北野誠のズバリ

男性でも母乳は出ます。でも大量に出る場合は要注意!

毎週水曜日は「ドクター石蔵の中高年よろず相談室」をお送りしています。
このコーナーは毎週、健康の悩み・夫婦の悩みなどを、循環器・心療内科・更年期が専門の医師で、中高年アドバイザーの石蔵文信先生に電話で伺います。

今日取り上げる悩みはこちら。
「男性なのに、お乳から白い液体が出る」

48歳の男性からのお便りです。
「最近、乳首から白い母乳のような液体が出ることに気付きました。痛みや出血はないのですが、放っておいても大丈夫なのでしょうか?」

[この番組の画像一覧を見る]

母乳が出る仕組み


これは果たして母乳なのでしょうか。石蔵先生が説明します。

「男性にも乳腺がありますから、お乳が出ることはあります。それを“母乳”と言っていいかどうかわからないですけど(笑)。
男性は女性よりは乳腺が発達していないので、大量に出ることは普通はないですね」

男性なので“父乳”でしょうか。「ふにゅう」だと何だか気が抜けますね。訓読みで「ちちちち」だと言いづらいし。いずれにしろ、そんな言葉は正式には存在しないので、置いておきましょう。
便宜上、ここでは「母乳」という呼称で統一します。

パーソナリティーの北野誠がふと思い出しました。
「そう言えば若い頃、俺の連れが自分のおっぱい絞って、白いものを出してたのを見たことがあります」

石蔵先生によると、年齢にはあまり関係なく、お乳は出るそうです。

では、男性から母乳が出る現象は、医学的に問題はないのでしょうか。石蔵先生が解説します。

「まず、母乳の分泌にはホルモンが関係しているんです。『女性ホルモン(エストロゲンなど)』は一般的におっぱいを発達させる作用があるので、思春期の中学生くらいから女性はおっぱいが膨らんできますよね。これは母乳ではなくおっぱいを発達させるホルモンです。
一方、出産をすると脳下垂体から『プロラクチン』というホルモンが出るんですね。これが母乳を作る要素になるんです」

出産していない女性が母乳を出せないのは、このプロラクチンが分泌されないからだそうです。

そして大事なのはここから。
男性の母乳は、少量ならば異常ではないのですが、大量に出る場合はこのプロラクチンに問題があるというのです。
一番問題なのは、プロラクチンを作る腫瘍ができてしまっていること。これがあるとプロラクチンが過剰生産され、母乳がたくさん分泌されてしまうのだとか。

腫瘍は突然できたり大きくなったりするため、ある日急に母乳が出てくることは十分有り得るといいます。
がんではなく腫瘍なので、慌てることはないのですが、母乳が大量に出る場合は医師の診断を早めに受けた方が良いでしょう。

薬の副作用でも母乳が出る


そしてもうひとつ。プロラクチンが増えてしまう薬があるのだそうです。

例えば「スルピリド」という薬。『ドグマチール』などの商品名でも扱われています。
これは割とよく使われる胃薬で、石蔵先生も度々使うそうです。
これには抗うつ作用もあり、精神科に行かなくても内科で「ちょっとうつっぽいですね」という時によく処方される薬なんだそう。

このスルピリドを服用すると、副作用でプロラクチンも増えてしまうというのです。
そうすると、乳腺が張っておっぱいにしこりができるようになります。これを「乳がんじゃないか」と思い乳腺科に駆け込む患者もたまにいるそうです。
処方する際、石蔵先生は患者に必ず説明するそうですが、聞いても忘れてしまう人がいるらしいのです。

他の抗うつ剤や、一部の薬でもプロラクチンが増える副作用があるようなので、医師の説明はしっかり聞くべきですね。

ちなみに薬の服用をやめると、プロラクチンがなくなっていくので元に戻りますが、それでも戻らなかった場合は病院で調べてもらった方がいいということです。

赤ちゃんが飲むためにあるんやでぇ


最後にまとめです。

母乳が気になったら、まず服用中の薬をチェック。
そして、内科でいいので病院に行き採血してもらいましょう。血液検査でプロラクチンの量を測れば、腫瘍の有無がわかります。

「母乳って別においしくないですよね。『探偵ナイトスクープ』でお菓子を作ったことがありますけど、全然甘くないし何の味もしなかった」と、母乳の思い出を語る北野誠。
母乳は赤ちゃんが飲むためにあるんですね。

これが大人でもおいしく飲めるものだったら、究極の自給自足人間になれるのに。ア○パ○マンみたいに、喉が渇いて困ってる人に乳を与える“オッパイマン”になれるのに。
残念ながらそんな夢物語はないので、早めに診察を受けましょう。
(岡戸孝宏)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2017年08月23日14時13分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報