岩手県大槌町にある東京大学の研究施設では、春になると「カラス進入禁止」と書いた紙を吊るします。
この取り組みは、断熱材を荒らすカラス対策として3年前から始めたもので、実際に効果を上げているようです。
「カラス進入禁止」と書いた紙を吊るすというこの冗談のような対策で、なぜ本当にカラスが近寄らなくなるのでしょうか。
北野誠が分析を試みます。
えっ!カラスに「進入禁止」の警告文がわかる?
カラスは字が読める?
「不思議な記事やなーと思って読んでいたんですよ」と北野誠。
カラスは、巣を作るために断熱材の中の綿を破って持っていくんだとか。
しかし、この警告文を出すようになった3年前から、本当にカラスが来なくなったと言います。
もちろんカラスが張り紙の文字を読んで、ここに入ったら行けないと思うわけではありません。
「最初は、紙が吊るしてあるのが一瞬不気味やったのかなと思って。でもカラス除けとかハト除けのために風船を上げても、慣れたら奴らは来よるから」
そう、カラスは言わずもがなの大変に賢い生き物。
見慣れないものがあると最初こそ警戒するものの、学習能力が高い彼らは自分たちにとって危険がないものだとわかると全く気にも留めなくなります。
そのためよくあるカラス除けグッズは、すぐにその効果がくなってしまうことが多いのです。
カラスは見られたくない生き物
なぜこのような不思議なことが起こるのかというと、「カラス進入禁止」と大きく書かれたこの張り紙を見た職員や学生が、不思議そうにカラスをじっと見たり、指を差したりするからなんだそうです。
もともと人にじっと見られるのが好きではないカラスは、そういった行為をする人が増えれば増えるほど、近寄ってこなくなるんだとか。
「おもしろいですねー」と感心する北野とアシスタントの片山淳子。
カラスは人間が思っている以上に、人の目を気にする生き物であるということのようです。
張り紙を見た人間が取るであろう行動を読み、さらにカラスの賢さを逆手に取る、これはまさにカラス除けの奇策であると言えます。
「これはマンションのベランダでも有効な手段」と北野は語ります。
今回のケースと同じように「カラス進入禁止」と書いた張り紙をベランダに吊るしておけば、そこを通る人が「なんだこれ?こんなの効果あるのかな?」とその紙をチラチラ見たり、カラスを気にしたりするので、カラスは近寄ってこなくなるだろう。
タカの風船を上げておくよりも、一定の効果が得られるのでは?というのです。
その他、カラスによる被害に悩まされていることの多い「ごみ置き場」でも、この警告文の張り紙を試してみる価値アリかもしれません。
泥棒にも効果があるかも
ここで北野に「お前のところの近所にもあったんやろ」と促された片山。
なんと、片山家の近所に「泥棒入るな」とマジックペンで書かれた立て板を置いているお家があると言います。
「それはきっと入られたんやな」と、しみじみ語る北野。
「字に怒りがにじみ出ている」と片山も同情します。
「『立ちションするな』の板も時々強烈な怒りがにじみ出ている時がありますけれども。『カラス進入禁止』の警告文も、怒りで震えるくらいの文字で一度やってみたらどうでしょうか」
と、さらなるアイディアを乗せて締める北野でした。
(minto)
関連記事