つボイノリオの聞けば聞くほど

ウクライナ侵攻で考える、60年前のキューバ危機

ロシアがウクライナに侵攻してからかなり経ちますが、最近ではロシアが核兵器を使うのではないかといわれるほど危険な状況となっています。

その昔、同じように核兵器が使用されるのではないかと言われたのち、何とか踏みとどまったという「キューバ危機」というものがありました。
もしかしたら、今後の世界情勢を占う上で参考になるかもしれません。

10月19日放送『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、キューバ危機についておさらいしてみました。

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60年前に世界大戦の危機

キューバ危機は1962年(昭和37年)10月に起きたため、ちょうど60年前のこと。

キューバはカリブ海に浮かぶ島国で、メキシコの東にあります。
アメリカ東海岸、フロリダ半島のすぐ南に位置し、1959年(昭和34年)にフィデル・カストロらによってキューバ革命が起きたことで、アメリカからソ連寄りとなりました。

当時ソ連の最高指導者だったのは、フルシチョフ。
ソ連はアメリカに対抗するため、大陸間弾道ミサイルの開発を進めていましたが、なかなか思うようにいかず頭を悩ませていました。

そこで、アメリカのすぐそばにあるキューバにミサイルを置いたら、「アメリカの大半のエリアが射程距離内に入るのではないか」と考え、秘密裏にキューバの基地にミサイルを配置していました。

ミサイルの配備が発覚

ソ連がキューバにミサイルを置いたのは、1962年5月といわれています。

当時、アメリカでは野党が「キューバにミサイルが置かれているのではないか」とケネディ大統領を追及。

ケネディ大統領は「配備されていないという前提だが、もし配備されていることが確認されたら、必要なあらゆる手段を取る」と答えたのですが、その後ミサイルが配備されていることがわかってしまったため、騒動に発展。

そのため閣僚や軍の関係者が、大統領に「ミサイル基地を先制攻撃すべきだ」と強く迫りました。

しかし、アメリカが先制攻撃すると、アメリカ軍が当時駐留していたドイツのベルリンに攻撃することは間違いなく、世界大戦に発展する恐れがありました。

一触即発の状態に

そして1962年10月16日の朝、アメリカ・ケネディ大統領の元に「ソ連がキューバでミサイル基地を建設していることが確認されました」という報告が入り、一触即発の状態に。

アメリカとソ連の緊張状態が続く中、アメリカ国防長官のロバート・マクナマラ氏が「海上封鎖」を提案します。
キューバの周りの海の上に封鎖ラインを設定して、ソ連からの貨物船をチェックするというものでした。
    
10月22日、アメリカ大統領は国民に向けて「ソ連がキューバにミサイル基地を建設中であり、それはアメリカへの核攻撃を可能にするものだ」と演説。
そして「この事態を解決するため、軍事物資の輸送船に対し隔離(封鎖)を行う」と明言しました。

さまざまな人の努力で回避

アメリカとソ連、お互いに一歩も引けない状態となりましたが、10月28日に事態は収束しました。
この6日間、水面下ではさまざまな駆け引きがあったようです。

ソ連は「キューバに置いているミサイルを撤去する代わりに、トルコに配備しているアメリカの核ミサイルも撤去しろ」と要求。

アメリカのケネディ大統領は、表立っては受け入れ拒否の態度を示しましたが、弟のロバート・ケネディ司法長官が秘密裏にソ連大使と密約を結び、トルコからミサイルを撤去することで合意。

もちろん、アメリカが折れたとは言えないため、国連がおさめた形となっています。

また、ソ連の参謀大佐であったオレグ・ペンコフスキーが、アメリカに兵器情報を伝えるスパイ活動を行っており、偵察機によってソ連の核ミサイル配備がわかりました。

ペンコフスキーはキューバ危機の真っ最中だった10月22日、KGBに逮捕されたのち、7か月後に反逆罪で死刑判決を受け、処刑されてしまいました。

さまざまな人が労力をかけて回避した戦争ですが、今回のウクライナ侵攻では、すでに大きな武力が行使されています。
今回も、水面下の話し合いなどで最終的には核の使用を避けてもらいたいと切に願います。
(岡本)
 
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2022年10月19日11時10分~抜粋

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