2017年12月8日(金)

日本発祥のシステム「母子手帳」を世界各国が採用

多田しげおの気分爽快!! / ライフ・ヘルスケア

12月6日の『多田しげおの気分爽快!!』では”母子手帳”を取り上げました。

実は母子手帳は日本独特のもの。現在海外で認められ、同様のシステムが採用されています。
東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室の教授、神馬征峰先生に詳しく伺いました。

日本の母子手帳、ここがポイント

母子手帳のシステムは、1980年頃から、日本から世界へ広がっていったそうです。
そもそも日本の母子手帳、どういうところが優れているんでしょうか?

「妊娠期から、だいたい6歳になるまで、お母さんの健康管理とこどもの健康管理、これを継続してできます。これを見れば看護師さんも、妊娠期からの問題とかも把握できるので、適切なケアができます。
こどもの健康とお母さんの健康を一つの手帳で管理できるように、こどもの部分とお母さんの部分をくっつけてしまった。この工夫が日本の手帳の素晴らしいところです」

世界の母子手帳事情

現在、世界では、日本のような母子手帳がどれほど使われているんでしょうか?

「WHO(世界保健機関)に加盟している国が約200カ国。そのうち、日本のような母子手帳を採用している国が約40カ国あります」

残りの国は「こども手帳」とか「妊産婦手帳」あるいは予防接種カードという形で、母親とこどもの健康管理を別々にしているそうです。さらには、そもそも母子の健康チェックへの意識がない国も多くあるとか。

普及には女性たちの地道な活動

1980年頃から世界に広まり始めた母子手帳ですが、それまで他の国々には、日本の母子手帳のようなものは全くありませんでした。

母子手帳の広がりの背景には、日本のJICA(国際協力機構)や、親子健康手帳普及協会の地道な活動がありました。
これらの団体の、主に女性が各国の在日大使館を訪ね、大使館の婦人に提案し続けてきた結果、日本の母子手帳のシステムが広がったのです。

各国のカスタム母子手帳

しかし日本の母子手帳をそのまま持ち込んでも、国民性や民族性によって受け入れがたい国があるのも事実。そこで、それぞれの国の母子手帳は自国の事情に沿ってカスタマイズしています。

「例えばタイでは、母子手帳に”すごろく”を組み込んでいます。子育て用の、あるいは妊娠期の母体の管理用に、それで楽しく妊娠期を過ごし、楽しくこどもを育てる。そういう楽しさを母子手帳の中に取り込んでます」

「ベトナムでは、昔、字の読み書きのできないお母さんが多かった時代がありますので、日本の母子手帳よりも、イラストをはるかにたくさん使っています。危険兆候が出たら、そこを黄色いマークをつけるなどです。何か問題があったら、すぐ医師のところに行く、あるいはより良く管理してもらう、そういう工夫をしています」

心理作戦で普及

さらには日本から遠く離れたアフリカのガーナでは、人の心理を利用して普及に努めています。

「ガーナで産前健診、それから施設分娩、産後健診。その時に一回健診にくると、金色の星のシールを貼ってあげます」

ガーナはアフリカ第2位の金の生産国。金はガーナ人にとって非常に重要なものであり、心をくすぐるようなところがあります。
さらに星はアフリカでは「自由の象徴」です。ですから金色の星型のシールを貼ってもらえることが普及に大きな役割を果たしているそうです。

「それを使うことによって、それまで産前から産後まで完全にケアを続けてる人が8%しかいなかったのが、一年間で50%まであがりました」

各国のお国柄、民族柄にあった工夫をすることで、母親とこどもの健康を一緒にして見守っていこうという日本の母子手帳が浸透しています。

「やがて、この”母子手帳”なる言葉が世界語になってくれればいいですよね」という神馬先生。
実際に、日本語そのままの発音を取り入れてる国もあるそうです。世界語になった日本語がいろいろありますが、”母子手帳”が世界語になる日も近いかもしれません。
(尾関)

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