話題の本の著者や話題の人にインタビューを行う「ズバリこの人に聞きたい」。
今日は『ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う』(東洋館出版社)の著者で、名古屋大学大学院准教授の内田良先生に「中高生の部活動で問題となっている点」について、北野誠が話を伺いました。
内田先生は運動会の組体操など、学校現場にあるリスクや理不尽なことについて、社会学の観点から問題を提起されています。
教員は休日返上のサービス残業など長時間労働の元凶となっており、子どもは体力や自由を奪われている部活動が社会問題化していますが、なぜこのような問題が起こるのでしょうか。
部活動の顧問はほとんどタダ働き!
まず北野が「部活動は元々、学校ではどんな位置づけですか」と尋ねました。
内田先生は、「学習指導要領では、『生徒の自主的・自発的な活動』と書かれており、全員が強制参加するものではない」と答えました。
部活動が良い点は、「先生と生徒の絆、生徒同士の絆が深まることや、スポーツや文化活動が低コストで提供されていること」ですが、一方で、先生も生徒も、部活動の参加が実際は強制となっているのが問題なのです。
生徒は勉強など他のことをやりたいのに部活動に時間が取られ、先生は部活動終了後に授業の準備をしなければならず、長時間労働になってしまいます。
教師側からしてみれば、ブラック企業と同じような勤務体系であり、意外と知られていないのですが、夕方以降に残業代が出ないのです。
さらに、最もつらいと言われているのは、土日に対外試合などで休みがつぶれるが、数千円程度の手当しか出ず、交通費が出ない場合もあるため、赤字にさえなってしまいます。
自分の知らないことでも顧問に
これだけ大変な状況にありながら、なぜ今まであまり社会問題化されてこなかったのでしょうか。
教育現場では声が挙げにくいからで、先生と生徒の絆が生まれると「部活動はブラックだ」と、先生側は言いにくいそうです。
また、部活動で夜遅くまで生徒のために指導するのが、先生として一人前という見方もあります。
そもそも部活動は自主的な活動であると明記されているために制度設計がなされておらず、学校の管理も行き届いていません。
顧問の半分が素人というデータもあるほどで、その部に精通している人が必ずしも顧問になっていないことが問題です。
また、教師になるために大学で様々な勉強をしますが、部活動の顧問については学ぶ機会はありません。
教育なのか遊びなのか、ハッキリしないところではありますね。
土日もつぶされ教師は疲弊
運動部の顧問は対外試合などで土日に家にいないことも多いため、「部活動未亡人」という言葉があるそうで、内田先生は驚いたそうです。
教師の過酷な労働環境に対し、北野は「部活動は週3日程度にし、勝利至上主義でなくても良いのではないか」と問いかけます。
内田先生は、「部活動は大人の草野球のような一生涯続けていけるような趣味で、ゆとりをもってやるもの」と考えます。
さらに、「部活動は先生がやるのが当たり前になっているが、(部活動の在り方を考え直すことで)部活動は何のためにやるのか?大会に出ることが本当に必要かを考えるきっかけになる」と語ります。
ブラック企業が社会問題になったことにより、あらためて長時間残業の在り方を考えるきっかけになり、それと同じことだということです。
最後に内田先生は、「部活動すべてを否定している訳ではなく、おかしな方向に行っているのではないか(といったん立ち止まって考え)、部活動の健全な形を取り戻そうということを考えて欲しい」とまとめました。
(岡本)
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