大河ドラマ時代考証担当が語る、大河ドラマ『西郷どん』裏話

つボイノリオの聞けば聞くほど / エンタメ

1月14日『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、「大河は終わったけどつボイノリオの西郷どん愛は止まらない鹿児島大特集」を放送しました。

大河ドラマ時代考証の原口泉先生を相手に、歴史好きのつボイノリオが西郷隆盛について尋ねます。

時代考証はつらいよ

この日のゲストは志學館大学教授鹿児島県立図書館長鹿児島大学名誉教授の原口泉先生です。
NHK大河ドラマの時代考証を『翔ぶが如く』から去年の『西郷どん』まで30年間担当しています。『西郷どん』について早速質問をどんどんしていくつボイノリオでした。

つボイ「ドラマを作る時に学者の意見と小説家の意見が対立して喧嘩することはないんですか?」
原口「喧嘩は第一回目からありました。島津斉彬がお忍びで薩摩に来ることはありませんと。でも脚本の中園ミホ先生はどうしても連れて来たいというんです」

この時は本編の中で史実ではそういうことはないと伝えることで決着したそうです。

「あくまでドラマなので、そういう所の兼ね合いが難しいところですよね」と小高直子アナ。
 

西田敏行出演裏話

『西郷どん』では途中から西田敏行さんがナレーションを担当していました。
西田さんに決まるにあたってはこんな裏話がありました。

原口「実は西田さんの曾爺さんが薩摩藩士で、西南戦争を戦った人だとお伝えしたらナレーションを引き受けてくれたんです」

「西田さんって、そういうお家の方なんですか?」と思わず質問するつボイ。
西田さんといえば福島弁でもあり、福島出身のはずですが…。

「そうなんですが、県立図書館の古絵図で見ましたら、曾爺さんの源左衛門という人がちゃんと戦ってるんです。イギリスと」と原口先生。

西田さんは『翔ぶが如く』(1990年)で西郷隆盛役を演じた時、どうも具合が悪いと思っていたそうです。『八重の桜』(2013年)で会津藩の家老、西郷頼母役を演じてやっと福島の人に面目が立ったと言っていたんだとか。

今回の『西郷どん』でも会津を叩いた新政府側ではありますが…

原口「そうだったのか、曾爺さんがイギリスと戦ったのか、と覚悟を決めて人肌脱いで、最後の締めも西郷菊次郎役としてやって下さったんです」

菊次郎は西郷と愛加那の間に生まれた子供です。

「なるほどねえ。こういう話が聞けるんで、今日、楽しみにしておりました」と嬉しそうなつボイ。
 

西郷ファンが行くべき場所

西郷ファンとして鹿児島に行くなら行くべき場所を教えてもらいました。

原口先生の口から最初に出たのが指宿。山岡鉄舟が西南戦争の直前に西郷と四日間滞在したのが指宿温泉だそうです。
しかもそれは島津斉彬が入っていた殿様湯で篤姫も来ているし、佐賀の乱後に西郷に会いに来た江藤新平も入っているんだとか。

「温泉と鰻池のうなぎもありますし、なんといってもさつまいもを日本で最初に普及させたところですから」と豆知識も追加する原口先生。
城山の洞窟から西郷終焉の地も訪れてほしいところだそうです。
 

西郷の最後

つボイ「西郷の最後、城山の描き方。今回の『西郷どん』では最後、一人で倒れてましたよね」

史実では、西郷が別府晋介に『もう、ここらでよかが』と言って介錯されます。

その後の首を溝に隠すとか、胴体だけ見つけるとか、一悶着あって探し出した首を山県有朋の前に差し出す、などの生々しいいきさつは全部カットしたそうです。

「西郷という英雄が亡くなるということを歌舞伎の舞台のよう、そして火星が西郷星として現れるという非常にファンタジックな終わり方にされたんじゃないかと思います」

制作陣の思いを察する原口先生です。
 

奄美文化

原口「奄美編もいかがでしたでしょうか?あんなに奄美を重くやったのは大河ドラマでは初めてなんです」

西郷のマブイ(魂)が落ちて死なないよう、二階堂ふみさん演ずる愛加那が看病するシーン。

原口「その時に愛加那の手に見える針突(ハヅキ)は、奄美ではおまじないで魔除けなんですね。ヤクザの刺青とは違うんです。

ギハという簪もしてたんですね。あれも単なる祇園の装いじゃなくて、ソーシャルステイタス。金銀だと身分が高いということ表していて信仰の対象なんですね。そういう奄美の文化も紹介したかったんです」
 

林真理子版西郷像

つボイ「歴史家の先生にとっては西郷像は一つでしょうけれども、小説家が描くとそれぞれの西郷像が出てくると思うんですが、今回の林真理子さんはどんな西郷を描きたかったんですか?」

原口「林真理子先生はベースには、田辺聖子先生同様、源氏物語があるんですね。 ですから西郷隆盛は光源氏なんです。ですから理想の女性を遍歴するという形で天璋院篤姫に恋心を抱くとか。これも止めてくださいとお願いしたんですけど、駄目でした」

時代考証担当のつらさにスタジオ内に笑いが起きました。また、愛加那に会って一目惚れするとか、設定上幼馴染としている糸が耐えて偲んで西郷を支えるなど、源氏物語がベースになってるのではないか、と原口先生は推測していました。
 

せごどんと一蔵どん

ここで声を大にする物申すつボイ。

「僕はかねてから幕末好きで鹿児島が大好きなんですけども、ドラマでは西郷どんは人気があるけども、一蔵どんの評価があまりにも低すぎるというのが、ものすごく不満なんですよ」

一蔵とは大久保利通です。

「大久保は西郷を殺すために密偵をどんどん入れる。近代日本のためには仕方ないとしても、大久保の中には、西郷を殺せという意識がどれくらいあったんですか?」と問うつボイに、「大久保が一番西郷を殺したくなかったと思いますね」と原口先生。

原口「大久保は西郷さんが人気者で政府にとって危険な存在だとご存知でしたから、川路利良に視察団を送ったことで大久保の覚悟の強さを表現しようとしたんです。桐野利秋が西郷先生を殺しに来たのか?と政府に尋ねる形で決起ということになりました」

小高「つボイさんの、西郷さんに比べて大久保の評価はどうなんだっていう質問はね、以前、番組で鹿児島に行った時も先生に同じことを聞いてるんです」

「『西郷どん』のドラマの描き方を改めて思ったんです。大久保さん支持者のとしては…」とまだまだ言いたいこと、聞きたいことがあるつボイノリオでした。 
(尾関)
 
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2019年01月14日09時13分~抜粋

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