2017年9月11日(月)

始業前のあいさつや体操、接待ゴルフは賃金支払いの対象となるのか?

北野誠のズバリ / ライフ・ヘルスケア

金曜日の「ズバリなっとく」は弁護士『角田龍平のズバリ法律相談室』。 身近な法律の疑問・質問を解決します。

9/8の質問は「始業前の体操は労働にならないの?」です。
会社ではよくあることですね。聞き手は、最近、血液検査の数値が気にかかるザ・中高年の北野誠です。

スズキが朝礼に賃金支払い

まずは質問者のおたよりです。

「私が勤めている会社の始業時間は9時からです。しかし、その前に社長あいさつと従業員全員の体操の時間があります。なので、始業時間の30分以上前には会社にいかないといけません。この始業前の30分は労働時間に含まれていません。別にやりたいと思って体操をしているわけではないです。これっておかしくないですか?」(Aさん)

―確かに労働時間に含まれるといえばそうやね、わざわざ朝早く行かせているわけやもんね。

その体操とかあいさつが事実上強制されているかどうかで分かれると思います。
実際に自動車メーカーのスズキが、始業前の体操とか朝礼を労働時間として把握するように、労働基準監督署から是正勧告をうけて、未払い賃金を支払ったという報道が少し前にありました。

労働時間とは?

―ええ、そうなんや。「労働時間」の定義はどうなってるの?

「労働者が使用者の作業上の指揮命令下にある時間。または、使用者の明示又は黙示の指示によりその業務に従事する時間」です。つまり、事実上、強制かどうかが問題になります。

―会社が決めてやっている朝礼とかは、間違いなく労働時間ですね。

その会社の決め方ですね。自由参加で、本当に出たい人だけ参加できる形態であれば、労働時間ではないと思いますが、それに出ないと査定上不利に扱われたりすれば、それは事実上強制されているといえます。

―本人が「朝から仕事する前に、身体をほぐしとかないとケガにつながるよね」と思って体操するのは、あくまで自発的な行為ですね?

そこも難しいところです。ほぐしとかないと労働の時にケガするなら、かえって不可欠な前提とされ、労働時間になりやすいと思います。

任意か強制かが分かれ目

―例えば、新入社員が「課長、この朝礼、いつからやってるんですか?」と聞いたら、「俺が入った時からやってる」と、習慣になっている会社は多いですよね。

あると思います。そういうところが、事実上強制というか、任意の参加になっていないのであれば、後から割り増し賃金とかを言われる可能性があります。

―大手のスズキでもそうなったわけだから…。

スズキも任意ということでやっていたらしいですが、全部署にそういう伝達が行ってなかったらしくて、任意と思わずしぶしぶ参加していた人がいたという状況だったそうです。

接待ゴルフは仕事?

―じゃ、営業接待ゴルフはどうなりますか?

ゴルフは原則として労働契約上の主要な業務ではないです。
ただゴルフの種類によっては、その中で商談が予定されていて特定の労働者が参加しないと意味をなさない、というような状況があれば、場合によっては労働時間として計算しないといけないとは思います。

―バブルのときは週2~3回ゴルフやっている人がいましたが、会社はどう扱っているのかな?

特に平日に行くのであれば、労働時間として認められないと、接待要員の従業員はたまらないですよね。

懇親会は任意参加でね!

―懇親会も、会社側が了解していたら労働時間として見なすということでしょうね。

会社側が労働時間として見なしていたら問題ないです。
しかし、任意参加という形をとりつつ、事実上強制で、上司の命令で懇親会の設営とか出費をさせているという場合は、労働時間として扱わないと文句言われて、後から割り増し賃金を払わないといけないということがあってもおかしくないです。

―だんだん企業側もやりにくくなってきたな。昔の人は習慣化してるとわからないやろうな。

そういう文句を言えるような状況じゃなかった時代が長かったのでしょうね。

強制か任意か、が分かれ目のようです。この話を聞いて「考え方を変えないといけないな」と思った経営者の方も多かったのではないでしょうか。
(みず)

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