2017年4月17日(月)

名大病院から広がる「薬剤師外来」の輪

きく!ラジオ / ライフ・ヘルスケア

普段私たちは薬剤師さんと、薬局で薬をもらったり説明を受けたり、という形で交流をしていますが、他にどんな関わり方があるのでしょうか。
今回は、名大病院の「薬剤師外来」と「薬剤師の連携」という話です。ちょっと難しそうに聞こえますが、実はとても身近な話なんです。

名古屋大学医学部附属病院 薬剤部長の山田清文(やまだ・きよふみ)先生にお伺いしました。

薬剤師外来とは?

名大病院には「薬剤師外来」というものがあります。
これは名大病院が全国に先がけて2000年から始めたもので、名大病院に通院している外来患者さんに対して、個室で患者さんの飲んでいる薬の状況、効いているかどうか、副作用があるかどうか、などの話をするものです。

すべて予約制で、時間は15分から1時間程度、ゆっくり話をします。
主治医からこの患者さんと話をして欲しいという依頼を受けると、予約を取り、患者さんと話をします。もちろんご家族の方も出席でき、気を楽にして、薬や病気について話ができる外来です。

薬剤師外来の例

本来はすべての病気、すべての薬に対して個別指導できるのが理想ですが、なかなか難しく、今は患者さんの治療効果が高くなる、あるいは副作用防止に役立つという薬、病気から始めているそう。

具体的には、
・血を固まりにくくするお薬、ワルファリンに関するワルファリン薬剤師外来
・喘息のときにステロイド薬を吸入する、喘息薬剤師外来
・認知症の患者さんに対する、いきいき脳活性化お薬外来
・慢性腎臓病(CKD)のCDK薬剤師外来
・泌尿器の治療薬で新しい抗がん剤の分子標的薬薬剤師外来
・抗がん剤治療のときには痛みがあったり、吐き気があったりしますから、そういう患者さんに対する指導としての化学療法薬剤師外来
などがあります。

薬剤師外来の効果は?

喘息吸入の薬剤師外来を例にとります。喘息の治療にはステロイドの薬を口から肺に吸入し、気管支まで届くようにしないといけません。その時に特殊な補助器具と特殊な呼吸法が必要。
ところが、診察室での説明や紙の資料だけではなかなかうまくいきません。「薬剤師外来」では薬剤師が一緒になって、器具の使い方から呼吸法まで、患者さんができるようになるまで、繰り返し一緒に勉強するシステムになっています。

実は、吸入療法をしている患者さんが、指導をうけると喘息の状態を示す数値が突然良くなる、ということがよくあるそう。つまり、それまではちゃんと吸入していたつもりでも、実際には薬が肺まで届いていなかったと思われます。

患者さんにとってメリットがあり、主治医の先生からも非常に喜ばれていて、10年以上この外来は続いています。

外部連携の試み

ひとつの病院で患者さんにできることには限りがあります。
大学病院の薬剤師、薬局の薬剤師、大学の薬学部の教員。この三つの薬剤師が連携して協議会を作り、定期的に勉強会を開いています。

具体的な活動としては、名大の薬剤師が指導している内容を薬局の薬剤師に見てもらい、薬局でも同様に指導できるようにしています。
また、その時の情報を共有して「どこの薬局に行ってもその講習会を受けていれば同じようにできる」ようにも。
その結果、患者さんに喜ばれるような薬剤師活動ができています。

名大から全国へ

この活動は非常に多くの薬剤師さんから賛同が得られ、いろいろな大学病院の薬剤師の先生が、名大病院の様子を見に来られるそう。今では、全国各地で薬剤師外来が行われています。薬剤師が直接患者さんの服薬を指導して、より効果を高める、あるいは副作用を防止する活動を、全国を挙げて薬剤師たちが展開しています。

「薬剤師外来は、名大病院が全国に先がけて、そして今では全国各地で広がっている。患者さんにとっていろいろメリットがあるとわかりました。ますます広まっていって欲しいと思います」と、重盛啓之アナは期待をこめて結びました。
(みず)

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