つボイノリオの聞けば聞くほど

日本の一般会計歳出の半分!侵略的外来種により世界中が経済的損失

今まで身近にいなかった生き物が爆発的に増えたり、他の生き物に影響を及ぼす外来種。今、世界中で問題になっているだけでなく、日常的にニュースで聞くことも多くなりました。

9月20日のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、「侵略的外来種による経済的損失」について、つボイノリオと小高直子アナウンサーが紹介しました。

[この番組の画像一覧を見る]

外来種による世界的な損失

地球環境を語る上で欠かせないキーワードが「生物多様性」。様々な生き物の豊かな個性と繋がりのことを表している言葉です。

地球上では、微生物から人間まで様々な個性を持つたくさんの生物たちが、直接的・間接的に支え合って生きています。
同じ土地に住む生き物は、それぞれ食べるものが違い、住む場所を違えることでバランスを保ち、長い時間をかけて互いが共存できるような環境を育んできたのです。

このバランスは、産業革命以降一気に増えた人間の経済活動や、違う地域から持ち込まれた外来種によって脅かされることが問題になっています。

つボイ「外来種って言葉は最近よく話題になりますよ」

9月5日、衝撃的な報道がありました。
生物多様性に関する国際的な組織IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)が発表したところによると、生息域外から持ち込まれるなどした侵略的外来種による経済的損失は、世界で少なくとも1年に61兆8千億円にのぼるとのことです。

日本の2023年度予算の一般会計歳出が114.4兆円なので、そのおよそ半分が世界中で外来種によって失われているのです。

絶滅に瀕する在来種

IPBESの報告書では、これまでに世界で3万7千種以上の外来種が貿易や人間の移動に伴って、本来の生息地ではない場所に侵入したとされています。
そのうちの3500種以上が、持ち込まれた先の生態系に悪影響を及ぼす「侵略的外来種」です。

小高「日本では、ブラックバスが日本古来の魚や昆虫を食べちゃうって話が有名ですね」

つボイ「琵琶湖のブラックバスとかね。捕まえたらリリースしないって呼びかけられている地域も多くなっているみたいです」

他にも、セアカゴケグモ・ヒアリなどの危険な生物が港のコンテナなどで見つかった、というニュースが日本でも報じられるようになっています。

イグアナ科のトカゲ・グリーンアノールが小笠原諸島固有の昆虫を激減させたとも言われていますし、人間が奄美大島にハブの退治用として持ち込んだマングースがアマミノクロウサギを捕食して絶滅の危機に追いやったなど、日本でも多くの事例があるのです。

侵略的外来種が農作物に多大な損害を与えたり、逆に輸出した際に検疫で付着がわかり送り返されるなど、世界中で外来種が入ってこないよう懸命に努力しているという現実もあります。

外来種を増やさないために

もし、外来種が入ってくると経済的に大きな損失が出ます。
1970年以降、10年ごとに4倍になっているそうで、今回の報告では61兆8千億という損失にまで膨らみました。

人間の経済活動が広がったグローバル社会では対策が難しい面もありますが、もし私たちが見つけたときは報告が必要。しっかり知識を身につけておく必要がありそうです。

よくやりがちなカメなどのペットを飼えなくなったからと遺棄したり、珍しい昆虫を逃がしたりする行動は、最近広まっているSDGsの意義にも反します。
まずは、自分たちの住む地域に生息する生き物を知ることから始めるといいのかもしれませんね。
(葉月智世)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
この記事をで聴く

2023年09月20日11時32分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報