つボイノリオの聞けば聞くほど

日本「障害者権利条約」の初審査。誰もが一緒に学べる環境作りへの課題

日本では、障害を持つ子は支援学級や特別支援学校へ通うのが一般的です。
しかし、国際的に障害者の権利を保護する条約があり、日本も批准していることは知っていますか?

9月14日に放送された『つボイノリオの聞けば聞くほど』の「SDGsのつボ」コーナーは、「障害者権利条約の審査結果」についての話題です。

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特別支援教育をやめるよう要請された日本

今年、日本は国連の「障害者権利条約」の審査を初めて受けました。

9月9日に発表された報告書では、日本の教育について「長く続く特別支援教育により障害児が分離され、通常の教育を受けにくくなっている」との指摘があり、そして「現状の特別支援教室をやめるように」との要請を受けました。

審査を担当する委員会は、条約を締結している国に対して障害のある人が一般的な教育制度から排除されないインクルーシブ教育システムを確立するよう求めています。
日本がこの条約を批准(条約に対して、国が行う最終的な確認や同意)したのは2014年でした。

簡単にはいかない教育体制の整備

今回の要請を受けて様々な声があがっています。

「多様なこどもが一緒に地域の学校で学べるようにするのはいいことだ」と受け止める声もあれば、「特別支援学校や支援学級をなくせってこと?」「今の状態で障害者を通常学級に合流させると困らないのか?」といった不安の声もあります。

条約ではインクルーシブ教育システムについて、「障害のある子とない子がともに学んで障害のある子に必要な配慮が合理的に提供されること」を指しています。

ただ単に、こどもを全員同じ教室に集めて授業をしたらいいというわけではありません。
目指しているのは、多様なこどもたちが誰も排除されることなく、同じ学校でそれぞれの特性に合わせた配慮を受けられる教育を構築していくということになります。

これを実行しようとすると、1クラスの児童・生徒の数や授業の進め方、複数の教員によるサポート体制の在り方など、様々な面から教育全体を見直す必要が出てくるのです。

みんな一緒に学べる環境を作る大切さ

見直さないといけないのは、教育システムだけではありません。
教員側も、多様なタイプのこどもを見ることができるスキルを身につける必要が出てきます。

これらの見直しは小手先でできることではなく、教員の数・働き方・給与など全体を見直さなければいけません。

文部科学省は2012年に出した報告で「障害がある子とない子ができるだけに同じ場所でともに学ぶことを目指すべき。それぞれのこどもが授業を理解し、学習活動に参加しているという実感・達成感を持ちながら充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身につけているかどうか。これがもっとも本質的な視点であり、そのための環境整備が必要」としています。

すぐには難しいですが、少しずつでも変えていこうとする視点は必要だと話す小高直子アナウンサー。これは、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」にもつながります。

つボイノリオ「多数派とか普通が主流になって、そうじゃない人を別の扱いにするのではなく、どんな特性がある子も受け入れられて、みんなで育っていくことができたらいいなと思いますね」
(葉月智世)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2022年09月14日11時37分~抜粋

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