でいなければならないから、健康のために何かしようと行動したり、お金が必要なら貯金はどうするか考えたりするようになるそうです。
また、エンディングノートは遺言書と違って法的効力はないのですが、書き方に決まりはないため、気軽に取り組みやすく、遺言書を書くための下書きとして使えます。
まずは気軽に書いてみよう
北野は「1年に1冊ずつ書くと、書く内容がぶれていくことがあるか」と尋ねたところ、武藤さんは「1年間で人は思いが変わるので、部分的に内容が変わることがある」と答えました。
武藤さんは今まで6冊書いてきましたが、今あらためて1冊目を読むと面白く、当時と比べてお葬式の希望が全く違っていたそうで、3年ほど経つと全然違うと言います。
エンディングというよりも、自分を見つめ直すためのものであり、過去に何度も書くと書きやすくなるとのことです。
また誕生日に書くのが、忘れなくて済むので一番良いとのことでした。
最後に武藤さんは、「1人で書きにくい場合は、他の人と一緒に話しながら書くのも良い」と勧めました。
(岡本)
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