つボイノリオの聞けば聞くほど

各地で管が老朽化?いま日本の水道が危ない

普段は気づきにくいことですが、日本は諸外国に比べ、豊かな水の資源に恵まれています。
蛇口をひねればいつでも水が出てきますし、飲むこともできます。

しかし、その当たり前がなくなるかもしれないと言われています。

12月19日放送『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、日本の上水道を取り巻く環境について解説しました。

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水道管が劣化している

蛇口まで水を運んでくれる水道管の老朽化について、ニュース等で報道されることがあります。
水道管の耐用年数は40年とされていて、その年数を超えると水道管の中にサビが溜まって水質が落ちたり、管の破損や破裂につながったりします。

水道管が老朽化して破裂したことで道路から水が噴き出す事故、漏れた水によって道路の下がもろくなって陥没が起こる事故などが、たびたびニュースになります。

昨年、愛知県蒲郡市では道路が陥没して水が噴き出し、付近の住宅が断水しました。
また、2021年には和歌山県で川にかかる水道橋が劣化して崩落し、約6万戸が断水してしまいました。

今のまま水道管を使い続けると、2050年には国内の約6割の水道管が法定耐用年数を超えてしまうと計算があります。

そのため、水道管の補修や交換を含めた維持管理をしなければならないのですが、人口が少ない地域では維持管理も難しい状況です。

なぜ補修が進まない?

日本国内の水道は、1887年(明治20年)に横浜で初めて近代水道が作られたことから始まりました。

普及率は高度経済成長期に飛躍的に伸び、1970年(昭和45年)に80%、1980年(昭和55年)に91.5%まで上がり、2021年時点では98.2%。
総延長は約74万kmにも及び、これは地球18.5周分に相当します。

現在、家庭に水道が広く普及するようになってから50年前後が経過する時期になっています。
各地の水道管で交換工事や整備が必要な時期を超えつつあるのですが、整備はなかなか進んでいないのが現状なのだとか。

すでに10年前から言われていたことですが、一気に耐用年数を迎える水道管が増えているために対応しきれていないのが現状とのことです。

対応しきれない原因は、やはりコスト高と人手不足。
厚生労働省によれば、今後30年で水道施設の更新にかかる費用は年間1.8兆円と試算されています。

また、水道事業に関わる人の数は、ピーク時の1980年度における7万5千人から、2020年度には4万7300人まで減少しています。

水道事業を民間に委託するケースも

水道施設の更新費用をまかなうには、水道料金を上げるしかありません。

日本の水道事業は原則市町村が運営するものと、水道法という法律で決まっています。
水道料金はコストに比例して設定されるため、各市町村によって異なります。

日本で最も水道料金が高いのは北海道夕張市で1か月あたり6,966円、最も安いのは兵庫県赤穂市で869円とかなりの格差があります。

2018年に水道法が改正され、運営に民間の参入が認められましたが、海外では民間の参入で失敗していると報じられていることもあってか、あまり進んでいません。

上水道事業を実際に民間に委託している自治体は、2021年時点で宮城県のみとのことです。

水道を車で運ぶ方法も

中には水道事業は苦しいという自治体が出てきますが、実際に水道から給水車に切り替えた所があります。

宮崎県の田野地域という山間の集落では、2005年(平成17年)の台風による土砂災害で水道施設が被害を受けました。そこで浄水場から配水池まで水を車で運び、配水池からは水道管で各家庭へ送っているという手法を取っています。
これにより、億単位がかかるといわれた水道費用が1千5百万円まで抑えることができました。

ただ、これはここが10名に満たない集落だからできることであり、さすがに10人ですべての水道コストを負担することはできないため、市の一般会計から補てんしているという状況です。

今はレアケースですが、今後過疎が進むと給水車による対応が増えるかもしれませんね。
(岡本)
 
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2023年12月19日11時10分~抜粋

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