日本が国際援助を始めて70年
小高「日本は、これまで技術協力や円借款、無償資金協力、NPOやNGOによる無償の譲渡などを世界190の国に対して行ってきた実績があるんです」
つボイ「日本の技術で作られたインフラ設備とかね、橋などの建設物は特にアジアの国々にありますね。教育や仕事、ワクチン支援などの話もよく聞きますね」
日本のODAは、第二次世界大戦で大きな被害を与えた国々に対する戦後賠償という側面から始まりました。
そのため、日本の援助はアジアを皮切りにアフリカや中南米へと広がっていったという経緯があります。
援助額については、1989年にはアメリカを抜いてトップになり、2023年はアメリカ・ドイツに次ぐ3位です。
加盟時は日本も復興中
ODAが始まったのが1954年。「ということは、日本も戦後復興のまっただ中だったのでは?」と疑問を持ったつボイ。
日本は支援をスタートさせた一方で、逆に支援を受ける側でもありました。
日本も海外からの有償資金援助(低利子借入)で、発電所や新幹線などのインフラを整備して経済を立て直し、発展させてきた経緯も事実です。
つボイ「助けてもらい、助ける立場になったということですね」
このODAとSDGsはとても深い関係があります。
最後の目標17『パートナーシップで目標を達成しよう』の2つ目のターゲットには、先進国は開発途上国に対するODAを国民総所得の0.7%にすること」と明記されています。
2023年の日本の支出割合は0.44%で、目標には達していませんでした。
今後も変わっていく支援の在り方
昨年、日本の開発協力大綱が8年振りに改定され、今もODAのあり方については話し合いが続いています。
小高「どういう形が望ましいのか、今も模索しているということですね」
つボイ「世界情勢なども今後変わっていくし、その都度ベストな形で援助できればいいですよね」
2024年は日本がODAを開始してから70年の節目の年でもあります。
外務省やJICA、JANICなど関係機関が連携して、シンポジウムや国際協力イベントなどの記念事業が予定されています。
この節目を機に国民にもっと知ってもらい、考えるきっかけにしてほしいという狙いもあるようです。
近年は、国際会議などの度に支援を表明する政府や首相に対し、国民が不満を言うことも増えました。
「国際会議などの度に簡単に海外への何千億円も支援すると表明するくらいなら、先に国内で困っている人の支援や他のことに使ってほしい」という不満があるのも事実です。
しかし、同時に日本が国際関係でリーダーシップを発揮するためには必要なことでもあり、先進国の責務でもあります。
国際協力の日を通して、少しでも国民にとって理解が深まってほしいと締めくくりました。
(葉月智世)