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今日のテーマは加計学園問題で話題の「国家戦略特区」です。
いま学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部の新設許可をめぐるプロセスについて話題になっていますが、これは国家戦略特区制度を利用したものです。
この制度について、中京大学経済学部客員教授でエコノミストの内田俊宏さんが解説します。
国家戦略特区は首相主導で決まる
まず北野誠が、国家戦略特区制度はいつからあるのかを尋ねます。
第二次安倍政権発足直後の2013年に国家戦略特別区域法ができました。
成長戦略の一環であり、決まった地域で、ある分野の規制緩和などを行うのが目的です。
小泉内閣の時にできた「構造改革特区」とはどう違うのでしょう?
構造改革特区は、地方で考えた計画に対し国が認定するというものです。
例えば、ある程度自由にお酒を造って売ることができる「どぶろく特区」は、各市町村から要望があがってくるものであり、地方創生が狙いでした。
一方、国家戦略特区は首相の主導により、地域振興や国際競争力の向上に役立つ計画を決めるというものです。
ただ内田さんによると、「その時々の首相の意向が強くなるため、国家にとって本当に戦略的な計画かどうかは疑問」とのことです。
国家戦略特区の具体的な例として、秋田県仙北市の「外国人観光客向けの医療ツーリズム強化」が挙げられます。
外国人が人間ドックを受けるために先進医療技術を持つ日本にやってきて、結果が出るまでの間滞在してもらい、お金を使ってもらうのが目的です。
実際に中国の富裕層は、人間ドックや高度医療を受ける目的で韓国に行く人もいるようです。
ちなみに愛知県も国家戦略特区の指定を受けており、教育や農業、雇用などに力を入れるとしています。
加計学園の問題はどこにあるのか?
ではなぜ今、加計学園が問題になっているのでしょうか?
内田さんは「決め方が加計学園に対しピンポイント過ぎていて、加計学園に決めたいのが先か、獣医学部を新設したいのが先か、卵が先かニワトリが先か論争のように見えるし、そもそも卵自体が必要なのかという問題もある」と答えます。
獣医師を増やすことが国家の成長戦略につながるのかが疑問である上、現時点ですでに動物病院は多く、犬や猫のペット数が減っている状況で、果たして獣医学部の新設は必要なのかという点でも疑問です。
鳥インフルエンザなどの問題に解決するため必要だという意見もありますが、研究職に進む人はほんの一握りです。
学校の決め方が出来レースではないかとの疑念があり、岩盤規制を破るという点では、他の国家戦略特区の計画と比べて弱いようにも見えます。
ただ、諮問会議で事業計画を精査・認定しているので、段取り上の問題はありません。
そこで北野は「国家戦略特区の正しい運用の仕方は何でしょうか」と尋ねます。
内田さんは「客観的・中立的に見て計画が妥当であれば、首相からのトップダウンで良い」と答えます。
露骨なトップダウンは賭けである
最近、京都で観光客が激増したため、民泊を解禁する動きがありますが、ホテル業界からは当然、反対があります。
民泊自体の危険性はあるとして、もし解禁したい場合はトップダウンで決断しなければなりません。
獣医師に限らず、医者が増えれば報酬が下がりますので、団体から反対の声が挙がります。
コメンテーターの大川興業総裁・大川豊も「現在は歯医者が増えていて、コンビニより多いと言われているぐらい」と納得します。
それに対し内田さんは「競争に負けると敗者になってしまう」とダジャレを入れ込んできました。
初対面の大川総裁は、ダジャレと判断して良いのか、笑っていいかどうかを迷ってしまうのですが。
最後に北野は「首相の判断である程度、最後はトップダウンになるのは仕方がないということでしょうか?」と尋ねます。
内田さんは「計画内容が客観的・中立的であれば良いが、露骨にやると政権としてはちょっとした賭けになる」とまとめました。
トップダウンで決めないと岩盤規制は崩せませんが、不正が行われないためには、決定までのプロセスを監視することが大事ですね。
なお最後に、内田さんが放った「加計」と「賭け」を、北野と大川総裁が漏らさず拾ったことをお伝えしておきます。
(岡本)
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