毎日たくさんのおたよりが届く『つボイノリオの聞けば聞くほど』。毎週金曜日は「おたより復活デー」と題して、時間がなくて読めなかったおたよりをなるべく紹介しています。
「天守閣を木造復元する名古屋城にはエレベーターを設置しない」とした名古屋市に対し、障害者団体がその理由説明などを求める公開質問状を、河村たかし市長あてに提出したというニュースが、11/21に報じられました。
12/1の放送では、この件について賛否両論のおたよりが紹介されました。
まずは中立派
1609年の江戸時代、徳川家康が九男・義直のために築城したと言われる名古屋城。
空襲で焼失してしまい今では鉄筋コンクリート製ですが、その前に図面などの資料が多く残されており、当時の木造復元が可能な国内唯一の城なのです。
それを忠実に再現するために、エレベーター設置はしないというのが名古屋市の方針。しかしそれでは車イスだと上がれません。そこで障害者団体の代表者が「エレベーターを設置し、誰も排除しない城にしてほしい」と訴えたのです。
ちなみにこの放送後、名古屋市は「エレベーター設置を含め、年度内にバリアフリー対策を決める」という考えを示しました。
放送時にはまだこのことが反映していないことをご了承ください。
では、様々な意見のおたよりをパーソナリティのつボイが紹介していきます。
「忠実に再現しようとすればするほど、バリアフリーから離れていきます。姫路城でもエレベーターがなく、上がれません。それならいっそお城の横にシャチホコを真横から展望できる“金シャチタワー”を作って、城内の観覧者には見ることのできない絶景を全国の車イスの方に、無料で見て頂いたらどうでしょう」(Aさん)
江戸時代とバリアフリーは両立できない。だけど体の不自由な人に「名古屋城に来て良かった」という思い出をプレゼントできる知恵は、いくらでもあるんじゃないかというAさんです。
推進派vs反対派
「エレベーターがないと観光客が減るじゃないですか。そしたら建設費用の回収ができないんじゃないですか?そりゃまあ今でも障害者の人は入場料がお安くなっていますけども。だからってエレベーターを付けないなんて、市長は何を考えているんでしょうか」(Bさん)
夫が障害者手帳を持っているというBさん。エレベーターは必要だと主張します。
一方、反対派の意見も。
「僕はエレベーターを設置してほしくないです。松本城や彦根城など、現存の国宝天守を何回も登りましたが、健常者でもかなりキツイです。年を取ったら自分も登れなくなるだろうなと思います」(Cさん)
ここまでだとエレベーター擁護派のようにも聞こえますが…。
Cさんの続き「だからと言って、国宝にエレベーターを付けろとは言いたくないです。『名古屋城は今から作るから設置して当然』のように言うのはどうかと思います。焼失前のあの素晴らしい国宝・名古屋城を再建するんですから、僕は寸分違わぬ本物を作ってもらいたいです。たとえ自分が登れないとしてもエレベーターは反対です。階段昇降機を付けるということで折り合いをつけてはどうでしょうかね」
階段昇降機は設置するという方針は既に打ち出されていました。ただ、これも「腹筋などが弱い人は乗れない」などの問題点もあるようです。
どっちにするの!?
「私は、復元を目指すのであればエレベーター設置は不必要。観光目的の城作りなら設置すべきだと思います。名古屋市が本気で復元する気があるなら、観光客が天守内部まで入れないようにする覚悟が必要だと思います。
名古屋城を観光の目玉にするための復元でしょうが、ここに人が入れるようにするのか、完全にシンボル的な城にしてしまうのか、名古屋市は決断しなきゃいけませんね」(Dさん)
これに対してつボイが答えます。
「まあ、(国宝の現存天守である)彦根城でも犬山城でも中に入れますのでね。完璧な復元をしても人が入ってもいいと僕はいいんじゃないかなと」
続いて小高直子アナウンサーも「何のための復元かって言ったら、観光のためでしょ?」
そう、これは元々河村市長が、訪日客を含めた世界へのアピールのために始めたこと。観光目的そのものです。
さらにつボイが掘り下げます。
「『完全復元なら見に行きたいけど、エレベーターがあるんじゃ別に見たくない』という人もいる。観光目的の中でもエレベーターの有り無しで意見が分かれてくると思います」
自由な発想で
「どこまでをもって完全復元というのかも、問題ですよね。例えば、階段だって観光客用に広げなきゃいけないかもしれないし、現代の建築基準に見合った手すりも作らなきゃいけないんじゃないですか」と小高が疑問を投げかけます。
それに対してつボイ。
「さっき言った、犬山城みたいな昔のままの城でも人が登ったり降りたりしてるんで、復元したらそのまま人が上がれないってことでもないと思います。ただ、大量の客だとムリかも分からないので、そこをどうするかですよね」
小高「隠しエレベーターとかにすれば?一般の人たちには分からない場所にこっそりと」
つボイ「壁をクルッと回すと…そりゃ忍者屋敷や!」
小高「ちょっと趣旨が変わってきますね(笑)」
軽妙なやりとりのあとは、「みなさんの税金が使われる訳ですから、みなさんのいろんなご意見をどんどん寄せてください」とまとめるつボイなのでした。
(岡戸孝宏)
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