つボイノリオの聞けば聞くほど

母子健康手帳でこどもの健康と安全をどう守れるか

男性にとってはなじみが薄いかもしれませんが、こどもを授かったら、まず手にするもののひとつに母子健康手帳(以下、母子手帳)があります。

『つボイノリオの聞けば聞くほど』「SDGsのつボ」コーナーでは母子健康手帳の役割について紹介されました。5月5日の放送から。

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母子健康手帳って?

5月5日はこどもの日。日本では、女性が妊娠したら住所のある市町村から母子手帳が発行されることになっています。

これは、とても大切なもの。
妊婦さんの健康状態や、妊娠から出産に至るまでの経過や記録を。赤ちゃんが生まれてからは、出産経過や母子の健康状態、予防接種や歯科検診の記録など、母子にかかわる様々なことを記録していき、家庭・医療・自治体が連携して、母親と子どもの健康を継続して把握することができるようになっています。

例えば、わたしたちが大人になった時に「この予防接種は受けていたかな?」「風疹に罹ったことはあったかな?」などの疑問に思ったら、手帳を見ると一目でわかると言うのはとても頼りになる記録です。
また、母親もこどもが成長した後に読み返すと思い出が詰まった手帳になります。
 

母子手帳の歴史

母子手帳の始まりは、戦時中の1942年までさかのぼります。

「妊婦さんが優先的に配給を受けられるように」と、発行した妊産婦手帳が始まりでした。
戦後、児童福祉法・母子保健法などの法律が整備・何度も改訂され、今の母子手帳に繋がっています。

母子手帳は、時代とともに記載される情報や書き込める内容が変わってきました。
最初の頃は健康と発育の記録が主体。
その後、母親が書き込める欄を増やし、家庭で気づいたことも書き込めるようになり、使いやすくなりました。

現在は、妊娠・出産後も働き続ける女性が多くなったことを反映して、働く女性のための出産・育児に関する制度の解説、父親の育児を促進する内容なども載せられるようになっています。
1991年に都道府県から市町村に母子手帳の交付が変わったこともあり、交付する自治体独自の情報なども記載されていて、より手帳の内容が身近になっているそうです。
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未来を生きるこどもたちのために

実は、母子手帳は日本で生まれ、独自に発達してきたもの。
海外の乳幼児死亡率の高い国で、母子手帳を活用する活動も行われています。

1980年代、日本を訪れたインドネシア人医師が母子手帳を知り、自国で普及させることを思いつきました。
国際協力事業団(現在はJICA 国際協力機構)などの協力を得て、配布したことがきっかけで、海外に母子手帳の良さが知られるようになったのです。

日本政府も政府開発援助(ODA)を通じて20年ほど前からアジアやアフリカで母子手帳を広げる活動をしています。
これは、3番の「すべての人に健康と福祉を」などに当てはまります。

日本から世界に広まった母子手帳。
機会があれば、自分の母子手帳について親と話してみると、思わぬ話が聞けそうです。初めて立った日・初めて言葉を発した日など、あなたの「初めて記念日」が記録されているかもしれません。

SDGsは、未来を生きるこどもたちが持続可能で暮らしやすい世界を引き継いでいくものでもあります。そのこどもたちが、安全で健康に育つために使われている母子手帳に関する取り組みについての紹介でした。
(葉月智世)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2021年05月05日11時33分~抜粋

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