運転を停止していた東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町・石巻市)が再稼働しました。
地元住民からは「複雑な気持ち」「リスクはあるがやむを得ない」といった声が上がっているようです。
10月30日のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』にも、リスナーから賛否両論さまざまな投稿が寄せられました。
つボイノリオと小高直子アナウンサーにも、それぞれの考えや懸念点があるようです。
女川原発、再稼働へ
東北電力の女川原子力発電所2号機(宮城県女川町、石巻市)が10月29日から再稼働しました。
女川原発は2011年の東日本大震災で被災して以降運転を停止しており、13年ぶりの稼働となります。
また、震災時に事故を起こした福島第一原発と同じ型の沸騰水型軽水炉では初めての稼働です。
そして経済産業省はこの冬、国民や企業に対して節電を要請しない方針を示しました。
火力発電所や原子力発電所の稼働により供給が増え、全国で安定した水準の電力を確保できる見通しが立ったとのことです。
今回の女川原発再稼働によって、この冬はさらに安定した電力の供給が見込めそうです。
ただ、被災地に立地する原発としては初めての原子炉起動になるということで、地元の住民からは賛否さまざまな声が上がっているようです。
原発再稼働に賛成
リスナーからも、賛成意見や反対意見それぞれたくさんの投稿が寄せられました。
災害当時は原発反対だったというAさんは、次第に考えに変化があったようです。
「今では廃炉24基以外は速やかに再稼働をしてほしいと思います。理由としては、中東情勢の不安定な点や電気代の高騰などです。
ドイツのフォルクスワーゲンが3工場を閉鎖することになりましたが、その理由のうちのひとつが電気代の高騰だとも言われています。これは日本でも起きうることです。
原子力規制委員会は、迅速に審査を進めるべきだと思います」(Aさん)
電力不足を補うためには、再稼働もやむを得ないという意見です。
再稼働には反対
反対派のリスナーからの投稿も寄せられています。
「私は原発に反対です。今まで原発なしでもやれたのに、なぜ危険な原発を復活させるのかわかりません。怒りしかありません。
原発を運用するお金で再生可能エネルギーの安定供給を図ったり、各家庭に蓄電池を設置したりするのはどうでしょう。原発ありきの政治と電力会社との癒着に腹が立ちます」(Bさん)
原発の危険性を考え、別の方法で電力の供給を目指すべきだという意見です。
つボイ「さまざまな思いがありますよね」
出口のない水洗便所
「賛成と反対、どちらの立場の気持ちもわかるし納得できる」と小高、「ひとつだけ気になることがある」と続けます。
小高「事故が起こった時の心配もあるけど、それよりも核のゴミ、廃棄物をどうしていくのかが全く解決されていない中で、原発に寄りかかっていくことの方が危険だと思う。
それに再稼働によって電力不足が解消されることで、再生可能エネルギーの開発が遅れる心配もある。人間は楽な方へ流されるから」
廃棄物という課題を先送りにしたまま、再稼働に踏み切ったことへの不安を語りました。
つボイ「最終的にはそこですよね。出口のない水洗便所ですよ」
水洗トイレは清潔で便利ですが、流れる先がなければいずれ詰まって悲惨な事態になります。
原発はまさにそれと同じだと、つボイも警鐘を鳴らしました。
より電気が必要な社会へ
小高は原発再稼働の背景には、AI社会があるのではないかと予想します。
小高「AIに関連するアメリカの大企業たちは、どんどん原発を推進しているんですよね」
ここ数年でAIがあらゆるところで活用されるようになりましたが、AIの使用には非常に電気量がかかるようです。
その大量の電気を捻出するために、原発は必要不可欠なのでしょう。
小高「原発はいいんだけど、核のゴミをどうしていくんだろう?」
目の前の電力不足や電気代の高騰をどうにかしなければならず、さらに未来を生きる自分のこどもや孫たちの世代に負の遺産を残さないことを両立できるのか。
課題はまだまだ山積みのようです。
(吉村)
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2024年10月30日09時44分~抜粋