つボイノリオの聞けば聞くほど

20年間で3倍に増加 パーム油の大量生産がSDGsの達成を妨げる!?

『つボイノリオの聞けば聞くほど』の「SDGsのつボ」コーナーでは、小高直子アナウンサーが一見難しそうなSDGsについて、わかりやすく説明しています。

「SDGs(エスディージーズ)」とは、「誰一人取り残さない」という考えに基づき、誰もが人間らしく生きる環境を作るため、国連で採択された17個の持続可能な開発目標のこと。

国や企業、学校などの組織だけではなく、個人でも目標達成に向けた取り組みを始めています。

2月17日の放送では、私たちの生活にもなじみのある「パーム油」について取りあげました。

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パーム油の大量生産で問題が

「パーム油」とは、アブラヤシの実から採れる植物油のこと。

食品はもちろんのこと、洗剤や化粧品など、たくさんの身近な製品の原料に使われていて、2010年と比較して20年後には生産量が約3倍に増えると見込まれています。

しかし、このパーム油を大量生産するにあたり、さまざまな問題が起こっていることが最近指摘されていて、この問題がSDGsの目標達成に逆行した動きとなっています。

パームを作るためには収穫から24時間以内に油をしぼる必要があり、大量生産するためには畑の近くに大きな工場を建てる必要があります。

これが熱帯林の破壊につながり、地球温暖化を加速させることで、目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成を阻害していることに。

さらにそこに棲んでいる生き物が居場所を失い、絶滅を加速させることで、目標15「陸の豊かさも守ろう」と逆行しています。

また、大きな農園を作るために違法な焼畑が行われているケースもあり、CO2の大量排出や森林火災の被害も発生しています。
 

労働環境に問題も

また、パーム油の生産にまつわる労働環境にも問題が潜んでいます。

農園で働く方々の環境が悪い、賃金が安すぎるといった問題や、こどもを働かせるという児童就労の問題などが指摘されていて、これが目標1「貧困をなくそう」や、目標8「働きがいも経済成長も」の達成を阻害する要因に。

この他、熱帯林で生活していた先住民の同意を得ずに開拓を進めたことで、彼らの生活の糧である自然の恵みを奪ってしまい、紛争が起こる可能性もあり、目標16「平和と公正をすべての人に」の達成を妨げることになってしまいます。

SDGsの目標と照らし合わせてみても、パーム油の大量生産でこれだけの問題が浮かび上がっていることがわかります。
 

私たちにできることは?

これらの問題を少しでも解決するため、パーム油生産の関連企業やNGOが協力して、2004年(平成16年)に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」を設立。

森林保護や生物多様性、労働者の人権に配慮して生産されたパーム油を「RSPO認証油」とし、その油を使った製品に対してロゴマークを付けるようにしています。

このロゴマークはヤシの葉をかたどっていて、このマークがついた商品を選んで買うことで問題解決につながっていくというわけです。

2020年9月に掲載された日本経済新聞の記事によりますと、2020年7月時点で211社がRSPOに加盟。

RSPO認証の商品を購入することが、企業にとっても私たち消費者にとっても、目標12「つくる責任 つかう責任」につながります。

以前このコーナーで、原料が不当に買い叩かれて生産者が苦しい思いをしてできた商品ではなく、多少高くても公正な取引を通じた商品を買いましょうという、「フェアトレード」について取り上げられました。

安さや質だけではなく、これからはSDGsという観点でも商品を選ぶという行為が、私たち消費者に求められています。

最後に小高は、商品を買った後も残さずに使う、食べ切るといったことも意識すると、さらにSDGsの達成につながるということも紹介しました。
(岡本)
 
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2021年02月17日11時32分~抜粋

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