つボイノリオの聞けば聞くほど

ステマ疑惑に揺れる「血液クレンジング」。その効果と害は?

厚生労働省は今月6日に行われた衆議院厚生労働委員会において、「血液クレンジング」の効果や安全性についての実態調査を進めていることを明らかにしました。

血液オゾン療法とも言われる、この血液クレンジング。
医療行為の一つではありますが、その効果については疑問の声も。

さらに、著名人がSNSなどでこの血液クレンジングを拡散していたことからステマ疑惑もささやかれ、大きな問題となっています。

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血液クレンジングの効果?

100cc~200ccの血液を身体から一度抜き、そこへオゾンガスを混ぜて血液中の酸素を増やし、それをまた身体の中に戻すのが血液クレンジングの一般的な方法。

現在日本では160件ほどのクリニックで行われていて、保険適用外の自由診療で料金は1回1万5,000円~数万円。

治療を行っているクリニックのHPには、「全身の疲れ、頭痛、冷え性、肩こり、リウマチ、アンチエイジング、コレステロールが高い方、尿酸値が高い方、脳梗塞、心疾患、がんの予防をお考えの方に効果がある」とあります。

さらに、「イギリスのエリザベス女王の母が、老化予防のために定期的に血液クレンジングを行っていた、ドイツでは保険適用となっている安全な治療法である」など、海外エピソードも交えて紹介しています。

ちなみに、これらの話は血液クレンジングを行っているクリニックのHPには定番のように書かれていますが、逆にこれ以外のエピソードはあまり出てきません。

否定的な意見が続出

写真や映像で実際に血液クレンジングを行っている様子を見ると、身体から出てきたドス黒い血液にオゾンを混ぜると、鮮やかな赤い色に変化することがわかります。

数年前から「今日、血液クレンジングに行ってきました!」と芸能人が写真付きでSNSに投稿したことで、認知度が広がっていました。

しかしここ1か月、この血液クレンジングについて大きな議論が巻き起こっています。

「身体中を巡った後の静脈の血液は黒ずんでいるもので、そこに酸素を入れれば赤くなるのは当たり前」

「普通に肺が機能している人なら、呼吸していれば黒ずんだ血液は肺を通れば赤くなるよ」

「感染症のリスクどうなの?」

など、ネット上には否定的な意見が続出しています。

つボイノリオは、血をいったん抜いて戻すという作業に事故の危険はないのかと危惧する一方、「ドイツの医学」と言われるとつい信頼してしまいそうになると語ります。

「意味ねえよ。おまじないだよ」

この血液クレンジングについて、高須クリニックの高須克弥医師はTwitterで「オゾンのクレンジングは昔からあるよ。意味ねえよ。おまじないだよ」とバッサリ斬り捨てています。

そしてさらに問題になっていることは、著名人のステマ疑惑。

「血液クレンジング行ってきました!身体が軽くなった!」などの発信をし、ステマ疑惑が巻き起こり、釈明に追われている著名人もいます。

これら一連の騒動を受け、11月6日の衆議院厚生労働委員会では、「この療法にちゃんと効果があるのか」「日本で医療用オゾンは承認されているのか」「クリニックのサイトで肝炎やHIV、がんなどにも効果があるように紹介されているが、これは誇大広告ではないのか」といった質問が飛びました。

厚生労働省の実態調査

厚生労働省の担当者によると、「効果やリスクについて厚生労働省としては現時点では把握できていない。関係学会と連携しながら、情報収集をしているところです」とのこと。

さらに、「医薬品や医療機器として承認されているオゾンはない」。

誇大広告に関しては、「広告が一般論として、広告が与える内容と実際の治療内容に著しく相違があり、誤認を与える誇大広告にあたるものは禁止」。

ステマに関しては「医療広告ガイドラインに基づいて取り締まる可能性もある」と語っています。

つまり厚生労働省としては、現時点で血液クレンジングに関して効果のあるなし、リスクのあるなしを把握しておらず、実態調査に動き出したところです。

夫を助けたい一心だった

小高直子アナウンサーは、この血液クレンジングについて調べを進めるうちに、認定NPO法人「希望の会」理事長の轟浩美さんのブログを知りました。

この希望の会は、スキルス性胃がんに関する情報を収集して、患者や家族への支援を行い、一般人へも広くスキルス性胃がんについて知ってもらうために活動している団体です。

浩美さんのご主人・哲也さんは、2016年に54歳という若さでスキルス性胃がんで亡くなりました。

浩美さんは10月21日に、『選べるなら、今、死にたい』~血液クレンジングが蘇らせること~というタイトルで、「夫を助けたい一心で様々なものに突っ込んだ過去があるのです」と、血液クレンジングを試した過去について書いています。

「これもやってみよう、あれもやってみよう」いう浩美さんをよそに、哲也さんはこういった療法を一切信用していませんでした。

浩美さんは、「それでも、私のするがままに受け入れていたのは、自分が死んでいくから。死んだあとは、家族を守れないから、せめて、心残りがないように受け入れることが、自分に出来ることだと思ったからなのです」と、哲也さんの気持ちを代弁。

さらに、「そんな人に、私は狂ったように、根拠もないことを与え続けてしまったのです」としています。

このブログを読んで、浩美さんの当時の気持ちと今の気持ちが胸に刺さったという小高。

根拠のない医療にすがる気持ち

浩美さんのブログには、「今、血液クレンジングの話題を読むのは、本当は辛いです。自分の馬鹿さに向き合うことになります」と言葉が続きます。

当時浩美さんには、「クレンジング」「免疫力」「天然由来」という言葉のすべてが優しく、間違いを直してくれるように思えていたといいます。

これについて、「トンデモ医療」「インチキ」と一蹴するのは簡単だが、自分や最愛の人が大きな病気になってしまった時、根拠のない医療にもすがってしまう気持ちは誰にでも起こりうると理解する小高。

続けて小高は、「明確に効果がないことを知った上で治療を行っているお医者さんがいるんだったら、『それはダメだよ!』って言われるべき。患者にとって正しい情報に基づいて、自分にあった治療法を選択できるように、環境を国も医療業界も整えていってもらいたい」と主張。

つボイも、血液クレンジングの効果の有無よりも、まずは事故や害の有無を早急に調査してもらいたいと訴えました。
(minto)
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2019年11月18日11時09分~抜粋

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