つボイノリオの聞けば聞くほど

名古屋人よ、やがて来る震災に備えよ。弟子𠮷治郎の訴え

東日本大震災を題材にノンフィクション・ノベルを執筆した弟子𠮷治郎さんが、2月23日放送の『つボイノリオの聞けば聞くほど』に出演しました。
東海地震などの大地震の危険性が指摘される中京圏ですが、今回の小説はその警告としての役割もあるそうです。

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マジで書いた本

弟子𠮷治郎さん。本名、加藤吉次郎。
昭和40年代から50年代にかけてCBCラジオでディレクターを担当していました。
ワイド番組『ばつぐんジョッキー』の担当時に上岡龍太郎さんと出会い、1995年に弟子入りし、弟子𠮷治郎(でし きちじろう)を名乗り、上岡さんとの共著などを発表します。

今回この番組に出演するのは、『まんじゅう屋列伝』(青弓社刊)という饅頭職人に取材した本を出した時以来3年ぶりです。

「ちょっとマジな本を全力で書きました」と𠮷治郎さん。
著書のタイトルは『海が嘯えた日 東日本大震災とテレビ』(青文舎刊)。

やがて来る災害に備えて

タイトルでもわかるように、この小説は、10年前の東日本大震災が舞台となっています。

「その日は仕事してたんですが、その夜から3日間、ほとんど寝ずにテレビ見てたんです。あっちでもこっちでも変だ、これはおかしい。なんで?どうなってんの?というものすごい疑問が湧きだしたんです」

その後資料を集めてまとめ上げたそうです。

「やがて来る東海、東南海、南海3連動地震の時に準備してほしいと。特に放送関係の人のために書いたと言ってもいいぐらいの、あの3日間のことを放送のことを縦軸に書いてるんです」
 

タイトル、どう読むの?

タイトルの『海が嘯えた日』の「嘯えた」は「ほえた」と読みます。あえて難しい字にした理由とは?

「海嘯というのが昔使っていた津波の言葉なんですよ。で、海がほえる。犬や狼が吠えるの吠えるじゃなくて、もっと唸る。うそぶく。なんだかわけのわからない音がするのを“嘯える”と、この字を当ててたんです」

漫画『風の谷のナウシカ』で巨大甲虫、王蟲の群れがやってくることを「大海嘯」と呼んでいました。津波より海嘯の方が恐ろしいイメージがあります。

「岩手県か宮城県かどっちかの諺に『地震だ、音だ、津波だ』というのがあって、地震だけなら、まあいい。次に海が吠えたら逃げろ、というのがあるんですよ」

津波の音自体はあんまりしないそうです。しかし、沖の方で波が岩場にガツーンと当たった時の音がすごいんだとか。
それが聞こえたら必ず津波が来るということで、そこから海がうそぶく、「嘯える」という字をわざわざ使ったんだそうです。
 

まだ終わっていない

「今年でちょうど10年。この間、大きな地震がありましたね。震度6強、というのがあって、あの震災は終わってないというイメージを受けましたよ」

つい最近も2月13日に福島県沖で震度6強の地震がありました。

「その前に震度の話が、なかなか入ってないんですよ。震度はいくつからいくつまでありますか?っていう質問しても、7で終わると考えている人は少ない」
 

震度の強さ、わかりますか?

本の話に入る前に、まずは基礎知識。どれくらいの人が震度について理解しているのでしょうか?震度は0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7まであります。
今月13日に起こった震度6強は上から二つ目と大きな地震でした。

10年前の東日本大震災では宮城県沖で最大震度7を観測。福島県では6強。この時、原発の建屋が揺れて処理水が洩れました。

「7は阪神淡路の時にも一回ありましたが、6強がどれくらいすごいかっていう認識がない。我々、東海地方に住んでると、よくあって3じゃないですか。どうしても平気になって、地震に対してあんまり怖がっていないんです」

もう1回、ゼロから震度についても覚え直した方がいいと警鐘を鳴らす吉次郎さんでした。
 

危機感を持て

「この間もいろんな人から、あれは東日本大震災の余震であるということを聞いて、余計に終わってないなと。ずっと続いてるんだ。これからも続くんだという危機感を覚えました」

13日の地震は津波がなかったので、上から二つ目の強さの揺れであったにもかかわらず、大きな被害はありませんでした。
これも大したことはない、と感じさせた要因です。

13日の地震は海底50キロで起きたそうですが、深すぎて海の水を持ち上げるまでの力はなかったんだとか。
 

知っていることは全部書いた

「怖いことばかり言いますけど、あれが女川原発のすぐそば、海底20キロで起きたら、女川がやられますよね。福島とほとんど状況が同じだったんですけど、この間はなぜか無事だったんですよ」

東日本大震災は三陸沖と言われますが、地図で見ると女川原子力発電所の沖で起きたという言い方もできます。震源の深さは24キロ。それが女川原子力発電所付近で起きたら…。

「そのことも頭に入れとかないとまずいよ、というようなことも書きました。自分の知ってることは全部書きました」

リスナーからもこんなおたよりが寄せられました。

「読みました。放送の現場は何をすべきか?どう動くべきか?という視点で書かれたものを読んだことがないので、小説とはいえ、きっとこんな風になるだろうなと感じました」(Aさん)

すでに予習しているリスナーもいました。この後は本の内容、災害時にマスコミはどう動くべきか?など、話は尽きませんでした。 
(尾関)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2021年02月23日09時16分~抜粋

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