つボイノリオの聞けば聞くほど

車に乗らなくてもいい社会に。超高齢社会と免許返納問題

「私の父が免許更新の時期で、免許証を返納するか、せんのか、すんのんかい、せえへんのんかい、すんのんかい、せえへんのんかい…とそんな状態でございます」(Aさん)

8月31日放送の『つボイノリオの聞けば聞くほど』、「終活のつボ」のコーナーにはこんなおたよりが寄せられました。

超高齢社会が進む日本が抱える大きな問題のひとつが、高齢ドライバーの免許返納問題です。

つボイノリオと小高直子アナウンサーが免許返納の現実について語ります。

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「うちの父が運転をやめません」

高齢者の事故が後を立たないことから、心配したこどもが親に免許返納を迫り、親子ゲンカに発展してしまうことも少なくありません。

小高が取り上げたのは、今年2月に出版された免許返納についての小説、垣谷美雨さんの「うちの父が運転をやめません」(角川書店)。

夫婦共働きの主人公は、高校生の息子と3人で都内のマンション暮らし。
両親は故郷で健在ですが、78歳の父親は今でも車に乗っています。

帰省の折、迎えに来てくれた父親の車が、自分を轢きそうになり停車。
驚いてよくよく車を見ると、ボディのあちこちがへこんでいます。

新聞記事を見せるなど、あの手この手で父に免許返納を勧めるものの、父親は聞く耳を持ちません。
 

どこへ行っても行き止まり

両親が住む故郷は、1時間に1本走っていたバスの本数が減り、やがて路線廃止になる話も。
タクシーを使うと駅まで5,000円。
スーパーへ行くのにも車が必要です。
移動販売車は?と思いきや、集落の家の数が少ないため来てくれない。

毎日出かけなくてもいいようにと通販を手配しても、人と何日も会わない日が続いてしまうという新たな問題が発生してしまいます。

考えた末、東京の自宅の近くにウィークリーマンションを借りて両親を住ませることに。

最初の1週間こそ喜んでいましたが、すぐにどこへも出かけなくなり「故郷へ帰りたい」とふさぎこんでしまう始末。

いろいろな手を尽くすものの、次から次へと問題が発生し、どんどん袋小路に迷い込んでしまいます。
さて、その結末は?
 

「あるある」が満載

家庭の事情は千差万別ですが、この本の中にも「あるある」がたくさんあり、問題提起になっています。

この本では、悩んだ末にある解決策を見出しますが、「現実で考えると、そう簡単に行くのかな?」という考えも浮かんでくるという小高。

とはいえ、この本がそれぞれの家庭で、今ある問題点を話し合うきっかけになるかもしれないと語ります。

「人々は自分と照らし合わせながら問題点をそこから見出していこうとする。今の小説のありようだなとわかりますね」と、現代の小説ならではの内容だと述べるつボイ。
 

乗らなくてもいい社会作り

警察庁の発表によると、2019年に運転免許を自主返納した人はおよそ60万人。

このうち、75歳以上の高齢者は全体の6割近くを占めています。

自分の問題として、親の問題として、祖父母世代の問題として、免許返納は世の中の多くの人に、少なからずかかわってくる問題でもあります。

「これは私の問題でもあるわけやわ」と、身につまされるつボイ。

なるべく車に乗らないようにしているつボイですが、このコロナ禍で混雑した電車に乗るリスクも考えてしまうと言います。

「家庭の問題だけではなく、乗らなくてもいい社会を作っていくこともひとつ考えなければならない」と、まとめた小高でした。
(minto)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2020年08月31日11時33分~抜粋

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