つボイノリオの聞けば聞くほど

海苔も魚も変わる!?黒潮大蛇行がもたらす影響

海苔などの海産物は日本人にとって欠かせない身近な食材です。
もし食べられなくなったり、高級化したら困るのはわたしたちです。

現在、黒潮大蛇行が与えている影響について、リスナーからも様々な感想が届きました。

6月8日に放送された『つボイノリオの聞けば聞くほど』の「SDGsのつボ」コーナーは、「黒潮大蛇行の深刻な影響」についての話題です。

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海苔の色が変色して品質も低下

小高直子アナウンサーが前回のこのコーナーで「養殖の海苔がクロダイに食べられてしまう」原因のひとつとして、黒潮大蛇行の話題が出たことについて振り返りました。

「海苔のお話をされておりましたが、ここ数年海苔の色が黒から緑になって、味も香りも何だかちょっとな…という感じがするんです」(Aさん)

海苔は(人によって)好みは様々かもしれませんが、やはり黒々とした磯の香りがする海苔は見た目にもおいしそうです。
実際、変色して品質が落ちた海苔は、養殖にかかったコストを回収するほどの値段で売ることができない、という問題も出ていています。

他のリスナーからも「黒潮大蛇行の影響で生態系に大きな影響があるとは知らなかった」という声が届きました。

海水温が変わると魚も変わる

ここで、黒潮大蛇行についておさらいです。

日本列島の太平洋側には、主に暖流である黒潮と寒流である親潮が流れています。
黒潮は日本の南にある東シナ海を北上して九州と奄美大島の間のトカラ海峡から太平洋に入り、日本の南岸に沿って流れた後、房総半島沖を東に流れる海流です。

ちなみに親潮は、千島列島に沿って南下して日本の東まで達する寒流。このふたつの海流が、日本の真ん中~東北近くの海でぶつかり合っているのです。

それぞれの海流がもたらす水温が好きな魚が集まり、海の栄養素であるプランクトンなどを運ぶ海流によって、日本の近海は豊富な魚介類が水揚げできるという仕組み。

小高「今は、黒潮の流れが変わってきて紀伊半島沖から遠州灘沖にかけて、大きな冷たい水の渦が発生してドンとあるわけです」

黒潮はこの渦とぶつかると、避けるように迂回していったん日本列島から離れます。
その後、冷水渦に巻き込まれた一部の黒潮が日本列島沿岸に戻ってくると、いう流れになっています。

海の中は枯れた野原と同じ?

「私の漁場である熊野灘沿岸部でも黒潮大蛇行の影響が顕著に出ているわけです。
本来は熊野灘沖を通る黒潮が約4年半にわたって沿岸に直接ぶつかり、伊勢湾・伊豆半島まで達していて考えられないほどの磯焼けが発生しています。
アラメ・ワカメなどの海藻が激減しています」(Bさん)

過去のデータと比べて80%も磯焼けが進んでいると締めくくったBさん。

つボイノリオは、磯焼けとは海の植物の役割である海藻類が枯れており、地上で言えば枯れた野原のようになっている状態だと説明。

海藻がないということは、魚の稚魚の住処となる場所もなくなります。エサとなる海藻もない、住処もないとなれば魚の生態系にも大きな影響が出るのは当然です。
今まで見られなかった魚を見かけたり、海苔や海藻の激減以外にも三重県志摩市では、アワビの漁獲高が2017年と2020年を比較すると3分の1に激減しているんだとか。

黒潮大蛇行は海で起こっている現象ですが、夏の蒸し暑さや関東で降った大雪などの気象に影響を与えているという見方もあると紹介した小高。
海流の流れは地球のあらゆるところにつながっていると締めくくりました。

「SDGs(エスディージーズ)」とは、「誰一人取り残さない」という考えに基づき、誰もが人間らしく生きる環境を作るため、国連で採択された17個の持続可能な開発目標のこと。
『つボイノリオの聞けば聞くほど』の「SDGsのつボ」コーナーは、小高直子アナウンサーが一見難しそうなSDGsについて、わかりやすく説明しています。
(葉月智世)
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2022年06月08日11時32分~抜粋

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