2017年10月26日(木)

正午は「午前12時」?「午後0時」?

丹野みどりの よりどりっ! / ライフ・ヘルスケア

「時刻を12時間制で表す場合、例えば正午を表すのに「午前12時」と「午後0時」の2通りの言い方がありますが、どちらが正規の言い方なのか教えてください」というおたよりが届きました。
果たしてどちらが正しいのか、はたまた、どちらでもよいのか?

10/24の『丹野みどりのよりどりっ!』では、この問題を解決すべく、国立天文台暦計算室の片山さんにお話を伺いました。

国立天文台は、宇宙のなぞを解き明かすべく最先端の天文学研究をすすめる機関で、すばる望遠鏡や、ALMA(アルマ望遠鏡)、TMT(30メートル望遠鏡)など、国際協力の必要な大型装置の開発・運用を担っています。
片山さんはその国立天文台で、暦を計算する部署に勤務されています。

正午や真夜中の正しい表記

片山さんによると、日本では、明治5年の太政官達第337号の中に時刻の呼び方が定められているとのこと。

太政官とは内閣や議会の制度ができる以前の筆頭的な官庁のことで、『太政官達』は現在の法律に相当するものです。
この達は、太陰太陽暦から太陽暦への改暦を宣言したもので、時刻についても現在の制度へ変更しています。

その『太政官達』によると、真夜中の方は「午後12時」「午前0時」の両方の表記があり、同じものとされていますが、正午は「午前12時」としか定められておらず「午後0時」という表記は存在していません。
つまり、法律上は正午=「午前12時」が正しいということになります。

ですが、この理屈だと正午の10分後は、午後であるにも関わらず、午前12時10分となります。
思わず「ややこしいですねえ」と漏らす、パーソナリティの丹野みどり。

「午後12時」の後に「午後1時」?

しかし、ここからさらに話はややこしくなります。

「デジタル時計でも、PMの12時10分と表示されることがよくあるように、午後12時10分と呼ぶ人も多いでしょう」(片山さん)

0時ではなく12時を使うのは、ヨーロッパに0という概念が存在しなかった頃の名残だそうですが、午後12時のあとに午後1時というのも不自然な数え方です。
そのため「ここは素直に午後0時と表現した方がよい」と片山さんは指摘します。
実際に明治6年暦では「午後初時」、明治13年暦以降では「午後0時」という表現が使われているそうです。

ここまで話が進むと丹野も頭が混乱してきた様子。思わず整理を始めます。

・お昼は「正午」と言った方がいい
・その10分後は「午後0時10分」0と言う
・とにかくお昼には”12″を使わない

みなさんも一度、ご自身で時刻の正しい言い方を整理されてみてはいかがでしょうか?

明治期以前の時刻の呼び方

『太政官達』が出されたのが明治時代。では明治期以前は?ということで片山さんに伺いました。

明治期以前には、子・丑・寅…を用いた「十二辰刻」というものがよく使われていたとのこと。
十二辰刻では1日を12に分割、夜の12時を子の正刻とし、2時間刻みで干支を当てはめています。なので、正午は午の正刻になります。

また当時、時刻はお寺などの鐘や太鼓が鳴らされる回数によって、人々に知らされていました。
例えば正午は9回鳴らされていたので、昼九つといい、約2時間後を昼八つ、そのまた約2時間後を夕七つという感じです。
正午で別れるので午前・午後に似ていますが、1日を昼と夜に分け、それぞれを6分割します。

西洋においても、1日を24分割したものが1時間であり、午前・午後のように分けるようになったのは、機械式の時計が出てきてからのようです。

業界により異なる時刻の表記

片山さんによると、日本に限らず西洋でも午前・午後の使い方には混乱があるそうです。

そこで、何らかの製品やサービスを規定しているISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業標準調査会)といった工業規格には、12時間制ではなく「24時間制」で表すように規定されているとのこと。
法律的には先程紹介した『太政官達』のとおりですが、公共交通機関などでは誤解を招かないように、24時間制を用いていることが多いようです。

時刻の管理

日本での時刻の管理方法についてもお話を伺いました。

日本では、国立天文台と情報通信研究機構が管理しているそうです。
国際的に協調しながら、原子の吸収・放出する光の振動数から時間を測定する原子時計により維持管理される時刻を、地球の自転に合わせて、うるう秒で調整しているそうですよ。
(ふで)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line